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第二十三話

 それを見たフィリアは、怒るでもなく『そういえばこの子リンクは、先程の戦いをはっきりじゃないにしても目で追ってたわね。もしかしたらこの子、ユウマについて行って修行すれば化けるかもしれないわね。いえもしかしたら全員とも・・』と思って全員を見てから、まだ戦っている二人の戦闘に目をやった。

 フィリアが少年達に説明している間に、2人はお互い殴ったり蹴ったり、又は防御しては、避けるなどを繰り返しすごいスピードで行なっていた。


「はっ、ははっ、ふはは・・!楽しいなあんちゃん、お前は最高だぁ!ここまっでやっても、まだ余裕があるとはなっ!ここからもう一段階強さを上げるからな!死ぬなよあんちゃん!」

「いやいや、おっさん!あんた戦闘狂(バトルジャンキー)か!普通じゃないぞ。まだ強さが上がるなんて?」

 グラントがホントに楽しそうな笑顔で笑いながら、さらに強さを上げると言い放った。

 その言葉を聞いて、ユウマは驚いた顔をしていた。だが、何故か顔がにやけて最後は笑顔で、先程まではグラントさんと呼んでのに、いつの間にかおっさんと気安く呼んで答えていた。


 グラントも呼び方など気にした様子も無く、お互いの力を出し手加減なしで、限界までやれる喜びで顔がにやけていた。


 そしてついにグラントが、少年達の戦いで途中から使い出したトンファーを取り出しユウマに攻撃してきた。

 しかし、少年達のときに使っていたのは、一本だったが今度は両手に一本ずつ計二本で攻撃してきた。


 まず最初にトンファーを回しながら突っ込んで来て、近くに来たらトンファーをクロスさせながら、右へ左へ払うように攻撃してくる。だが、ユウマはどういう風に避けているのか、アクロバットのような動きですべての攻撃を紙一重で避けていた。


 そして、信じられないくらい速く動き回り、ユウマは反撃してキックやパンチを当てているが、それもすべてグラントに防御されている。


 はたから見たらグラントの攻撃で避けるので精一杯のように見えるているが、ユウマの方はいつの間にかグラントの動きを見切って、その攻撃をいともたやすく避けていた。

 グラントはそれならと攻撃方法を変えてきた。その為、突然攻撃方法が変わったので何回か攻撃を喰らうはめになってしまっていた。

 その代わりユウマの方も反撃して、何度かグラントにダメージをあたえていた。


 そんな2人だが、何故かお互い顔が苦痛にゆがむ事はなく。逆に、にこやかに笑顔を向け対峙していた。


 ユウマがこの戦闘で幾度も攻撃や回避、そして防御などと、このように俊敏な行動が出来るのは、幼い頃に剣術道場で剣術、合気道などを習っていた事があったからである。その為、幼い時の回避能力等が身体に染み付いていて、この戦いで忘れていた感覚が一気に覚醒したのである。


 何故幼い時に辞めてしまったのかと言うと、それは小学生の低学年時にとある理由があり。

 ユウマが不思議とどの武術も直ぐに基本を覚えてしまい、同年代では相手がいなくなり実際に誰に対しても本気が出せずにいた。


 しかし、同年代では相手がいないので大人に相手をしてもらっていたが、流石に大人の方が本気で相手をしてくれずに、こちらが本気で来てくれと頼んでも怪我をさせても嫌だからとか、流石に子供相手に本気を出しても等と、言い訳をして本気の戦いを拒否されていた。

 その内に誰も相手をしてくれなくなり、流石に面白くなくなり辞めてしまった。

 それ以降ユウマは、本気で相手にぶつかる事をしなくなり、武術による対立等をしなくなっていた。


 だがこの時はグラントが本気で相手をしてくれて、その上こちらが本気を出してもそれに答えてくれる。 その為、ユウマは自然と顔がにやけていき小さい頃に諦めていた高揚感を思い出し笑い出していた。


「ふっ!ふふふ、ふはぁ、ははははっ♪楽しいな!おっさん!いくら本気を出しても相手してくれる人がいるのは、最高だー♪」

「はははっ!そうだろうあんちゃん、お前も人のことを言えねぇ!立派な戦闘狂(バトルジャンキー)じゃねかぁ!」

「なら俺も、もう一段上の力!本気の力を、いや!こいつを使うぜっ!」

 そう言って最初に、もしものためと言って持っていた木刀、恐らくグラントの戦闘時にいつの間にか落としたその木刀を拾い上げて、腰に低くして抜刀する姿勢で構えた。


 そして、一撃一刀の構えの状態でお互い先程までにやけていた顔を、真剣な顔にして対峙した。

 まず最初に動いたのは、グラントの方で先程と同じ様にトンファーを回転させながら近づいてきてから、攻撃の乱舞を開始した。


 先程と違うのは、トンファーの攻撃だけでなく、蹴りと魔法を併用してきている。

 右側のトンファーで叩きつける攻撃をユウマが避けたら、左側のトンファーが来ると読んでいたユウマが、避ける事をせず木刀で防ごうとしたのを見て、グラントはすぐさま膝での蹴りに切り換え攻撃。するとユウマが瞬時に反応して、後方へ飛んで避けようとした所に、土属性の爆裂魔法、破砕爆裂(バーストインパクト)を唱えて、爆破の一撃を当て吹き飛ばそうとして放った。だが、ここでまたグラントたちを、驚かせて信じれない事を実行したのだった。


 それは、ユウマに放たれた爆裂魔法の破砕爆裂(バーストインパクト)を、気合を込めて振るった木刀の一撃、そう剣気でかき消してしまったのだ。これには振るった本人も驚いていた。


 ユウマは、ただ魔法が放たれる前に光の模様が見えたので、気合を込めて木刀でその光の模様を切ったのだが、まさか切れるとは思っても見なかったからである。


「おいおい!嘘だろ?魔法をかき消すなんて・・・・」

 グラントは自分の放った爆裂魔法、それもユウマの不意をつき。そのうえ最高のタイミングで最高の一発の魔法を、かき消された事に驚き言葉を漏らした。


「なっ、なんだよ!今の?」

「ええ、ユウ兄達の動きは、解らなかったけど。さっきのは解ったよ!でも、魔法が発動すると同時に?」

「ええ!魔法を、発動そのものが!かき消えましたよね」

「うん、どうも兄貴は、あの武器で魔法が起動する前に、魔法陣をきったみたいですね」

 リンクとアリア、そしてメイリの3人が、「へっ?」と言って一斉にロンの方を見た。


「はっ、はい?どうしてみんな驚いているのですか?」

 ロンは、いったい何に驚いてこちらを見ているのか解らず、みんなに問いただした。


「ロン!お前兄貴が何したか解るのか?」

「そうよ、ロン!今、魔法陣がどうのこうのって?」

「うん、うん、発動するときの魔法陣を切ったって」

 ロンの問いただしの後に、3人より逆に質問されたので、ロンは正直に答えた。

「えっ!だって今までぼんやりとしか解らなかったのですが?魔法を使う時と発動または起動時に、魔法陣が出るんじゃないですか?」

 ロンの言葉にみんなが「はあ?」と首を掲げてから。


「「「いやいや、そんなの見えないし。ましてや解んないし!?」」」

 3人が声をそろえてロンに、向けて言い放った。しかしロンの方は、みんな見えないのか?と思っていると。


「ヘー!ロン、あなた魔法使用時の魔法陣の構築が見えているのね!」

「あっ!はい?魔法陣の構築かどうか解りませんが?以前はぼんやりだったのが、先程から魔法を使った時、はっきりと魔法陣が見えますけど?僕がおかしいのでしょうか?」

「いえ、別におかしくないわ。たまにいるのよ!すべての魔法を読み取り使用できる人。その者は全知全能の究極の大魔導師の素質を持った人材が、たまにいるのよね。しかもそのいただきまで到達すればMP(マジックポット)を気にせず魔法を使えるわよ」

 フィリアのその言葉を聴いて、ロンは自分のそんな力いや大魔導師になれる素質があるのかと驚いていた。そしてそれを聞いた残りの3人もロンすごいなど言って絶賛していた。


『なに!この子達、リンクは勇者の素質がありそうだし、ロンは槍使いかと思ったら大魔導師の素質があるなんて。それにアリアは、魔法剣士としての力が覚醒している。近くに魔眼の持ち主がいれば、もしかしたら、いえそんな近くにいないわよね、この国でも5人しかいないし。そしてメイリは、もともと回復や補助系統の魔法が得意みたいだし、まさかね!いいえでも、もしかしたら聖女か賢者の素質があったりして?まさかね』等をフィリア考えていた。


 そんな事を話してる最中もグラントとユウマの戦闘は続いていた。


 そして、ユウマはついにグラントより強烈な一撃をもらってしまった。

 そのグラント攻撃は先程と同じ用に魔法を使って攻撃をしてきたが、その魔法をユウマがまた切り裂いたと同時に、瞬時でユウマに近づきトンファーで木刀を押さえ込むと、前転宙返りの要領で一回転する途中でユウマに向けて踵落としをしてきて、ユウマを地面に這いつくばらせた。


 このとき、グラントはユウマを見下ろてからやっと終わったかと思っていた。


第二章:第二十四話につづく

そしてこれで勝利だろうと思って気を抜き、地に伏せたユウマに向けて話した。

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