第八話
どうしようかと、振り下ろしてくる剣の攻撃に視線をむけながら考えていた。
炎を纏った剣の攻撃には、まったく恐怖は感じず構えたまま動かないでいた。
その攻撃を見つめながら、ユウマは考えごとをしている。
観戦している人々から見たら、何故避けないでいるのかと思うところだが。
戦闘をしているユウマとしては、単調的な攻撃なので考え事をしていたに過ぎない。
その攻撃は余りにも遅すぎるし、いつでも避けられる攻撃だったのである。
『この馬鹿馬鹿しく愚かなリステーの作戦の攻撃を、周りから目撃されず。なおかつ解らないように解決するには?どうしたものかなっ』
顎に指を添えて考え事をしながら。
『よしっ、まずは魔法の方を如何にかしよう!』
リステーが光属性魔法の【閃光】を発動しかけてるので、まず放つ前に停滞して維持させている魔法陣を、目に見えない速さの手刀で切り裂いき破壊していた。
それで魔法そのものが維持出来無くなり、消滅して消え去った。
そういう事で光魔法による目つぶしをし様とした、騙し討ちのその一手を阻止した。
このとき繰り出した手刀は、ユウマにとっては何気に振るったのだが。
観戦している常人の人には到底見える速さでなく。
そしてリステーにもその速さは解らず、ただ風が吹いた程度でしかなかった。
次に攻撃してきた炎を纏った剣は、面白半分に真剣白羽取りをしようとして。
つい片方の手を握ってしまい、両手で挟み込むのでなく。
武器を破壊してしまう形の、拳と掌底を繰り出し剣を挟んでしまった。
そこで剣を受け止めるつもりが、やはり剣は勢いよくぶち折っれてしまい。
《ガキン》と言う音とともに刃先が宙を舞い飛んでいった。
このとき、ユウマもまさかホントに折れるとは、思っては無かったが。
実は、本人は折る気満々で片方の手は拳に変えて、このような対策を行なったのだった。
その光景をみていた観戦者達は全員、一瞬ユウマが切られたと思い悲鳴をあげる者もいた。
「あっ、ユウマ様が・・・?」「きゃぁぁ?」等の声が多数上がっていた。
だが、次の瞬間リステーが攻撃を繰り出し当たったはずの妙な音が響き剣が折れたのを見て。
その刃先が飛んで行ったので、驚いて呆気に取られていた。
「えっ、何が起こったのですか?」、「どう言う事?」、「えっ、えっ!?」、「剣が折れてしまってますよ」と次々と色んな声が上がっていた。
しかし一番驚いていたのは、当の騙し討ちをするつもりで、攻撃をおこなった本人、リステーである。
『何故だ?どう言う事だ。まさか・・・・』
何故かと言うとリステーの使っていた剣は、ミスリル製の特別な剣であった。
そして、特別な術式で色々と付与してあり。
斬撃強化と麻痺効果の呪詛を施した剣であった。
その上彼自身も、己の得意とする身体能力向上の魔法を使用して筋力を特に能力アップさせていた。
さらには光魔法を使って目くらましを行なう筈だったのだが、その魔法も発動せず霧散してしまい。
そして、炎を纏わしてさらに強化を行なったはずの、自分の剣を難なく折られてしまったからだ。
第三章:第九話につづく
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炎を纏った剣の攻撃には、まったく恐怖は感じず構えたまま動かないでいた。




