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皮骨堂怪異譚  作者: 狩間流
3/5

水槽~水槽の魚~

水槽を購入した


よくあるテレビに影響され、なんとなく魚でも買ってみようと思っただけだ


作り物の水草や石を簡単に設置して水を入れる


水槽の中は、簡単に作った割には我ながらいい感じにできたと思う


エアーポンプの空気が水面に映った光をゆらゆらと揺らしている


気が付けば深夜1時を回っていた


どんな魚を飼おうかと考えながら布団に入り、気が付けば夢を見ていた




模様のついた魚が優雅に泳いでいる


ふと耳を澄ませてみると、水面が波打つ音


見覚えのある作り物の水草


鏡張りの壁




目が覚めれば、時刻は8時過ぎ、家を出なければいけない時間だ


酷い汗をかいていた


布団は、水をこぼしたかのようにじっとりと濡れていた






なんとか、駅にたどり着き


電車を待っていると


目の前の人がこちらを振り向き、そのまま線路へと吸い込まれていった





そこからの事は覚えていない


気付けば会社からは数日の休みをもらっていた



家に帰り、布団に倒れ込む


布団は今朝のまま、じっとりと湿っている


不快な感覚の中、眠りにつくと



またあの夢を見た


違う模様の魚が一匹増えていた


水槽の中をゆっくりと泳ぎ回っている




『目』が合った




跳ねるように飛び起き


トイレへと向かい嘔吐した


身体は、また不快な汗で濡れている


水槽を見ると、飼った覚えの無い魚が一匹優雅に泳いでいた


その魚の模様には見覚えがあった




以来、私は、その悪夢を毎日見ている


テレビでは連日、電車への飛び込み事故のニュースが流れ


夢の中の魚は一匹ずつ増えている


水槽も同様に同じ魚が増えている



もう何日目になるのだろう


今日も仕事の為に私の足は駅へと向かう



気が付けば聞きなれた水の揺れる音



作り物の草 



人の顔の模様のついた魚




また、この夢かと思った私の目の前には


最初に見た魚がいた


私の顔の模様が私を見ていた


その夢はいつまでも覚めることは無かった



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