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70代のひとり部活  作者: 種田
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デジカメがコーチ

8月21日  


朝7時20分、河川敷到着。

連日の猛暑に半ば枯れてしまった原っぱには無数の赤とんぼの群舞。

その翅が朝日を浴びて金色に光っている。


今までは円盤投げの練習を先に行っていたが、そうすると円盤の練習を終える1時間半から2時間後には腕が疲れてしまい、砲丸を投げる余力がなくなりがちだ。

よって、今日は砲丸投げ(5k)の練習から始める。


砲丸投げの練習を約一時間半、「腰で砲丸をはじき出す」、「右肩までズドンと突っ込んで砲丸を強く突き出す」という分かり切ったことを改めて再確認する。

10m20,10m10,10m10が今日のベストスリー。


円盤投げは3回前の練習から、私の年齢別クラスで使う1kより重い1,5kの円盤を投げている。

ターンもやめて立ち投げだけの練習だ。

立ち投げで納得できるフォームと投げ力を養成するのが1,5kの円盤を使う理由だ。

何年間も1kの円盤で投げていたため、二週間前には随分と重く感じられた1,5k円盤が回数を踏むごとにその重さに体が慣れてきた。

70歳を過ぎても新たな負荷を自分にかければ、肉体はその負荷に対応して強くなっていくという新たな発見があった。


いつも自転車のサドルに乗せたデジカメで撮影して自分のフォームを確認しているが、今日は横から撮った動画を見て、円盤を振り切る右腕のスピードの遅さに我ながら驚いた。

(こんなに腕の振りが遅いのか)

1,5kの円盤だとは言えあまりにも遅すぎる。

飛距離が出ない原因がどこにあるかがよく分かった。

デジカメが私のコーチだ。


腕を強く降ることを意識し始めて徐々に円盤が飛び始めた。

腕を速く振ると重さを感じる度合いが低下することも分かった。

15年円盤を投げていても、このように投擲練習では毎回新しい発見がある。


11時、練習を終えて、いつものように橋の陰になった河岸の石段に腰を下ろして裸足になってくつろぐ。

目の前の川を挟んで向こう岸まで100mくらいだろうか。

私の前後左右100m、この河川敷に人影はない。

カルガモが一羽、河岸の木の緑を映した川面を滑っていく。

3時間の炎天下の練習で火照った体を川風が癒してくれる。

毎年、猛暑の練習の後だけに感じることができる束の間の黄金の時間だ。


少年たちの夏休みも残すところ一週間となった。

残った宿題に追われているのか、彼らの姿はない。



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― 新着の感想 ―
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