クマ君
森を進んでいくと
「止めれ。これ以上西の森のものが東の森を進むな。」
と言われました。
4匹は辺りを見渡しますが誰もいません。
気のせいかと思い更に進むと、
「止まれ。これ以上進むことは許さんぞ。」
しかし、声は聞こえても姿がありません。
キツネ君達はお化けかとも思いましたが、昼間の明るい内にお化けが出るなんて聞いたこともないし、コマドリさんやヘビ君もこのあたりにお化けが出るなんてことは聞いたことがないというのでこのあたりに住む動物です。
キツネくんが「あの、姿みせてもらえませんか。」というと
「え、嫌だよ。」
「どうして。」
「だって西の森の動物は恐ろしいって聞くから。」
するとリスくんが、
「僕達がそんなに恐ろしそうに見える。」
「見た目だけでは判断できないよ。」
「大丈夫だよ。何もしないよ。」
「本当に。」
「本当に。」
「じゃあ。」
そう声が聞こえたあと前の茂みから大きなクマが現れた。
リス君はキツネ君の後ろに慌てて隠れ、
「食べないでね。僕はおいしくないよ。」とかなんとかいっていた。
「食べないよ。君こそ僕を襲わないでよ。」
「僕がクマ君を襲うの?」
他の3匹もぽかんとしていました。
リスがクマを襲う?
そして、リス君を始めキツネ君、ヘビ君、コマドリさんもおなかを抱えて笑う。
クマ君だけが意味がわからないみたいで一匹ぽかんとしていました。
ひとしきり笑った後、キツネ君が「ごめんね、笑ってしまって。でもこれだけ大きさが違うとリス君がクマ君を襲うことなんかできないよ。」
「そうかな。ハチなんてあんなに小さいけど僕を襲ってくるよ。」
「確かにそうだね。でもハチがクマ君を倒すことは今までなかったよね。」
「そうだね。痛い思いはしたけど。」
「それにハチは自分の巣を守る為にクマ君を襲ったはずだけど、僕たちはクマ君を襲う理由がないから襲わないよ。」
「そっか。僕も君たちを襲わないから安心して。」
「ありがとう。ところで、僕達が何で西の森動物だってわかったの。そして進むなってどういうこと?」
「ああ、それはね、君たちが西の森の動物だってのはサルのおじさんが見つけてみんなに注意するように言って回ってたんだよ。「西の森の恐ろしい動物がこの森に入ってきている。見つけ次第捕まえるように」てね。」
「じゃあ、クマ君はなんで捕まえようとしなかったの?」
「だって怖いじゃないか。」
「今も僕達怖い?」
「ううん。怖くない。」
リス君が「捕まえる?」
「捕まえない。恐ろしい動物じゃあないもん。」
「良かった。」とリス君はほっとした顔をする。
キツネ君はリス君に「どうしよう。もう東の森では僕達が西の森の動物だって知れ渡ってしまったみたいだね。一度戻る。」
すると、コマドリさんが「もう戻っても知れ渡ったなら同じよ。こうなったら西の森の動物が悪い動物じゃないってことをみんなに知ってもらわないともう会えなくなってしまうわ。」
ヘビ君が「それは困る。まだ知らない木の実をもらってないし、また遊びたいし。」
キツネ君は「そうだね。このまま進んで僕たちが悪い動物じゃあないことを東の森のみんなにも知ってもらおう。」
リス君がびしっと「前進あるのみです。」といって進むことに決まりました。
するとクマくんが「僕もついていっていいかな。」と聞いてきました。
「僕もみんなと遊びたいし、せっかく仲良くなったのにここでお別れは嫌だから。」
リス君が「一緒に行こ。」
と言って5匹で森を進んでいくこととなりました。
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