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日中急用のため、文字数少なめです。


 ジュディがトスに使用したコインを財布の中に戻しにいく。私は念の為、盤面に覆いかぶさるように体を前傾させて、彼女からこちらの駒の配置が見えないようにする。まぁ彼女がそんな狡い真似しないと思うけれど、こういうところから、ゲームは気持ちを作らないといけない。私はわざとらしい音をたてて、駒の配置を調整する。これも1つの牽制、プレッシャーだ。


「ふふん、これまでで1番真剣だねぇ」


 戻ってきたジュディが対面に座りながら言った。そういうジュディの顔も、やる気で満ちているように見える。


「あたりまえでしょう? 最初は私があっけなく2連勝してたのに、その後はルールを覚えたあなたと勝ち負けを繰り返して5分なんだから。この対局でリードを開けさせてもらうわよ」


 そう、これまで7戦して私の4勝ジュディの3勝、ルールをお互い理解してからは互角の結果になっている。ただ、あえて述べるが、私がある種ムキになっているのは、けしてジュディを侮っているからではない。彼女は興味の向かないことのインプットが人より不得手なだけで、けして馬鹿ではない。しかし、その不足分補填というべきか、以前にも言ったように彼女は基本的に運がいい。ガイスターは将棋と違い相手の駒の種類が伏せられている以上、運の要素もそれなりにある。これまで対局で、その運によって戦況が変わってしまったとしか思えない場面が幾つかあった。私は純粋にその部分が悔しいのだ。彼女の運を、私は乗り越えてみたい。


「じゃあ、さっそく」


 そう言って、私は前線の左から2番目の駒を1マス前進させた。それは赤い幽霊である。

次話は明日の21時台に投稿予定です。

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