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 彼女たちの部屋には2人の個性がきちんと同居している感がしっかりとある。


 壁を背にして対称にあるシステムベッドデスクにはそれぞれの自己主張がきちんと成されてあるが、そこから中央に移っていくにあたって丁寧にそれが融和している。ジュディの机には水色を基調としたかわいらしい雑貨やデスクマットがあって、シンディの方は黄色を基調としたやや()()()デザインのそれらが置かれている。双方のシステムベッドデスクの位置から見て中心、まずは大窓のカーテンに砂浜の波打ち際を模したデザインをみることができる。上7割が薄めのマリンブルー、下残りがまさに砂粒のように細かく色味の別れた黄色になっている。生地が薄く窓からの光を透かすため、時間や季節や天気の性格がそこにうまい具合に映し出される。いまはもちろん、夏の終わりを象徴するオレンジが微かに含まれている。それは床に敷かれた白身の絨毯にも反映している。


 その砂浜・海岸のモチーフは恐らくシンディの提案を第一にしているのだろう。夏休み以前もこの部屋には幾度とお邪魔していてその推測はあったのだが、その以後とりわけ彼女の祖父の別邸で遊んでからはそれが確信に変わった。しかし最初から、そこに一方的な要求や支配のような不純物は些かも感じなかった。もともと水色と黄色の相性がいいだけではなく、定めたゴールに向かうための主張の歩み寄りにまるで不平等がないのだ。ずっとジュディと一緒にいたから分かる。机の上だけでなくベッドの枕もと周りの雑貨(水兵服着たしろくまの人形や虹色ながら透明なアクリル製のティッシュケース)も見るに、一定のテーマと借り物の部屋という条件の中で最大限の表現をしている(あるいは借り物という制限がいい効果を与えているのかもしれない)。シンディだってそうだ。やはりお互い最高のルームメイト巡り合えたんだな、と私は感慨深い気持ちになった。

 

次話は明日の21時台に投稿予定です。

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