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学校の種族別授業で半神、鬼人、花人、人間の4種類に分けられて、花人である私は花人のクラスに分けられて花人専用の保健体育を学ぶ。教壇に花人の先生が立って教科書を読む。
「私達花人は頭に花を咲かせるだけでなく、歌や踊りにより草花を豊かに育てる能力があります。その他に感情により頭に咲く花の色が変わり嬉しい時や楽しい時は暖色系、怒ってる時や悲しい時は寒色系に変わります。恋をするとピンクに変わり、愛し番になりたい人が現れると赤い花が咲きます。逆に虐めやDVを受けると黒い花を咲かせて加害者が近寄らないようにアレルギー物質を発してーーー」
先生の説明を聞きながら、私は朝のピンクの花を食べる剛くんの事を思い出す。いつか剛くんと番になる時は、赤い花を咲かせるのかな…。
そんな事を考えながら思い出すのは昔の事だった。
剛くんが8歳の時に田舎から東京の方に引っ越してきて、お隣さんになったのは私が3歳の頃だ。
『あなたが剛くん?この子、流李って言うの。仲良くしてくれる?』
小さい頃の事だったから実は覚えてないけど、お隣さんと初めての顔合わせだからってお父さんがビデオを回していて、私はそれを見た事がある。
『つおしくんかっこいー!がおー!』
そう言って私は両手で角に見立てて人差し指を伸ばし、額に当てて剛くんの真似をしていた。
『流李ちゃんったら可愛いー!ほら剛、自己紹介しなさい』
『こくぶんじつよし、8歳です』
『つおしくん!あたしるいっていうのー!』
『よろしくな、るい』
ビデオ越しに見た剛くんは幼いながらも、私に挨拶しながらはにかんでいた。私はその笑顔をビデオ越しに焼き付けた。
それから隣に引っ越してきた剛くんの家族とは、家族ぐるみの付き合いになって、時には夕食を一緒に食べたり、私に弟が出来た時は剛くんのお母さん、茜さんが私の面倒を見てくれた。
『流李の花は菊の花なのね、綺麗だわ』
お母さんは私の花が大好きで菊の花には美しい花言葉があり、国花にも選ばれた素敵な花だという事を褒められて、剛くんの家族にも綺麗だと言われてきた。
だけど外の世界の人たちはそうは思わなかったみたいだった。
『菊の花なんて縁起悪いわねぇ』
『母親が身体弱いのもきっと…』
近所のおばさんがヒソヒソしているのを聞いた時は、悲しい気持ちになったし、小学生になって子供達が言葉の意味を知ると、私は虐めのターゲットにされた。
『やーい!お前の花、葬式に使われてるんだろー!』
『縁起悪りー!こっち来んなよ!』
『やっやだ!何でそういう事言うの!』
私はその事が悲しくて授業が終わって、休み時間になると上の学年の剛くんにくっついて、剛くんも私を抱きしめて苛めっ子達を睨み返してくれた。
大人達も私が黒い花を咲かせる事を恐れて、徹底して苛め対策をしてくれたから、苛めから敬遠されるだけに変わってホッとした。けど怖くて休み時間は剛くんが小学校を卒業するまでくっついて回った。
そんな私と剛くんの関係が変わったのは、私が小学生5年生になり、頭にピンクの花が咲いた時の事だった。
私はその花が可愛くて剛くんに上げたくて、自分で鋏で切って剛くんにプレゼントした時の事だった。
『剛くん、これプレゼント!』
『これを…俺に?』
『うん!』
剛くんは驚いた顔で私とピンクの菊を見返して、交互に何度も私とピンクの菊の花を見た。
『ありがとう!一生大事にする』
そして剛くんは大きく口を開けて菊の花を口に放り込んで、咀嚼して飲み込んだ。
『ええ!?何で食べちゃったの!』
私は剛くんの行動にビックリした。だって剛くんが一生大事にするって言いながら、食べちゃったからだ。
『え?…だって、ピンクの花を贈るって事は、恋人になって欲しいって意味だろ?』
『え?』
『そしてそれを受け取って食べる事は、愛の告白を受けるって意味だ』
『ええ〜!?』
剛くんから説明を受けて私は頬が真っ赤になった。だって私は剛くんが好きだったからだ。
いつからだったかはわからない、でもいつの間にか剛くんを異性として大好きになっていた。
でも私は告白する勇気がなくて、ピンクの花もただ可愛いからプレゼントしたかったから、プレゼントしたかっただけなのに、勇気のないまま私は愛の告白をした事になってしまった。
『あー…その、順番は逆になっちまったけど…』
そう言いながら剛くんが片膝をついて、私の目線に合わせて手を取った。
『俺、流李が好きだ。だから恋人になってくれ』
『…うん、付き合って下さい』
そして剛くんは私に愛の告白をした。突然の出来事で頭が真っ白になって涙目になりながらも、私は剛くんが大好きだから剛くんの告白を受け取った。
それから私の頭には恋の印であるピンクの花が咲くようになった。だけどそれを見る度に、仲良くない生徒達にヒソヒソされる事になったから、私はピンクの花が咲く度に剛くんに食べてもらう事にした。




