出会いと別れ-1
マーケットが少しずつ離れていくのが見える。
見飽きた光景が続く。家、家、家。
調査場所は着くまで秘密らしい。俺とゆづきには場所の説明は一切無かった。その時点で普通は断るべきことだろうが、いち早く情報を手に入れたかったため、その取引に応じた。
まだ、歩きはじめたばかりなのだがいつになく、背後にいるゆづきは警戒を強めている。
沈黙が続く。周囲からは無音で、俺たち3人の歩く音しか聞こえない。
白いカマキリが襲ってくる可能性も加味して静かに動いているのかもしれないが、このままずっと沈黙が続くのは精神的に良くない、それに1つでも情報を聞き出すべきだと考えた。
目の前の大男に声をかける。
「あー、ちょっと聞きたいんだが、あんたはゆづきと面識があったようだが…。いつ出会ったんだ?」
「うん?ああ、その辺りの話はしてなかったな。というか、ガキンチョが話すべきじゃないのか?」
源内が少しだけ目をゆづきの方に向ける。
ゆづきはその目線を無視している。
「まぁ、いい。俺が説明しろってことか。」
そう言って、源内は柄になく語りはじめた。
あれは3年前くらいだったか。もちろん、こんな場所じゃカレンダーなんてないからな、だいたいだ。
マーケット周辺の調査を同じ警備隊の陸奥と行った。
まあ簡単に言えば、食料や、脱出経路の捜索だ。
3日3晩の調査。1日目と2日目は順調に進んだ。3日目の帰り道にこのガキンチョを見かけた。こんな街に銀髪褐色だ。追いかけるのが普通だろう。
「これがガキンチョとの出会いだ。特に変哲も何もないだろう。」
確認のため、ゆづきの方を見ると不満げな顔をしている。それに、陸奥という人は警備隊にはいなかった。
何か嘘をついているのだろうか。しかし、源内が嘘をついている感じはない。
「なんか都合の良いところだけ話してるね、」
「日和に求められた情報はそれだけだろう?嘘はついてないぞ。」
「はぁ。その後、僕を見て源内が捕獲しようとかなんとか言ってたよね。」
源内を見ると、誤魔化すように頭をかいた。
見るからに事実だということが分かる。警備隊である以上、放置はできないとは思うが捕獲するとは大胆な行動だな。
「わかったわかった。全部説明すりゃいいんだろ。」
源内は呆気なく説明を始めた。
銀髪褐色なんて見たことない。元の世界でも地毛というのは見たことがない。しかも、人間そっくりだ。異形達を今まで見てきたからなこのガキンチョも皮をかぶった化け物の可能性は否定できないだろう?攻撃されたら困る。俺はすぐに捕まえて知能があれば尋問しようと提案したわけだ。だが、同行している陸奥はあまいやつだった。なにせ、このガキンチョを保護するとか言い始めたからな。結局、ガキンチョのことを追いかけることも忘れて俺ら2人で口論し始めた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
2日間の間隔が空いてしまいました。それに今回も話が分かれることになってしまいました。
まだしばらくこの投稿ペースが続きそうですが、待っていただけると嬉しいです。




