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無事新人賞に出す別作品の作業が完了したので、連載再会しまーす。
また1日1000文字ペースで頑張るぞい。
章題は後ほど考えます。
「ふぅ」
荷解きを終えて、私は1つ溜息をついた。2人での使用が前提の学園寮の部屋は、1人でいるとえらく広く感じた。
夏休み終了の4日前にして、私とジュディは学園に戻ってきた。夏休みからの帰寮も退寮の時と同じ風に始業式前日の5日前から可能だが、4日前となるとまだほんの疎らにしか生徒はいない。学園は通常時の賑わいと比べてその1/10にも満たない。普段なら聞き取れないようなささやかな風が建物の間を抜けていく音まで聞き取れて、最初はまるで別の場所に戻ってきたようなあるいは夢の中にいるみたいな感じにもなったけれど、この部屋に戻ってこれればその疑念も全て吹っ飛んだ。帰省には不要とわずかに残していったささやかな雑貨が、私を確かに現実に繋いでくれた。とりわけディアナが残していったハードカバーたちから、彼女の存在を懐かしむことができた。ディアナとシンディはシンディの祖父の別邸以来通話のみのふれあいしかなく、彼女たちは双方入学式の2日前に帰寮するそうだ。私とジュディが早めに戻ってきたのも、とりわけ学園から遠い場所に領地があるため旅疲れの回復に時間が欲しかったからである。どうせ4人が揃えば、始業日を待たずにはしゃぎ倒すことになるのだろうから。
始業式は父兄の招待がないため、往路の付き添いはジュディの父親にしてもらうことになった。大体は入学式の日に乗った列車や宿泊した宿をそのままなぞるだけだったけれど、違う心持ちでそれをなぞるのは面白い経験だった。
学園に着くと、人のほとんどいないロータリーにゆったりと馬車を停車させた。感謝の挨拶の言葉もそこそこに、過保護なジュディの父親は彼女に対し、また寂しくなるな、と涙ぐんだ。少しわざとらしい部分があって、恐らくはジュディに構って欲しい感じだった。しかし当の彼女は父親の正面腕1つ半分の距離から動かず、もう大げさなんだから、とからから笑っていた。時間に余裕もあるのだから夏休みの時みたいに抱きしめ合いでもすればいいのに、と端からみて思ったけれど、少ないながらも他人がいるスペースでそれをする度胸は2人とも流石にないみたいだった。彼女の父親は気を取り直すみたいにはっはっはと笑って、思いつくだけの心配事を並べてしっかりするんだぞと言葉を送った。ジュディは、何かあればホイットニーを頼るから大丈夫よ、と答えた。私としても、抱え込んでドツボにはまってしまうくらいならそっちのほうがよかった。私は、おまかせください、ジュディのお父様、と言うとまた彼女の父親は大きく笑った。別れの挨拶を交わし、彼女の父親は馬車に乗って自身の領地に帰っていた。
そこからまっすぐ寮に戻って、例の階段近くで少し会話をしてから、荷解きのためにそれぞれの部屋に別れた(入学式と違い、トランクは自ら運び持った)。
さて、と呟いて、私は中腰だった状態から立ち上がった。ジュディの部屋にお邪魔して、荷解きを手伝ってやろうと思った。きっと彼女はアルバムを整理するみたいに、置いていったもの再度持ち込んだもの新しく持ってきたもの1つ1つに心動かして手が全く進んでいないだろう。そのまま夜にでもなれば、流石に目も当てられない(いまは午後3時過ぎである)。
私は動きやすい服装 (シンプルなシャツとズボン)に着替えて、部屋を出た。廊下はまるで海底に沈んだ客船みたいに静かだった。
次話は明日の20時台に投稿予定です。




