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DDOS攻撃やだねぇ……


 ふん、と私は相槌を打った。面白い提案だと思った。夏休み前は互いの部屋で遊ぶことはあれど、お泊りなんてしなかった。それは寮の部屋自体が3人以上の就寝を前提にしていないからである。敷布団でもあればいいのだろうけれど、この世界、この国にその文化は根付いていない。


「つまり私がシンディのベッドを使うってことかしら?」


 私は湯船の水面をぱちゃぱちゃと小さく叩きながら言った。


 そう、そういうこと、とジュディは答えた。「せっかく2人だけなんだしさ」


 私は応える。「でも互いの家に泊まり合いっこなんて、夏休みにもやったじゃない」


 「そうだけどね」ジュディは言った。「それでも寝る時はお互い客室で寝てもらったじゃない。小さい頃は同じ部屋同じベッドの中で眠ったものだけどね」


「体が小さかったからね」


 私は素っ気なく言った。朝起きたら、ジュディに抱きつかれていたり、掛け布団を全て奪われたりしていたものである。


 まぁね、とジュディは応えた。「キングサイズのベッドで寝る機会でもない限り、昔みたいに一緒のベッドは無理でも、同じ部屋ならわりかし簡単でしょ? 夏休み中のシンディのおじいさんの家みたいに、部屋に人数分のふつうのベッドがあれば。そしていま、私たち2人だけに、部屋に2つのベッド」


 そうねぇ、と私は言った。「確かに、いつもディアナと寝ていた部屋に1人というのも少し寂しいかもしれない」


 そうでしょそうでしょ、とジュディは応えた。


 私は水面を叩く動作から、手を甲を上に椀状にして、湯に沈めてポコポコと泡を浮かべた。「でも、先にシンディに断りもなしにベッドを使うのは悪いわよ。いまからフロントで通話を試みたところで、もうあちらも学園に向けて自分の屋敷を出た頃かもしれないし」


「大丈夫だって、事後報告でも」ジュディは言った。「枕だけ自分のを持ってくればいいし、シーツとかは翌日に洗濯すればいいんだよ。あれだったら、フロントに言えばすぐに新しいのだってくれるだろうし」


 確かに、シーツ並びに部屋の設備・消耗品は、寮の管理人に言えば随時交換してもらえることになっている。学生のほとんどが戻ってきていないこの時期にお願いする分には、特別負担になることもないだろう。


 いいわ、と私は言った。「今夜はお邪魔させてもらうことにするわ。枕を持参してね」


 いやったー! とジュディは湯船に腰を落としたまま両手を上げて喜んだ。そして、そのまま後ろに倒れて、ざっぶーん、という音が浴室に大きく響いた。


 こらこら、と私は顔にかかった飛沫を右手で拭いながら言った。「危ないじゃないの」


 ジュディはすぐさま起き上がり、両手で顔に滴る湯を払いのけ応えた。「うれしくて、ついね」


 ジュディはにへらと笑った。


 もう、と私は1つ薄いため息をついた。

次話は明日の21時台に投稿予定です。お

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