競技一日目
7月16日
2023年度、中国マスターズ陸上競技選手権の一日目。
4時起きの予定だったが午前2時に起床。
窓の外を通り雨が過ぎていった。
バナナ、チーズ、コーヒーで起き抜けの軽食を摂る。
新聞を読んでから試合用のユニフォーム、シューズ、着替えなどをバッグに詰める。
二日間にわたっての試合で、山口に泊まるので持っていくものがやや多く、デイバックがパンパンになる。
6時、うなぎ丼の朝食。
気のせいか全身の隅々にまで満ち満ちるパワーを感じる。
今回の試合はM70部門(70~74歳)の砲丸投げ、円盤投げで私の持っている大会記録の更新が最低目標。
7時、妻の運転で広島駅に向かう。
駅構内は外国人旅行者がいっぱいで、周囲からは英語、中国語、スペイン語が聞こえてくる。
サミット後、広島にはコロナ以前をはるかに上回る外国人観光客が押し寄せている。
新幹線、山口線と乗り継いで9時46分、矢原駅に到着。
たまたま同じ電車に乗り合わせたSさんと競技場まで歩く。
Sさんは60歳代の部の五種競技の日本記録保持者で、私と同じ町内に住んでいる。65歳になった今年は65歳代の部の日本記録を狙っているのだが、昨年来腰を痛めていて今大会は試合に出ず、競技役員として裏方を務めるそうだ。
五種競技の日本記録は9月の岡山で狙うそうで、10月の全日本マスターズは跳躍種目で挑むとのこと。
途中、コンビニで食料を仕入れてから大会の会場である維新百年記念公園陸上競技場に到着。
スタンドの最上階に行って見下ろすと、谷底に見えるトラックが太陽に焼かれて熱そうだ。
トマトベーコンサンド、辛子明太子の握り飯で腹ごしらえをし、最上段の空きスペースに持ってきたレジャーシートを敷いて横になる。
風が吹き抜けていき、実に爽快だ。
30分ほどまどろむ。
何せ2時起きだったからすぐ眠りに落ちた。
隣のテニスコートからは時々風に乗って歓声が聞こえてくる。
12時、スタンドから下りてロビーで受け付け。
大会プログラムを見ると円盤投げのFさんが参加していない。
三歳年下の彼との勝負を楽しみにしていたので残念だ。
12時半。
競技場2階のスタンド裏でウオーミングアップ。
少し離れたところにあるサブグランドでアップをするつもりでいたが、この炎天下ではたまらないので太陽に照らされないスタンド裏でアップをする。
1時40分、第二コーナー奥にある選手招集場所に行く。
10月の全日本マスターズのリハーサル大会も兼ねているので競技役員はてんてこ舞い。何度も選手確認をし、ユニフォームやバッグのメーカーのロゴにはそれを隠すためにテープを張られる。
2時、競技役員に先導されて円盤投げのサークルに移動。
二回の公式練習では32m前後。
2時半、競技開始。
1投目:32m85
2投目:33m85
3投目:34m56(大会新記録、M70部門広島県新記録)
4投目:33m33
2020年からの足掛け四年間で円盤投げでは一番いい試合が出来た。
7月14日の練習でつかんだ「人間風車」投法がはまった。
やる気いっぱいの太陽にあぶられて、猛烈に暑い試合だった。
試合後、着替えてから予約しておいた湯田温泉のホテルに向かう。
地図で見て、10分も歩けば着くだろうと思っていたホテルは意外に遠く、結局炎天下を20分以上歩いて汗だくになってホテル着。
途中、吉敷川という小さな川を渡る。
90年近く前、小郡(現在の新山口駅の近く)に住んでいた俳人の種田山頭火はこの川のあたりをしばしば散歩したことだろう。
チェックインして洗濯をすまし、ホテル内にある風呂に行くが、この風呂が熱いのなんの、とてもゆったりと体を沈められたものではない。
他の客も熱いらしく皆早々に湯から上がってくる。
6時、湯田の街を飲み屋を探して歩く。
温泉街を独りでぶらつくのは何年振りか。
旅情を感じる。
ある焼き肉屋で、「予約でいっぱい」と断られ、それでなおさら焼肉なくてはならなくなり、次に見つけた焼き肉屋に入る。
焼肉屋に入るのは10年ぶりだ。
試合の後、居酒屋などでしみじみとその日の試合を振り返りながら、一人酒を飲みつつ自分で自分を祝うのが私の楽しみの一つだ
しかし今日は焼肉なので次から次へと肉を焼くのに忙殺され、試合をしみじみと味わい返す余裕はなかった。
タン、レバー、上ミノ、ツラ、ホルモン、カルビ、キムチ、ビール大ジョッキ二杯。
若い頃ならこの二倍は食べて飲んだものだが、食が細くなったものなり。
ホテルへの帰り道、立ち寄ったコンビニで周りから聞こえてくる言葉はすべて中国語だった。
(山頭火の一句)
飾り窓の牛肉とシクラメンと