コマドリさん
そして次の日2匹はいいつけを破り川の上流から川を渡り東の森に入りました。
始めて入る東の森を歩いてみてリス君が「あんまり僕達の森と変わらないね。」
「そうだね。なんでこっちの森に来たらダメなのかわからないね。」
暫く森を進んでいくときれいな声の歌が聞こえてきました。
リス君と歌が聞こえてくる方に行ってみると、切り株の上でコマドリさんが気持ちよさそうに歌を歌っていました。
暫く静かに聞いていると、コマドリさんがこちらに気づきました。
「あら、こんにちは。」
「こんにちは」と挨拶したリス君に続きキツネ君も
「こんにちは。歌上手いんだね。」
「そうよ。うまいでしょう。」
そう言ったがコマドリさんは何処悲しげな表情でした。
「どうしてそんなに悲しそうな顔するの。」
「それはね。この東の森では誰も私の歌を聞いてくれないのよ。みんな歌に興味がなくて。」
「そうなんだ。せっかくのいい歌なのに聞いてくれなければ悲しいね。」
「そうでしょ。ねえ、良かったらまた私の歌を聞きに来てよ。」
「うん。いいよ。」
「ありがとう。でもあなた達この辺では見ない顔ね。」
「そうだね。僕達は西の森から来たからね。」
「西の森からきたの。それはあまり言わない方がいいわよ。私達鳥は翼があるから、あまり西や東は気にしないけど、ここに住む動物は西には恐ろしく、意地の汚い動物しかいないと思っているから。」
「どうしてそんなふうに思われているの?」
「お爺さんのお爺さんからそういうふう言い伝えられてるそうよ。実際は東も西も同じ動物なのにね。」
「そんな嘘の話が言い伝わってるんだね。西の森でも東の森は怖い動物がたくさんいるっていわれてるから同じだね。」
「ねえ、これからまだ東の森を進んでいくんでしょ。私もついていっていい。」
「うん。勿論いいよ。」
そして、コマドリさんを加えて3匹でさらに森の奥へと入っていきました。
お読み頂きありがとうございます。