第十二話
そして、ゴロツキたちとユウマの何とも言えない戦闘が開始された。
ほとんど一方的な戦闘で、ユウマとしては親切心で行った行動なのだが。
ゴロツキたちにとっては、災難でしかなかったなぜなら。
まず最初に、7人いる内のゴロツキの1人を仮にゴロツキAとして。
そのゴロツキAが襲い掛かってきたので横にかわし擦れ違いざまに、首の付近に手刀をトンと当て気絶させた。
ユウマとしては、ちょっとテレビなどで見た事を試してみたのだが、まさか上手くいくとは思わなかった。
そう思ったのは、この動作は素人がやると非常に危険である等を何かの本で読んだ事があったからだ。
でも相手の動きが遅く擦れ違った時に、首筋がよく見えこのくらいの力ならと、そっとトンと当てたら上手くいきゴロツキAが白めを向いて気絶したのだ。
上手くいってよかったと思い若干ほっとしていた。
その後、ゴロツキB・Cの2人がナイフを出し、D・E・Fの3人が各々の武器を構えた。
そして少年達に威圧していたリーダー格の男が喋りだした。
「なっ!てめー!何者だ。その動き只者じゃねーな?」
『えっ?ただ避けて気絶させただけなのに。何いってんのこいつ・・・』
などと思ったがリーダー格の男の質問に対して簡単に。
「まあー、冒険者をやってるけど?そんなに驚くことか?」
冒険者なら普通なはずだろうと、顎を指でかきながら答えた。
「あー!なに余裕こいてんだテメー、1人倒したぐれーでいい気に成るなよ」
余裕とは思ってもないし、いい気にもなってないのだが、ゴロツキB・Cはナイフを構え2人がかりで、切りかかって来たので応戦しようとした。
だが、余りにも遅い動きで攻撃をしてくるので少し困惑しながら、ゴロツキBのナイフを持つ手にワンパンチ食らわし、ゴロツキCには足払いをかまして転ばさせた。
すると痛みでナイフを落とし、手を押さえながらゴロツキBは叫びだした。
「いってー!ゆっ、指がっ、指がー」
のたうち回って五月蝿かったので、顔面に軽く一発蹴りをかましてやったら勢いよく後ろの壁の方に吹っ飛んでいって、そこに合った木箱を破壊した。
「えっ!そんな強く蹴ってないのに大げさな?」
などを思っていると先程足払いをして転ばしたゴロツキCが足につかまり。
「へへへ、捕まえたぜ!てめーは、もうごっ・・・」
何かを言う前に鳩尾付近に軽く蹴りを入れたらさっきのゴロツキBと同じ様に勢い良く飛んでった。
『何で?人間ってこんなに簡単に飛んだってけ?それとも俺がおかしいのかな』
なんて事を考えていると。
「テメー!何てことしやがる。もーゆるさねー!おめーら全員でかかれ殺してもかまわね」
リーダー格の男が、残った全員に命令を出し一斉にかかってきた。
さすがにユウマもこの人数相手では勝てないと思い、そして殺されてはたまらないと思いつい【超加速】のスキルを使い、そのうえ【能力向上】の無属性魔法を唱えた。
だが、しかしこの二つを使う必要も無かったと後で後悔した。
なぜならゴロツキDの1人目を倒した時点で、残りのゴロツキE・Fの2人はユウマの動きに驚き、お互いの顔を見て動きを止めてしまい。
それから明らかに素人ですみたいな攻撃しかして来ない。
また魔法も使えないのか武器でしか攻撃してこない。
しかも武器の扱いがわからないのか?使い方がめちゃくちゃだった。
たとえばゴロツキEが使用している槍なんか、こんな狭い場所で振り回したら意味が無いだろうと思っていたら、案の定壁に刺さり穂先が折れて使い物にならなった。
それに大金槌を持っているゴロツキFは肩にのせ構えているが、どうも担いでいるだけで、攻撃する時の動作が重さに任せて打ってくるだけだ、すごく避けやすいのである。
なのでゴロツキEが槍を駄目にした時点で、腹に軽くパンチを当てたら、これまたふっ飛んでいき。
大金槌を持つゴロツキFの攻撃をかわしたところ、武器の重さで体勢を崩したので後ろに回り首に軽くトンと手刀を当て気絶させた。
ユウマは、こいつらは馬鹿なのですかと思っていたが、まあリーダー格の男はそれなりに戦闘の経験があるのか動きはよかったが、ユウマの敵ではなかった。
取り合えず剣で攻撃してきたので冗談半分で真剣白羽取りをしてみたが、手を合掌したらその時点でリーダー格の持っていた剣が折れてしまった。
周りから見たら面白半分でもそんな事するなよと言いたい、ところなのだがユウマからしたら【超加速】と【能力向上】を使っているので攻撃自体が鈍く見えていて。
『あっ!これ白羽取りできるんじゃねー』
などと思い実行したに過ぎない。
そして、ゴロツキのリーダー格の男が折れた剣とユウマの顔を見てから。
「あっ!あっ、ああ、あっ、あなた様は、何もので?」
などと震えながら再度聞いてきたのでユウマは考えてこう答えた。
「うーん!ただの冒険者ですけど。何か?」
そう言ってからリーダー格のおでこにデコピンをしたら白目をむいて気絶した。
そのユウマの戦闘を見ていた少年少女たちも、ユウマの動きを見て口をあけて驚いて、何もいえない状態になっていた。
ユウマが、ちょっとやりすぎたかなと思っていると。
笛を吹きながらこの街の衛兵らしき騎士の人達がやって来て、ゴロツキたちが連行されていった。
第二章:第十三話につづく
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ユウマと少年少女たちも、衛兵の騎士の人に一緒に守衛所まで同行するように言われた。




