全日本マスターズ陸上2023 その1
10月7日(土)、全日本マスターズ選手権2023の第一日。
9月18日に兵庫マスターズに出場し、全日本まであと3週間かと思っていたら、あっという間にその日がやって来た。
昨夜は3000m競歩に出場する妻と
「前夜祭」
と称していささか飲みすぎた。
寝たのが10時で、起きたのは2時。
アルコールが残ったふらつく頭で出発の準備を始める。
午前6時、静岡から取り寄せておいたウナギのかば焼きをうな丼にして食べる。
「私の勝負飯」という妻のたっての希望でそうしたのだが、私はあいにく二日酔いだ。
二日酔いでなくとも朝からうな丼はヘビーに過ぎるが、今朝のうな丼は私にはいささか難行だった。
午前8時、広島駅から新幹線で新山口、そこから山口線に乗り換えて矢原駅で下車し、10分程歩いて維新百年記念公園陸上競技場に到着。
今年、この競技場にやって来るのは3度目で私にとってはいわば勝手知ったるホームグランドといったところ。
受付を済ませ、ロッカーで着替え、メインスタンドで明太子握りを食べ、円盤投げの試合開始まで3時間あるのでスタンド最上段の空きスペースにレジャーシートを敷いて横になる。
寝不足なので軽くひと眠り、と思っていたのだがコンクリートが冷たくて寝られたものではない。
それでも握り飯が消化するまでと、冷たい背中を我慢して、冷凍食品になったつもりで一時間ほどじっと横になった。
12時、ウオーミングアップを終え、選手の招集所に向かう。
今日の円盤投げの試合は70歳代、75歳代が同時に競技を行うのだが、70歳代の参加者はほとんど全員と顔見知りなので、全日本とはいえアウェー感はゼロ。
「お久しぶり」
と久闊を叙しあう。
12年前から私の目標でありライバルであった島根県のMさん、60歳代の頃は円盤投げで何度も全日本マスターズで優勝したが、その彼も74歳になった。
この夏に12年間可愛がっていた愛犬のダルメシアンが急死し、気落ちした彼もその直後に入院したりして今回は練習不足との由。
いつまでも強いMさんであって欲しい私は、ここ数年の彼の記録の低下が歯がゆい。
12時50分、円盤投げの試合開始。
1投目、31m40
2投目、ファウル
3投目、32m29
4投目、33m12
しり上がりに飛距離は伸びていったが今年のベスト34m68には遠く及ばず、優勝したSさんとは75センチ差で2位になった。
妻が撮影してくれた動画をチェックすると、リリースポイントが低くなるという私の欠点がはっきりと映っている。
(分かっちゃいるけど直らない)
のだなあ、これが。
スタジアムの駐車場にキッチンカーが5,6台並んで選手たちの食欲を誘っている。
そこに店を出していた地元の外郎店で子供たちへの土産に外郎を買い、宅急便のコーナーで今回の大会パンフレットなどかさばるものと一緒に自宅へ送る手配をした。
これが後でてんてこ舞いの原因になったのだが、その時の私と妻は知る由もない。
明日の試合のために今夜は新山口駅前のホテルに二人で泊まる。
午後4時、ホテルにチェックイン。
部屋はツインのはずだったが部屋に入って驚いた。
なんと、ダブルベッドが部屋にデーンと鎮座しているではないか。
ダブルベッドというと私にはラブホテル以外連想されない。
結婚して41年になるが、私は妻とダブルベッドに寝たことは誓って一度もない。
私の不注意な予約が招いたミスで、今更部屋の変更はできない。
やむを得ずフロントに電話し、掛布団二枚を持ってきてもらい、その夜、私はそれにくるまって床で寝た。
昼間はスタジアムの冷たいコンクリートに横たわり、夜はホテルの床に寝る、このホテルのある地は詩人中原中也の生まれ故郷であり、漂泊の俳人種田山頭火が長らく暮らした街だが、そういえば山頭火も
「酔うてこほろぎと寝ていたよ」
という有名な句を残した人であった。
私も同じ苗字だが、まあ地べたに寝ないだけあの酒乱の山頭火よりはましとするか。