エルフの村3
「それじゃそろそろこの世界についてお話ししましょうか。」
「ぜひお願いします。」
「まずはそうね、この世界はヴァーダと言って、私たちエルフを始め人族・獣人族・巨人族・ドワーフ族・精霊族・龍族・魔族・天使族などが主に住んでいるわ。」
けっこう色々な種族がいるけど、だいたい日本で有名な種族だな。
「エルフはガインみたいな一部を除いて魔法や精霊術を得意としていて、自然をこよなく愛しているわ。精霊族は火や水などの自然の力と魔力で構成された精神体で、私たちエルフとはとても緊密な関係を築いているの。」
「姫様、私も魔法や精霊術を使えますよ!」
「筋肉の塊のエルフなんかガインしかいないでしょ。それに相変わらず毎日毎日筋トレしているのでしょう。」
「はっはっは!筋肉は鍛えれば鍛えるほど裏切りませんぞ!姫様も昔みたいに一緒に鍛えましょうぞ!!」
「昔も一緒に鍛えた覚えはないわよ。それで逆に人族とドワーフ族、特に人族とは仲が悪いのよ。」
「はい、今日色々な方から睨まれていましたから分かるのですが、それはなぜですか?」
「ドワーフ族は鍛冶が得意な種族なのだけれど、鉱石を掘り起こすのに木を伐採していくからね。人族も同じく木を資源として使うために伐採していくから嫌われているわ。」
「そうなのですね。自然を愛していると言っていたのでそれは分かるのですが、それならドワーフも同じぐらい嫌われていると思うのですが。」
「そうね、やっていることはここまでは同じだけど、ドワーフは鉱脈がたくさんある山を見つけて、そこに国を興したから今はあまり干渉がないからまだマシなの。人族は最初木を伐採していたのだけど、エルフと話し合いをして交易で一定の木を提供する代わりにこれ以上荒らさないように約束をしたの。だけど人族の中の一部の貴族がエルフにとって禁忌といえる出来事を起こしてしまったのよ。」
「いったい何をしたのですか?」
「聖樹の伐採よ。エルフにとって聖樹は信仰の対象で共に生きていく大切な存在なの。そんなわが身といえる聖樹を伐採したことにより、当時のエルフたちは大いに怒り、伐採した貴族を滅ぼしてしまったのよ。」
それは人族が悪いな。俺の世界でも政治家の汚職や社員の金の横領などろくでもない話をよく聞いたな。
人間ってどこの世界でも同じなのかと思うと、ちょっと悲しくなってくる。
「それは約2000年前に起こったことだけど、今でも多くのエルフは忘れることなく人族を嫌悪しているわね。ただ約350年前にこの世界に来た異世界人のミツがエルフとのわだかまりを少しずつ解いて、オワーリ国を興してエルフとの盟約を守るようにしてくれたから、その国とだけ交易が続いているというのが今の現状なの。」
そんな昔から揉めているのか。それに350年前?俺と同じ時代の人じゃないのか?
オワーリ国を興したって言ってたし、350年前ぐらいならだいたい江戸時代に入るかどうかってところか。
まさかその時代の日本人なのか?
「私も小さいころにミツに会ったことがあったけど、とても面白い人だったわ。彼の世界のことやこの世界を旅していた時の話をよくしてくれて、大切なこともたくさん教わったわ。」
「そのミツさんって袴とか着てたり刀を持ってたりちょんまげをしてたりしてましたか?」
「袴と刀は身に着けていたわよ。チョンマゲ?それは初めて聞いたわ。それは何なの?」
「えっと確か前髪から頭の頭頂部まで剃り上げて、後ろ髪を伸ばしてくの字に曲げて結った髪型ですね。」
「何それ?(笑)そんな髪型知らないわ。普通に髪を短くしていただけよ。」
「あれ?そうなんですか?それじゃミツさんから聞いた、彼の世界のことを教えてもらってもいいですか?」
「ええ、いいわよ。といっても私も聞いても信じられない話だけど、確か鉄の塊の中に多くの人を乗せて空を飛ぶとか魔法を使わずに遠距離を一瞬で移動できるドアがあるとか、人によっては自分の体から精神体?を生み出して時を止めるとか出来るって聞いたわ。」
あ、こいつ絶対俺と同じ時代の人間だわ。
しかも〇型ロボットとス〇ンドの話を盛り込んでやがる。
「それじゃこの世界でも作ってみてってお願いしたら技術が遅れているから無理って言われたけどね。まあ彼は結構冗談言ってたからどこまで信用していいか分からないけど、魔法を応用して気球や石鹸とか作ってたわ。また刀っていう武器もミツが作ったものよ。」
ミツって人、何気にめちゃくちゃ出来る人?
全然作り方知らないんだけど、この時代に気球ってそんな簡単に作れるものなのかよ。
「今言った以外にも色々な物を作って生活を豊かにしてくれたわ。鍋やフライパンなどの調理器具やビンなどの保存用品を作ってくれたのは素晴らしいわ。それと色んな料理やお菓子をみんなに伝えてたのは一番の功績ね!そのおかげでとても料理が楽しいもの。」
「色んなお菓子を伝えたのは素晴らしかった。姫様のお菓子はどれも美味しい。特にチョコレートは絶賛。」
「たしかにオワーリのあんドーナツや綿菓子、りんご飴はどれも美味しいのよね。どれも美味しいからついつい食べ過ぎてしまうんだけど。。。」
「たしかに食べ過ぎは良くないわよね。それじゃ食後のデザートはいらない?」
「姫様、デザートは別腹です!」
この世界にも「デザートは別腹」って伝わってるんだな。
なんかの本を読んで別腹って本当にあるらしいけどね。
「ミツはこの世界に多くのものを残してくれたわ。そんなミツが変えてくれた世界を見て回りたいと思って私も色々世界を旅して色んな人と出会って楽しかったわね。」
「最初は何も知らない姫様のお守りは非常に大変でしたが。。。」
「ほっといたら何をしでかすか分からない。」
「えー!私そんなに迷惑かけてないはずよ?」
「何を言っているのですか。さきほども申し上げた通り襲われそうになっても寝ていたり、ダンジョンの罠をすべて引っかかったり、危うく騙されて奴隷契約を結びそうになったりしていましたね。」
「他にも珍味だと言って食べたキノコでお腹壊して死にかけたり、精霊術の力のコントロールをミスして遺跡を破壊しかけたこともあった。」
「え~っとそんなことあったかしら?あまり記憶にないわ。ところでオワーリ国についてまだ話してなかったから説明するわね!」
あからさまに話を変えてきたが、確かにどんな国なのかとても気になっていた。
しかしサシャンさんって最初は優しくてしっかりしているかと思ったけど、案外抜けているところがあると知って面白い。
「そうですね、オワーリ国ってミツさんが作った国ってことなので日本風なのかなと思っているのですが、どんな感じの国ですか?」
「そうね、オワーリ国は木を用いた家が多いけど、人族はレンガや石などを積み上げた家もあり、それらも取り入れてるから色々と混じり合った特殊な街並みをしているわ。人種も他の国に比べて一番多く、人族の次に獣人族、あとオワーリ国は特殊で一部の地域に精霊族がそれなりにいるわ。他の国に比べて自然が豊かで精霊が住みやすい環境であるのと、織田教という宗教があって精霊を神聖視してとても大事にされているから精霊が住み着いているのでしょうね。」
「私の住んでいた国も結構色んな文化を取り入れてましたし、八百万というぐらい色んな神様がいたから精霊とかも受け入れるのに何も抵抗がなかったと思います。」
「ミツも同じ言葉を話し想いが通じ合えば人種なんて関係ないといって色んな人を国に取り入れたわね。獣人族も人族から差別を受けていたけど、それを守るために織田教の神官と巫女は獣人族が務めるようにして国の中枢に関われるようにしたのよ。それから獣人族はミツのことを神の御使いとして今でも敬われているわ。」
物作りだけじゃなく政治も出来たのかよ。
とんでもない人だな。ゲームでは色んな人種を一つの国で治めるのはムリなことが多いのに
現実でやるなんて完全にチートでしょ。
「そうそう、織田教の話が出たからついでに大事なことを伝えるけどオワーリ国についたらまず国の中枢であるフクマ殿に案内してあげるわ。それから織田教の社に向かってそこで職業を設定してスキルを解放するといいわよ。」
フクマ殿?って伏魔殿か!それが国の中枢ってミツって人は何ていう名前をつけてるんだ!
そんなものが国の中枢ってよく国が崩壊しなかったな。
絶対この世界の人は伏魔殿の意味知らないだろう。
それともう一つめちゃくちゃ大事なこと言っていたけど!?
「え?職業を設定とかどういう意味ですか?スキルってそんなものがあるのですか!?」
「あるわよ?この世界では年齢が15歳になったらその人の適正な職業を設定して、潜在的なスキルを解放する儀式を行うのよ。国によって教会とか寺院で行うことがあるけどオワーリ国は神社がその儀式を取り仕切っているわ。」
ま・じ・か!やっぱ職業とかスキルとかあったんだ。
なんかオラ急にワクワクしてきたぞ!これはもうすぐにオワーリ国行って職業就いてスキル解放してー!
「うおー!明日がすごく楽しくなってきました!!」
「異世界の人はそういうのがすごくワクワクするってミツが言っていたけど本当みたいね。でも職業っていっても色々あるから必ずしも求めているものに就けるとは限らないからね?まあ異世界人の人は高確率で上位職に就けるって聞くからそれなりに期待してもいいかもね。」
「どんな職業に就いてたのですか?」
「異世界人で有名なのはオワーリ国の冒険者で『サムライマスター』、騎士団の団長が『空盾騎士』、織田教に保護されている『時詠みの巫女』がいるわね。今言った職業は誰も就いたことがないレアなものだけど、それ以外に有名な上位職についてオワーリ国で活躍している人は何人もいるわね。」
おー、サムライマスターって何か中二心がざわつくね!めちゃくちゃ強くてカッコよさそう。
空盾騎士って職業なのか?その名前だけでは何の能力持っているのか分からないけど、
時詠みの巫女とかは予知能力持ってそうなのは予測出来るし、そんな能力持ってたら保護されるのは当たり前だな。
その後、サシャンさんに普通は村人・農民・商人・職人になる人が多く、それから経験を積むことによって進化したり、職人などは一つの物を作り続けると専門職に変わったりするとの話だ。
村人と農民は同じように思えたので聞いたら、村人は色んなことが出来るがどれも能力が低く、農民は農業に関して他よりも出来る職業だと教えてくれた。
たまに侍・騎士・魔法使い・召喚士などの職業に就ける人が出てきて、たいがいは活躍することが多いので、国とかギルドがすぐに確保に動くらしい。
そんな話をしていたら大分時間が経っていたらしく、明日は早朝からオワーリ国に向かうとのことなので、一旦お開きとなって全員寝ることになった。




