第七話
まずは腰にぶら下げていたモノであるが、いつもはその様なモノは腰には着けておらず。基本的にアイテムボックスに保管しているか、俺の部屋に置いてある筈なのだ。
ただ今回は色々あり、腰にぶら下げていた状態になっていたのだった。
「そうだった!これって今朝ユア達が渡してくれた物だ」
それは今朝方、自宅である神殿から出掛ける時に、ポーチタイプの小さな魔法袋を渡してくれた。
これはどうやらユアとシャナが最近魔法袋を新しく改良したらしく、時間停止はもちろん収納容量も大幅に増したポーチタイプの小さな魔法袋をであり、それの使い勝手等を検証して不具合を見つけて欲しいと頼まれていた物だ。
それでよく考えると、その時に貰った小さな魔法袋であるマジックポーチに、色々品物を無造作に入れた事を今になって思い出したのだ。
「こっ、これは!ラッキーなのか?それとも不幸中の幸いなのか解らないが・・・ユアとシャナには感謝だな」
ただしあの時は自分が持っている物をなにも考えずに入れたので、いったい何を入れたのか解らないが、それでも色々と収納できたので、それに俺の持ち物(アイテムボックス内の物)をランダムに収納したので、全く役に立たないモノがあるとは思えなかったからである。
「さてと、どれだけの数の物を入れたか・・・確認せずに入るモノを入れたからな?確認だけをしとこう」
マジックポーチに入れた物に関して、先程役に立たないモノが無いとは言ったものの、だが実際に取り出そうとして呆気に取られたのだ。
まず最初に俺が呆気に取られた事とは、なにかというと・・・実は一定の品物が取り出せないのだ。っていうより現状出せているのは、運良く入っていたリュックタイプの魔法袋と体力回復薬の上級ポーション5本と魔力回復薬のマジックポーション3本、それにアーストリアに初めてやって来た時にフィーナがくれていた食料(干し肉、黒パン、水)の約10日分あった。
その他は・・・何故かは解らないがポーチから取り出せない感じであり、掴めるのだが外に出そうとするとすり抜けてしまうのであった。
「・・・う~ん、色々と欲しい物や確認したい事があったけど、現状は無いモノねだりをしてもしょうが無いか・・・でも幸い冒険に必要な道具の入ったリュックがあったのはラッキーかな?まあ、中身を取り出せるかどうかだけど・・・」
まあ幸いそのリュックタイプの魔法袋の中身は、全て取り出せれば問題は無かった。贅沢を言うならリュックの中に、ボックスタイプの小さな建屋で無くログハウスタイプで一軒家タイプの建屋が入っていたらそれこそ大助かりだったが、それこそ無いモノねだりだ。
ついでに言うとボックスタイプの方の部屋には、食料や衣服関係と寝台やキッチンが有るだけで武器や防具関係は無い。その点ログハウスタイプだったら倉庫と工房を完備しているので、色々と製作できるし武器や防具関係も複数保管しているからだった。
「まあ、どっちにしても寝床の確保が出来たのはラッキーだったかな?後はしょうが無いし・・・でも、何でユア達がくれたポーチの中のモノが殆ど取り出せないのかな?もしかして不具合かな?・・・まあいいや!とりあえず取り出せたモノは、リュックの中に入れとくかな。この量なら問題なく収納できるからな!」
今回運良く持っていたリュックタイプの魔法袋は収納容量が少ないタイプであったが、それでも今入れた容量の倍は収納できるタイプである。
ただユア達がくれたポーチタイプは、小さいのにその容量は20倍近くあるが、ほんのちょっと出しただけで後のモノが取り出せない状態だ。しかも後から解った事なのだが、収納も出来なくなってしまったのである。
「とんでもないところで、欠陥が出たのかな?それとも別の何かかもしれないが・・・まあ、今はいいかな重農なモノは手にはいったし、食料と水があればどうにかなるだろう。あとは・・・はあっ!」
もう1度腰にある物に視線をやり、溜息まじりの言葉をはいた。
第十三章:第八話につづく




