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果てのない世界で選んだ選択肢  作者: よしたろう
旅立ち
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出発

昨日まで住んでいた家に別れを告げて、次のマーケットへ歩き出す俺とゆづき。

次のマーケットはこのペースだと3日間くらいかかるとゆづきは言っている。

二時間ほど歩くとバッグの中に入れてきた十分な水と食料がだんだんと重く感じてきた。

少し鍛えたくらいではまだまだなようだ。

そんな心境が見抜かれたのか、前を歩く彼女は振り返って、


「そろそろ休憩する?」


と言ってきた。

休まずどんどん進みたい気分ではあるが、休息も必要だ。


「ああ、休憩したい。すまないな。」


「気にしないで。」


彼女についていくのが必死なくらい、歩くペースが速い。

荷物はだいたい同じくらいの重さのはずなのに軽々と荷物を背負って歩いていく。

10㎏ほどもある荷物を背負っているのにゆづきの余裕ぶりは驚かされるものだ。

少し水を飲んで、喉を潤わせた後また歩き始める。


休憩から体感30分ほど歩いた後、ゆづきはなぜか少し速度を落として、俺の横に並んできた。


「ねえ、少し退屈になってきちゃった。何か面白い話はない?」


勘弁してくれ、このペースで歩くだけでも大変なのに、そのうえ会話は正直言って辛い。

そんなことを言うわけにもいかなかった。


「この荷物を持ってくれたら、話せるぞ。」


「それくらいならお安い御用だよ。」


冗談で言ったつもりだったが、正直に受け止めたようで、荷物を渡してと言わんばかりに手を突き出してきた。話を聞きたそうにキラキラした目をされると断りづらい。

男が少女に重い荷物を渡すなど言語道断だ。

とは思ったが、普通に俺より力持ちのゆづきに渡したところで大した負担にならないことを知っている。

ゆづきに奪い取るように荷物を持っていかれた。

仕方なく、話し始める。




「ユーエンチってところいってみたいなあ。」


遊園地の話に興味がわいたようであれこれ質問される。

観覧車やジェットコースターについて話すと、乗ってみたいだの楽しそうだの子供とそう大差ない様子が見受けられた。

記憶喪失でも遊園地くらいは知ってそうだとは思ったが、食料の調理の仕方や名称、この街の情報以外あまり覚えていないらしい。

娯楽についての知識は一切覚えていないと言った。

試しにリバーシ…通称オセロについて聞いてみたが知らないと言っている。

かなり重症の記憶喪失みたいだ。

記憶喪失は基本的に体得しているものは記憶に残りやすいはずだが、娯楽も一切知らないとなると、どういう環境で育ってきたのか分からない。

結局、自分の年齢も分からないらしく、持っていた手帳にはほとんど手掛かりになるようなことは書いてなかったそうだ。


「なんかまた私の話になっちゃったね・・・。」


せっかく楽しそうに話を聞いてくれていたのに、また余計な疑問まで言ってしまう。


「でも、知らない事いっぱい聞けて良かったよ。今度、まるばつげえむってのやってみたいな。」


はい、と片手で荷物を渡してくる。

渡された荷物の重さで態勢が少し崩れる。しかし、鍛えていたおかげですぐに持ち直せた。

そして、ゆづきは先ほどと同じように俺の前を歩く。

再び遅れないように追いかける。

しばらくの間、短めの話ばかりになります。ご了承ください。

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