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70代のひとり部活  作者: 種田
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二人のマスターズ 2024年 その1

2024年1月8日


2023年12月上旬、広島陸上競技協会から封書が届いた。

10月に山口で行われた全日本マスターズ陸上選手権で優勝した選手を2023年度優秀選手として表彰してくれるとのこと。

広島マスターズでは私を含めて22名がその対象選手になる。

ついては12月23日(土) リーガロイヤルホテルで表彰式を行うので出欠の返事を返信ハガキで返事をするようにとのことだった。

その日、私はあいにく先約があったので欠席の返事を返送した。


12月26日、広島マスターズのホームページが更新された。

「リーガロイヤルホテル会場において、優秀選手等の表彰式が行われました。

広島マスターズから22名の方が表彰を受け、15名の方が出席。

ホテル32階の素晴らしい展望の会場で、全国大会で活躍した学生、実業団の選手と一緒に表彰を受けました。」

という記事と一緒に、私の知っている選手たちの表彰式でのスナップ写真が掲載されている。

いずれも晴れやかな表情だ。

一枚の写真に「ハッ」となった。

表彰セレモニーを終えての交歓会だろう、10名ほどが手にグラスを持ってカメラに向かって微笑んでいるが、テーブルの上には瓶ビールが並んでいるではないか。

目を凝らして瓶のラベルを見るとアサヒスーパードライだ。

私はキリン一番搾りを溺愛するものだが、瓶ビールとなれば銘柄に好き嫌いは言わないつもりだ。

広島陸上競技協会からの文書に「ビール付きの表彰式」と一言書いてあれば、私は先約に詫びを入れて予定を変更してもらってでも、いわば万難を排してでも参加しただろう。

(長蛇を逸した!)

後悔先に立たず。

妻もその写真を見て

「行けばよかったのに…」

と悔やんだ。

夫婦そろってビールへの執着と意地汚さを改めて自覚し、臍を噛んだことだった。

そして今年(2024)の表彰式には二人で何としても表彰式に招いてもらい、瓶ビールをいただこうと誓い合った。


さて、そのためには今年の9月に京都で行われる全日本マスターズ陸上選手権の年代別で二人そろって優勝しなければならない。

2023の全日本では私は70歳代の部(70~74歳)の砲丸投で優勝、円盤投では2位だった。

妻は65歳代の部(65~69歳)の3000m競歩でゴール直前までトップだったが、歩形違反(競歩においては着地している脚の膝が曲がってはならない)と判定され、ゴール1m前で失格となってしまった。


2024年、私は2種目制覇を目標に、妻は失格を取られないフォームの改造を目指して正月3日から練習を開始した。

12か月先、リーガロイヤルホテル宴会場で、瓶ビールで祝杯を挙げることを目指して。


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