東の動物達と根っこ広場
そして次の日起きると東の動物たちに囲まれていました。
その東の動物達の中からサルのおじさんが前に出てきて、
「ついてこい。」と一言告げキツネ君達は大きな広場に連れて行かれました。
そこにはイノシシさんやシカさんトンビさんやネズミさんなど東の森のたくさんの動物達がいました。
ここまで連れてきたサルのおじさんがコマドリさんやヘビ君、クマ君、アライグマ君に
「なぜおまえたちは西の森の動物と仲良くするのだ。」
すると、
コマドリさんが「歌をきいてくれるから。」
ヘビ君が「知らないおいしい木の実を分けてくれるから。」
クマ君が「みんなといるとなんでもできる勇気がもらえるから。」
アライグマ君が「一緒に遊んでくれるから。」
そして、「これは、東の森の動物達では得られないものだったから、僕たちはキツネ君やリス君と一緒にいるんだ。」といいました。
同じ東の森の動物がそう言われ周りの動物達はざわめきました。
「本当に西の動物達は私達と同じなのか。」
「でも昔からの教えが間違っているとは思えんが。」
「だが、実際目の前にいるもの達は悪そうには思えんぞ。」
しかしそれでも西の森の他の動物は悪い動物であるという考えを捨て去ることができませんでした。
すると東の森の長老のお爺さんタヌキがいいました。
「では根っこ広場で西の森の動物は言い伝え通りの悪い動物か、この4匹が言うように良き動物か、真実を見極めよう。」
根っこ広場は森の西側にも東側にもあるたくさんの木の根っこが飛び出した広場で、ここで嘘をつくと根っこが体にからみつき動けなくなります。
大きな嘘をつけばつくほど根はからみつき場合によっては何日も動けなくなってしまいます。
そうして一同に連れられてキツネ君達は東の森の根っこ広場に行きました。
そこで長老のお爺さんタヌキがキツネ君とリス君に
「ここで君たちには宣誓をしてもらう。君たちは〝東の森の動物に悪さはしませんとな。“
もしそれが本当なら何も起こらないだろう。嘘であれば君たちは暫くはこの根っこ広場からでることはできない。今すぐに西の森に帰るというなら宣誓はせずに帰してやるがどうするかね。」
キツネ君とリス君は迷うことなく「宣誓します。」と答え、
「僕達は東の森の動物に悪さをしません。」と高らかに宣言しました。
宣言をしても根っこはキツネ君やリス君に絡みつくことはありませんでした。
キツネ君達が嘘をついていないことは証明されました。
けれど、西の森の動物が悪い動物かどうかはわからないと言い、キツネ君やリス君も今日中に東の森から出ていけと言われました。
長い間西の動物は悪い動物だ信じてきたものをそうじゃないとわかったからと言ってすぐには信じられなかったのです。
それどころか、何か恐ろしい魔術か何かで根っこが動かなくしたのではないかと思う動物もいました。
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