早く次の目的地へ
トントントンという軽めのノックが聞こえる。
ベットから身体を起こさず、ポツリと呟く。
「朝か・・・。」
まだ昨日の疲れが残っている気がして埃まみれの布団をかぶり二度寝をする。
部屋の扉が開くが、そこにいるのは誰か、気配で分かる。わざわざ隣の家からくるのはご苦労様なことだ。
「ねえ、昨日の続きやらない?」
かぶっていた布団をはがされ、身体に朝日がまんべんなく浴びせられる。
あっちむいてホイがよほど気に入ったみたいだ。
だが、俺はもう一生分はやった。正直もうやりたくない。
最初にあったときのゆづきはどこへ行ったのか。そんなことを思うほど彼女は変わった。
良い傾向なのだろうが、しばらく経つと思い出したように何十回も同じことをさせられるのは苦痛でしかなかった。
「いや、やらない。もう十分やっただろう・・・。」
「えー。」
ここまで娯楽に飢えているとは思ってもみなかった。
目の前にいるのは駄々をこねる子供そのものだ。
「わかった。次のマーケットについたらな。」
そう言って彼女を部屋に残し、部屋から出る。
閉めたドアから何か聞こえるが無視して出発の準備を整え始める。
準備を整えて家を出発するとすぐにゆづきは俺の手を引っ張って歩き始めた。
「ちょっと待てって、どうしたんだ!いったい?」
昨日よりも明らかに歩くペースが速い。これはもう走っているのとそう変わらないのではないか。
「マーケットについたら続きやってくれるっていったよね。早く行こうよ。」
寝起きで適当なことを言ってしまったことを思い出す。
だが、早くマーケットに行きたい気持ちは俺も同じだ。
走るのとそう変わらない速度で進む。
「このペースで行けば夕暮れ前にはマーケットにつくよ。」
嬉々として言っているが、こんなにガチャガチャ音を立てて走ったら白いカマキリが来そうで心配だ。
「おい、白いカマキリが来たらどうするんだ。」
「あっ、そうだったね。」
速度がゆっくりと落ちていく。
興奮した様子だったのがすっと元に戻る。興奮した状態から戻ってくれて一安心だ。
「まったく、気を付けてくれよ。」
「ごめんごめん。でも、早ければ今日中にマーケットに着けるよ。」
そんなに進んでいるのか。昨日、あっちむいてホイに集中していたが、歩くのは思ったよりも早いペースだったのか。
そろそろ気を締めないと危ないかもしれない。
マーケットにいる人の中にどんな人物が混じっているか分からない。
昨日よりも早い足取りで次の目的地へ向かう。
ようやく次の目的地に着くようです。ここまで読んでいただきありがとうございます。




