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「(それにしても毎日の様に生の花を食べてなんとも無いなんて、鬼人って頑丈だなぁ)」
「ーーーーさん、ーーさん!」
「(花人の花は毒がないとは言え、本物の花は毒があるものがあるから、真似しちゃいけないって言われたなぁ…)」
「百川流李さん!」
ぼんやり考え事をしていたら耳元で、大声で私の名前を呼ばれた。ビックリしながら顔を上げると先生が、花人なのに鬼の形相でこっちを見ていた。
「考え事なんて随分と余裕があるようね?百川さん?」
「え、えへ、えへへへへ」
笑って誤魔化していると隣の席で、千里ちゃんがあちゃーって顔でこっちを見ていた。
「そんな余裕な百川さんには立って続きを読んで貰おうかしら?」
「…はい」
「ここからここよ」
先生に言われて私は観念して席を立ち、先生にしていされた場所を読み上げる事になった。
「えー花人は歌って踊ると草花を成長させるという特性から、農業が主だった時代では農作物を元気に育てる事から、神の使いとされ重宝されてきました。また半神と鬼人は人間より力が強く、神に近付く行為をすると食人衝動が訪れ、花人の蜜には半神と鬼人の食人衝動を抑える蜜を生成するという特異な体質を持つため、戦国武将や主だって前線に立つ兵士に嫁として充てがわれる事例は珍しい事ではありませんでした。その名残から現代でも権力者や人命活動をしている半神や鬼人の伴侶として、学生である内からお見合いをして婚約する事も珍しい事ではありません」
私がそう読み終えると周囲の花人達がざわめき始め、千里ちゃんが挙手をして先生に質問をする。
「せんせー!って事は私達もお見合いして結婚しなきゃならないんですかー!」
「それを今から説明します、百川さん続きを読んで下さい」
「は、はい…しかし花人には暴力や精神的苦痛を与えられると、黒い花を咲かせて相手にアレルギーを発症させる体質もある為、嫌がる花人に無理矢理お見合いをさせる事はありません。また権力者であろうとアレルギー症状が現れたのを見たら、身元調査や花人へ危害を加えてないか徹底的に調査を行われます」
「はい、今百川さんが言った様に花人には自衛手段があり、如何に権力者であろうとアレルギーには抗えないので、もし隠れてDVをしようとしても露見されるものなのです。なので嫌だったら見合い自体しなくて良いし今の時代、結婚後のサポートも充実しているので安心して下さい」
「あーなるほど、偉そうなおじさんや亭主関白な人の下に嫁ぐ事はないって事なのね。安心したわ」
「千里ったら…」
千里ちゃんの言葉にクラスの花人達が目に見えてホッとする。そして私も剛くん以外の人は考えられないからホッとした。
「さて半神と鬼人は人口の合わせて2割なのに対し、花人は人口の1割、更に女性となると数は半減しますので学生の内からお見合いの話が進んでいたり、大人の半神や鬼人と学生の花人が付き合う事は合法であり世間に認められています。身近にそういう人がいても、囃し立てたり弄ったりしないようにしましょう」
「あらそれなら知ってるわよ」
「ねー」
そう言って百合ちゃんと千里ちゃんが私を見る。それに釣られてクラス中の人達が私を見て、私は思わず赤面して下を俯いてしまった。
「それとこれは大声では言えないのだけど、花人は自身を守ってくれる人を自分に夢中にさせる為に、キスや性行為…粘液交換をすると体液が甘くなります。大人の悪い人達はこの体質を狙って、性行為をさせる悪い店に勤めさせようとあの手この手で誘惑したり、誘拐しようとしますので、皆さんはくれぐれも注意する様にしましょう」
先生の言葉でドキッとする。そして剛くんとしている事がバレてしまわないか、心臓が脈打っているのを何とか鎮めようと胸に手をおいた。顔赤くなってバレてないかな?
キーンコーンカーンコーン…
「はい今日の授業はここまでー、皆さん自分のクラスに戻るように」
「起立、気をつけ、礼!ありがとうございました!」
号令をして私は教材道具を持って花人クラスを後にする。途中トイレに寄って顔を洗って顔の熱を冷ました。




