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第五十四話

 時間を早めに切上げて、温泉設備を利用すればいいのに、何故か遅くまでみんな作業に勤しんでいるのだ。

「別にブラック企業並みに朝早くから夜遅くまで働かなくてもいいのに、何故か屋敷の仕事をしなくてもよくなった分、他の仕事をしようとしているんだ。まあ別にお金の為に働いている訳では無い様ではあるが・・・交代制にして早く戻って来ればいいのにな。まあ近いうちには休暇を取るようだからその時にでも入って貰おう・・・」


 一番使って貰いたい彼女達は、何故か未だに朝から晩までフルに、店舗で働きづめである。聞くところによると楽しいし給金もそれ以上に出るので問題ない等と言っているそうだ。

 これ以上は俺が言っても聞きそうにないので好きにさせているが、実際のところ新規に店員を雇いたいところだが、信用が置ける人員の確保が出来ていないのが現状らしいのである。それでも休日には入って貰う様に進めた。


 ただやはり休日だけでなく、毎日利用して貰いたいので、その部分も考える事にした。

「そんな忙しい彼女達には特に毎日でも使って貰いたいけど、確かに夜中にあそこまで行くのと暗い中湯船の場所に移動するのは、流石に危ないから少し通路とかと湯船の回りを改良するかな。それに温泉施設を常時使える様に改良しよう。今のままじゃみんなが自由に色んな時間帯に使えないよな・・・」


 実を言うと温泉設備以外の建物の中の明かりに関しては魔力でどうにでもなるのだが、何故だか不思議と温泉のある建物の特に周りの脱衣所関係では魔法というより魔力が拡散してしまい維持できない。魔導具も同じような感じで数秒は使え維持するが、すぐに使えなくなるという不思議な現象と状態が発生しているのだ。


 なので温泉設備では、明かりに関する魔導具が使えず夜中は真っ暗で何も見えない状態になってしまう。この神聖霊の森には襲ってくるようなモノはいないので夜中でも安全ではあるが、どうにも周りには何もないし夜中は逆に静けさを増すので違う意味で夜中動き回るのは恐怖らしい。

 確かにこの場にいるのは、殆どが女性であり割合的にも女性が8で男性が2程度であるのだ。


 しかも露天風呂に関しては、まだ外にあるので月明かりがあればどうにかなるのだが、脱衣所等が真っ暗なのでどうしようもないらしく、実はその相談も受けていたが現状それも、そのままになっている。

「しかし、明かりに関して考えないと、この先どうしようもないよな。魔法の道具をしようしないで明かりの事を考えないとな。流石に脱衣所も露店にして篝火を設置する訳にも行かないし、その火の番をするのも大変だと思うしな・・・」

 幸いにも俺はもちろんメグミさんも科学に関しての知識はあるし、他の転移組みの娘達もそれなりの知識はあるはずだ。


 それで一旦は屋敷内に温泉を引こうにも考えたが、流石に魔導具がいっさい使えないのでどうしようも出来ないのだ。まあ、それは恐らくではあるが全ては温泉の蒸気に影響であると考えられている。

 特に温泉の湯気にはそれなりの効果があり、解呪や魔力の無効化等の複数の効能の存在が確認できているし、体内に存在している魔力は、温泉に浸かる事で回復促進により超速で回復するので問題ないし、何故かその不思議な現象には影響がないようだ。

 でも魔石や魔導具等に蓄積している魔力は、湯気や蒸気に触れると拡散して無くなってしまうようだ。まあアイテムボックスに保管していれば問題ないが、魔法袋(マジックバック)等に関しては、湯気に触れると中身が全て出てきてしまい、お風呂がとんでも無い事になるのがよく解った。


 ・・・実は俺自身が1回やらかしているのだ。温泉が完成に近付きサウナや照明用に魔石や魔導具を使用していると、何故か設置したばかりの魔石の魔力と魔導石の効力が無くなったので、不思議に思い魔石と魔導石入りの魔法袋(マジックバック)を取り出した時に、その時は知らずに魔法袋(マジックバック)を湯気の出ている源泉の側で出したら、袋に入っていた全ての魔石と魔導石が外に全て出てしまい台無しになってしまったのである。


 はっきり言ってあの時は、せっかく大量に製作した魔石の殆どが劣化と同じ状態なので無駄になってしまった。魔導石については器が空になった状態なので、新たに魔力を注ぎ込めは誓えるがはっきり言って面倒臭い事になった。


 なのでみんなには告知している『魔法や魔力に関する品物や魔導具関係を絶対に持ち込まないように、それに決して湯気には近づけないように』と・・・まあ、お風呂なのでそんな物は持ち込む心配は、殆ど無いに等しい筈だ。ただ不思議なのが身に付けているアクセサリー関係は、何の問題もないようなのであった。それだけが俺には不思議だった。


 それにあくまでお風呂の近くだけで起きる現象だけのようで、他の場所に漂ってきた湯気にはその効果はないようだ。もちろん排水設備のある浄化用の魔導石にもその影響は無い様だし、どうやら浄化や聖属性の魔導石にはその効果はないようだ。実際俺がぶちまけた魔導石の中で、それらの魔導石は無事だったからであった。

 ただその他のモノに関してはやはり影響があるようだが、お湯につける分には効果が失われる様な事が無いのは解っている。


 それ以外は殆どが無理な状態である。なので夜中に関しては、月明かり等で明るい場合は湯船に入るのは問題ないが、その他の設備には明かりがないので現状はどうしようもない。温泉施設の建物は蒸気をシャットアウトしても何故か魔導具が使えなく常時魔力を流し続けないと意味を成さないのであった。

「・・・そういえばこの世界には直接火をつけた松明等の道具はあるけど、その他の明かりに関する道具が魔導具関係だけで、後は全くと言って良い程ないよな?せめて蝋燭があってもいいような気がするけど、それに油関係が殆どないし明かりとかには利用してないよな。油を使用するタイプのランプなんか有ってもいいと思うのにな?」


 今迄便利すぎて気付かなかったが、この世界には単純な装置やモノが一切無いという不思議な状態なのだ。それで今回困っているのがその便利グッツの殆どが使用出来ない状態なのだ。

 屋外にある風呂は先程も言ったが月明かりや松明等の篝火でどうにかなるのだが、流石に建物内がどうしようも出来ないのである。何せ火事になりかけないし、危ないからである。

 なので他の方法を考えるようにした。出来る事なら電気を使った明かりや魔力を使わない物質を使い、この温泉設備を常時いつでも使える様にしようと再度考えていたのだ。


 ただ今のところは、あくまでこの神聖霊の森で作業をして貰っている娘達に、この温泉を優先的に入って貰っている。もちろん不具合等や追加して欲しいモノがあれば意見を聞き、追加で製作するつもりでいるが、どうやら今のところは夜間の明かり以外は殆ど無い様だ。


 それに元を正せば雪姫と月姫のお願いであり、聖霊達が気軽に温泉へ入れる様にしているので、基本誰かと会う事はあるのだが、時間帯的に月姫達は昼間に入っている様なのだ。


 温泉設備の完成した時にはいなかった月姫達であったが、いつの間にかここの温泉を利用していた。

第十一章:第五十五話につづく

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