第四十一話
それで結果的には5人の赤ん坊が産まれてきて、母子共々健康状態でしかも信じられない現象も起きていたのだ。
「おっ、俺、いきなり5児の父親になったのか?なっ、なあ・・・しかもなんかすごい事に・・・」
「ほっ!ホントにすごいね。ユウ兄に関わったら創造神の御爺ちゃんの予見の斜め上を行ってるね。確か3人って言ってたの・・・それに子沢山だねぇ。しかもフィーナちゃんとの子はいきなり神だなんて、他の子にも神候補みたいだけどね。神核があるみたいだし・・・えっ!?これって、しかも全員!聖竜の加護持ちだよ」
・・・どうもヤバイ状況になってるっぽい、神なんて考えてないのに自分の子達が神の候補やら神なんて・・・。どないしようとんでも無い事になっている。
「なっ!なっ、なな、なんてこった!これはどうにかして、神の力の封印をお願いしないと、みんなと一緒に暮らせなくなってしまうよな。どっ、どないしよう・・・そうだ誰か知り合いの神様に相談しないと・・・」
とりあえず俺達はその事を待合室に説明に来た、医療の女神であるフェルト様の部下である女神様に聞き、赤ん坊とその母親であるフィーナ、リンカ、シルフィーの3人の元に連れて行って貰えた。
その話を聞き俺としては、平常心ではいられなかった。出来る事なら生まれてきた子達には成人する迄は、自由に育てたいし、神とかは特に成人してからでも遅くはない筈だからだ。
それに以前創造神の爺様に言われた事があるのだが、神となった場合はアーストリアの大地、まあ下界となるのだけど、その場所には生身で顕現する事が出来ない事になっているらしい。実際には例外は色々とあるらしいのだが、基本的には駄目だそうだ。
それで現状フィーナ様と俺の子である双子に関しては、神としての力に目覚めているので完全にアウトだ。しかもリンカとシルフィーとの間に生まれた俺の子達に関しても今はいいとしても、その内に神の力に目覚め下界に住めなくなってしまう。
「どないしよう・・・」
「仕方が無いと思うよ。お兄ちゃん!一応御爺ちゃんに相談してみたら・・・」
「そうだよそうだよ。私達も気になるし、じいじに聞いてみた方がいいと思うよ!」
そう言って俺を慰めつつ、創造神の爺様に相談した方がいいとフィリエちゃんとフェリエちゃんが、赤ん坊が寝ている部屋に連れてきてくれた。
流石に産まれて来たばかりとは言え、生命力は物凄いし我が子ながらメチャクチャ可愛い・・・。
「う~ん、まあ、そうだよな。創造神の爺様に相談して聞かないと始まらないよな。それよりもフィリエちゃん、フェリエちゃんよ。可愛い俺の子達は見れたのはいいけど・・・フィーナ様達は?」
「「寝てるよ。精魂と魔力を使いきったから、今はお休み中!それとお兄ちゃん、お姉ちゃんの事もう呼び捨てがいいじゃない。なんか変だよ!」」
「へっ、そうかな?でも確かに・・・かなり気にしてたもんな。フィーナ様は・・・」
まあ、この際だし産まれて来た子達も気にするかも知れない。それに以前フィーナ様もその事をすごく気にしてたので今後気を付ける事にした。
それで双子の女神によるとフィーナ、シルフィー、リンカは子供を出産した後には、何故か力を使いきって今は別室でお休み中だそうだ。それでその部屋に連れて行って貰ったが、久々に顔を見てみんな幸せそうな寝顔だったので、その場を後にして創造神の爺様に先程の件を相談して確認しようと思い探しに行く事にした。
「なぁなぁ!フィリエちゃん、フェリエちゃん!創造神の爺様どこに行った?確かここに来てるんだろ?」
「うん、さっきお姉ちゃん達が寝る前にお母さんとお爺ちゃんで話してたよ?」
「そうそう、それで2人とも慌ててどこかに行っちゃったよ?確か書斎にどうのとか言ってたけど・・・」
「「「あっ、」」」、「お兄ちゃんでも・・・・」
その話を聞き俺は即座に移動を開始した。俺がフィーナ様達の寝ている部屋を慌てて出て行く時に、ティナと双子ちゃんの三人が何かを言っていたようだが気にせず創造神の爺様を探しに行った。
この病院みたいな屋敷には居る筈なんだが、どこにもいない・・・っていうより、フェルト様とも会えてない。確か書斎がどうのこうの言っていた筈だから、そこに行けば会えるはずだ。
この時点で俺は気付けば探し廻る事はなかった。その気付かなかった事とは、実は書斎のありかを知らなかったのと、自分のいる位置が解ってなかった事・・・そして、気を探れば入れ違いになる事がなかった事を、それで結局は俺が相談するまでもなく、赤ん坊の神核の対処を行なってくれていたのである。
そんな事とは知らずに俺は、創造神の爺様とフェルト様を探し回り結局は屋敷内で迷子の状態になっていたのだ。
ちなみにフィーナ様の父親たる武神ヘルロイ様は、ここには来ていない。まあ、ホントは来たがっていたらしいが、何でもまた不思議な現象が起き魔人族の星のひとつが、訳も解らず爆発で木っ端微塵に吹っ飛んでしまったそうだ。
その意味不明な現象の調査を行なう為に、その場所へと進軍しているらしい。それに何故かいつも危機めいた時に、その様な事が時たま起きているみたいだ。(実はこの魔人族が住む星も、ユウマが原因で吹き飛んだのであった、その事を知らずに調査を行なっているのであった)
それよりも創造神の爺様の行方が、どこか解らず探し回った結果、あんまり考える必要もなかった。実際俺と行き違いになっていたようだし、今は赤ん坊のところにフェルト様と一緒にいるみたいで、迷子になっていた俺をティナと双子のフィリエちゃんとフェリエちゃんガ探しに来てくれたのだ。
「もう、お兄ちゃん!待ってたらお爺ちゃん達は戻ってくるって言ってるのに、慌てて出て行って入れ違いになって、最後は迷子って何してるのよ!」
「うううっ、申し訳ない・・・」
「でもでもお兄ちゃんは、赤ん坊達の事が心配だったんだよね」
「うんうんすごい真剣に悩んでたもん。ウチのお父さんと大違いだよ・・・」
ティナには怒られ、フィリエちゃんとフェリエちゃんには慰められる結果になってしまった。
それで3人に連れられて、赤ん坊達が寝かされている部屋まで戻ってきた。そこで創造神の爺様とフェルト《義母》様がいたので、先程気になった事を相談して解決策を聞いてみる事にした。
「やっと見つけたよ。爺様!それに義母様も」
「おっ!ユウマよ。どうしたのじゃ、あちこちウロウロしてたようじゃが?何か聞きたい事でもあるのかのう?ああ、それよりもいつも思うんじゃが、お主の能力はワシの考え取るよりもかなり強力な様じゃな。今回の赤ん坊の件もワシの見た未来と違う事になっとるし、とんでもない力を持った赤子等が誕生してしもうたからのう。それに聖竜の幼生も・・・」
結局のところ創造神の爺様とフェルト様も、予想してなかった事が起きてしまっていたらしい。それで俺が相談して聞きたい事を聞こうと思って話したのだが、実は既に対策済みだそうだ。
俺が創造神の爺様達を探している間に、実は一旦創造神の爺様の屋敷に戻り、フェルト様は書斎に必要な物を追加で取りに行っていたそうである。それをこの場に戻ってきて今回生まれてきた赤ん坊達に、俺が思っていた神核の封印術を全てに施し終わらしていたそうだ。
まあ俺としては、そこまで対策をしてくれた事に関して物凄くありがたかった。それにどうやら生まれてきた子達には成人するまでは自由に生活させたいと考えているのは、俺だけでなく母親であるフィーナ様やリンカ、それにシルフィーも同じであり、創造神の爺様とフェルト様も同じ意見であったので、ホントに良かった。
ただこの赤ん坊達に施した術式内容に関しては、何も教わってないし、教えてくれなかった。
そんな事があり俺とティナ、それにフィリエちゃんとフェリエちゃんは一緒に神界へと戻る準備をして、神界で待っている娘達に無事赤ん坊達が生まれ事と、フィーナ達母親3人も健康ある事を告げる為に大神界を後にしたのであった。
第十一章:第四十二話につづく




