第七話
このユウマの行為に少し及び腰に成ったが、リステーは頭を振って構えなおして息を呑んだ。
そして両者ともに構えた状態でにらみ合いをしていたが、最初に耐え切れずに動き出したのはリステーの方だった。
「僕の最高の一撃を、くらいなさい」
そい言って彼は、自分の持っている剣を思いっきり振り上げ、上段から振り下ろす行動に出た。
「うん、なかなかいい攻撃だ。しかし遅い!・・・?」
正直で素直な攻撃だったが、何故か妙な雑念を感じたユウマだったが、その正体は直ぐに解った。
なにせ表情をニヤつかせながら、単調な攻撃と思わせ、卑劣な罠を仕掛けてきたのだった。
『あっ、折角真剣に攻撃してくると思って見直したのに・・・何考えてんのこの人』
このときユウマは、一旦リステーを見直したのに残念がって、がっかりしていた。。
そして、その行為を観戦席でシルフィーたちと領主のロベルトも見ていたのに。
『ああ、折角みんなも真剣に見ているのに、ここで変な事を企んでたと解ったら、みんなさぞ残念がるだろうなぁ』と、ユウマは思って何かを考えていた。
そして、そのリステーの卑劣な罠とは、剣で攻撃しながら魔法を放つ事であった。
それで、攻撃を仕掛けつつその魔法を放って来たのだ。
この時リステーは、ユウマが感じたとおり馬鹿な考えを起こし。
ユウマに対して騙し討ちをしてあわよくば、殺してしまおうとしていた。
『ふふっ!馬鹿な庶民め貴様は、僕の剣の錆びにしてくれる。まずは閃光の魔法を放ち目くらまさせて、そのまま切り捨ててくれよう。ふふふっ・・』
そう考えながら、勝利を確信したかの様に顔をニヤ付かせながら剣を振り下ろした。
光属性魔法の【閃光】を心の中で詠唱して、もう少し曳きつけてから放とうとしていた。
それとは別に器用にも、他の人に感ずかれない様に炎系の魔法を、剣に纏わせて振り下ろしている。
この光景は、観戦者達とユウマに見えない様に、リステーの持っているユニークスキル【幻影霧透写】を使用しているのだったが、何故かユウマにはそのスキルは効かず魔法の発動と種類、そして剣に纏った炎も見えていた。
これは恐らく冒険者ギルドで戦闘試験をおこなった時に、魔法を発動する時に見える魔法陣を認識できる力と、その能力を確認できる魔導師の職業スキルのおかげだ。
それの為、すべての魔法が認識できるのだろう。
そしてユウマは、剣での攻撃と光魔法を発動している状態のリステーを見てから。
どうしようかと、振り下ろしてくる剣の攻撃に視線をむけながら考えていた。
第三章:第八話につづく
・
・
炎を纏った剣の攻撃には、まったく・・・・・?




