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70代のひとり部活  作者: 種田
21/55

蝶と円盤

7月11日  


午前8時から11時30分まで投擲練習。


練習を始めた時には薄曇りだったが、途中から雲が切れて青空が見え始めた。

昨日まで降り続いた長雨で、河岸近くにまで水位を増した川には緑がかった茶色い水が激しい勢いで流れている。

川の中州には上流から流れてきた流木が引っ掛かっている。

何時も投げる場所には泥が上がってしまって投げられないので、橋の下の乾いている一角で砲丸(5k)を投げる。

左腕の使い方で発見があった。

10m10が二本でまずまず。


円盤(1K)は腰で円盤をはじき出すイメージで投げて、闇の中にかすかな光明を見いだせた。

33m80が二本。


時折雲間から顔をのぞかせる太陽はまさに夏のそれで、頭髪のさびしくなった後頭部をまともに照らされると頭がくらくらする。


この原っぱの蝶は人なつっこいタイプが多く、私の周囲を

(おじさん、何しとん?)

とばかりに付きまとってくる。

亡くなった父母や愛犬が会いに来てくれたのだと思ってしばし付き合う。

蝶は地面に置いた円盤にしばしば止まっては羽を休めるが、砲丸には近づかない。

円盤に蜜があるわけでもなかろうに、何故だろうか。

マスターズ陸上で私と同じ種目をしている元理科の教師で、退職後は蝶の研究をしている人が関東にいる。

10月の全日本マスターズで会ったら、この謎を彼に質してみよう。

5年前の奈良の競技場でのこと。

試合中にもかかわらず、彼は飛んできた蝶を見ると追いかけて行ったものだった。


練習を終えて自転車で帰る川土手の道に、今日は強い向かい風が吹く。

3時間以上立ちっぱなしで投擲練習をした身に、向かい風はまことにつらい。

自転車が止まりそうになる。



(山頭火の一句)

てふてふひらひらいらかをこへた


☆ちなみに「てふてふ」とは蝶、「いらか」とは屋根瓦のこと


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