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果てのない世界で選んだ選択肢  作者: よしたろう
新たな出会い
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後戻りできない

休日だというのに、いつも通り六時半に目覚まし時計が鳴り、布団の中から手を伸ばしてアラームを止めた。仕方なく寝床から起き上がり、食卓へ向かった。

椅子に座り、昨日作り置きしていたおかずを食べながら、テレビをつけた。


「---名の捜索を続けていますが、未だに発見できていないとのことです。もし目撃した方はー」

テレビを消した。


ここ最近のニュースは同じようなことを何度も何度も繰り返している。どのチャンネルも似たような放送しかしていない。

行方不明の人数が増えるたびに、不快な気分になる。



食器を片付けて、歯を磨き、着替える。

朝早く目覚めたのにすることがなかったため、散歩することにした。


特に行くあてもなくふらふらと歩いていると、ふと話し声が耳に入ってきた。


「バイトの先輩が行方不明って話聞いた?」

「聞いた聞いた。もう二週間も連絡がとれないんだってね。最近物騒だね。」


その話し声から逃げるように速足で歩く。

まただ、行方不明になる話は毎日のように聞く。

突然人が消えることや、何かを追いかけたまま帰ってこなくなった人がいるそうだ。

世間の多くは誘拐事件や何らかの組織の陰謀などと考えているが、そんなものではない。


俺はこの目で…


そこで思考が止められた。


突如、ズリッ…ズリッ…と何かを引きずるような音が聞こえた。

この気味の悪い音はあの時の…。

記憶がフラッシュバックして、背筋に汗が這うように流れる。

周りの空気が重くなったように感じる。

自分の本能が警告を出している。

しかし、ここで逃げるのはダメだ。そう決意し、正体を確かめるべく音のなる方向へ向かった。


一歩ずつ一歩ずつ、息を潜めるようにしながら音の聞こえる方向に足を踏み出す。

不思議なことに、その音以外の音は聞こえてこない。

いや、聞こえているがノイズの音のように不必要なものとして脳が処理しているのかもしれない。

そして、ようやく音のそばまできたが、塀の向こう側にいるためその正体はまだ掴めない。恐怖で震える身体を抑えながら、意を決して塀を飛び越えた。

激しい目眩がした。

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