第四話
そう言って顔を赤くして執務室を出ていった。
その姿を、みんなで見送りつつ、領主であるロベルトがため息を吐き謝罪してきた。
「はぁっ、すまんなユウマ君。あやつには、もう少し物事の良く見て世間を良く理解して貰いたいのだが、どうも人を見下す癖がある。それにわしがなにを言っても言う事をきかんのだ。だからあれの親も殆ど見捨てている。それでもわしは、人々には優しく気遣いの出来る人間になって欲しいと常日頃思っておる。じゃがちょっと性格が残念なのだよ。しかもシルフィーがこの公国の王女である事も知らずに、勝手に婚約者などと言っておるし・・・・はぁ」
領主であり、彼の叔父でもある。ロベルトは、頭を抱えていた。
「えっ、彼はシルフィーさんが、王族である事を知らないのですか?」
「ああ、私がシルフィーの母親。王妃クレアの兄である事は世間では内緒にしているからな。それにシルフィーも今回の件みたいに隠密で行動ができなくなるし。それに、ここに寄って顔を見せてくれなくなるからな。ははははっ・・・」
そう笑いながら領主のロベルトが答えた。
「えっ!なら、どうして俺には、直ぐに素性を教えてくれたんですか。シルフィーさん?」
自分の時は、直ぐに教えてくれたのは、何故かと尋ねたら。
「それは、ユウマ様だったからですよ」《ニコッ》
シルフィーが笑顔で答えてきた。
だがユウマは、『それは、答えになってないと思うし』と、思ったが声には出さなかった。
そしてその話から一旦離れ、リステーとの決闘をどうするか、みんなに尋ねてみた。
「でもこの後、俺はどうしたらいいのでしょうか?」
すると、領主であるロベルトがニコニコ笑顔で。
「なに、完膚なきまで叩きのめしてかまんよ。そしてあやつに、お前は井の中の蛙である事を思い知らしてやってくれ」
そして、そのロベルトの言葉の後にシルフィーがユウマの手を握り締め。
「そうですね、ユウマ様。貴方様の本気の力で、彼をコテンパンにやっつけてくださいな」
レーネとキュリカの二人は、期待に満ちた目で同時に。
「「彼をボコボコにしてやってください。ユウマ様!」」
《ウンウン》とそう首を立てに振って答えた。
何故か四人とも、彼を叩きのめせと言ってきた。
しかしユウマは、そんなリステーがすごく気の毒になって、かわいそうに思えてきた。
そして、ホントだったらこの後、皆で朝食を取る予定だったのだが。
それはこの決闘が終わった後に行なう事になり。
今からユウマとリステーの決闘を観戦する為、訓練場へと移動を開始した。
領主の屋敷から訓練場に向かっていると、訓練場の場内がにぎやかになっている。
訓練場の入り口をくぐると、そこには何故か観客が沢山いた。
しかし観客というより、それは領主の館にいる使用人と領主専属の騎士達が、無理やりこの決闘を観戦する為、リステーに集められているようだった。
そして今現在、中央付近には完全武装したリステーが、踏ん反りかえって立っており。
その横に迷惑顔で執事のセバリオが待機している。
「やっぱり、俺があそこに行かないといけないですかね?」
ユウマは、不安になってみんなに尋ねた。
「ええ、早く終わらして朝食にしましょ♪」
「信じてますよ。ユウマ様」
「頑張って下さい。期待しています」
女性陣は、こんな茶番は早く終わらして、楽しい朝食を頂こうと応援してきた。
レーネに関しては、いったい何を期待しているのだろうと、ユウマが思っていると。
「ユウマ君、なんならあの馬鹿者の、腕の一本や二本でも折ってやってくれてもかまわん。いや、折って動けない様にしてくれ!その方が世の為、人の為、そしてわしの為になる。ついでにあの馬鹿の為になる」
『あれ。ロベルトさん、なんかすごく怒ってない?』
領主であるロベルトは、現在の光景を見て自分達だけならまだしも、仕事中である使用人と、訓練中であった騎士たちを無理やり観戦させている事に、怒りをあらわにしてリステーの方をすごい形相で睨んでいる。
そして、その四人に見送られユウマは、リステーの元になんともいえない感じで歩いていったら。
第三章:第五話につづく
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こちらに歩いてきたユウマに、リステーは偉そうに声をかけた。




