第三十八話
それで、話しはシルク達5名が転移門を通り、商業都市メラクにやって来たのである。メラクでは2人と合流する予定である。
時間的には、流石にもう夜遅いと言う事で、転移門の前には人の姿が見えない、というより明かりも無いうえに転移門がある広の周りにも人っ子一人もいない状態である。
「ねえ、ここって商業都市メラクよね。ここって眠らない街じゃなかったっけ?」
シルクは、自身の加護する大地で、今来ているメラクとリリエルは夜であろうが、人々が行きかい夜であろうと煌びやかに明かりが付き、活気があふれていたと思っていた。
だが現状は、確かにリリエルのギルド内は賑わっていたが、メラクは商業都市と言うだけで商売人が嫌と言うほどいるはずなのだが、露店どころか明かりが灯ってない事がシルクには不思議だった。
「はい、ここは確かに商業都市メラクですよ。それにリリエルもそうなのですが夜遅くまでは、現在営業しているのはごく一部の店舗とギルドだけです。後は以前あった騒動で夜は店も大門を閉めている状態ですので」
「えっ、以前の騒動って?シズカ!」
流石のシルクもこれには驚いたのである。何せその部分に関しての記憶というより、情報がなかったからであった。
「はい?以前シルク様にお願いされた魔法都市レーヴェの防衛で、上級冒険者である全ての者が出払っているの時に、どうやらここメラクと私達が拠点にしてるリリエルに襲撃が有ったみたいで、それからこの様に夜間は営業を控えてるみたいです。まあ、その時は銀色の仮面を付けた1人の騎士が全てを解決してくれて、被害も素少なかったようですけど・・・・」
どうやらシズカの話しによると、例の魔神出現で防衛をシルクが依頼した時に、何故か言い回しが悪かったのか殆どの上級冒険者が魔法都市レーヴェに出向いていて、魔導都市リリエルと商業都市メラクの防衛を疎かにしていてその隙を疲れてメラクはかなり統率の取れた盗賊に、リリエルは巨大な力を持つ獣の集団に襲われたようであった。
しかし、この時に現れた銀色の仮面を付けた騎士に、両方の都市を救って貰えた事を伝えたのである。実はこれに関しては、あの魔神騒動がひと段落していたのだが魔法都市レーヴェには、ちゃんとした連絡がいってなかったようでその滞在している間に双方の都市が襲われる結果になってしまったようだ。
しかも昼間はかなり強い騎士や中級以下の冒険者も多数いるのだが、夜間はその者達は就寝している事が多く基本冒険者は夜間行動する者は少ない。それに長期に渡り上級冒険者が不在にも関わらず、何故かいつもどうり夜間も防衛門を開け放っていた事が裏目になり襲撃されたようである。
まあ実際、魔導都市リリエルは上級の冒険者が不在でも中級以下の冒険者がいたので、もしそのままでもそこまで大事にはならなかったが、まあそれでも相当な被害が出ていたという事であったが、それを最初にメラクを救い次にリリエルを救った銀仮面の騎士がいたらしいのであった。
その事をシズカが説明した後に、サヤが付け加えて話し掛けてきた。
「はい、それでその時に両方の都市を救ってくれた銀色の仮面の騎士様が、夜間に明かりをともしていると夜行性の獣や魔獣が寄ってくる可能性がある事と、見張りを増やさないのなら最低限の護りが出来る体制にするか、夜間は極力出入りを制限した方がいいのではと言う事を上層部の方に進言してくれたようです。まあ、領主の方もその時の襲撃で反省して夜間営業には制限をかけた上に、出入りの制限をしたようですけどね。でも、すごかったらしいですよ。その銀仮面の騎士様は・・・私も会ってみたかったです」
その話を聞きシルクは、ある人物の姿を想像したが、そんな筈は無いと思いながら今度ルアにでも聞いて確かめる事にしたのであった。
そして、このシルク達がこの修行で目的の神々の塔に行っている間の、危機的状況が発生している間にも数度銀仮面の騎士と、それに付き添う聖女のような金髪の女性と、茶髪で可憐な騎士風の女性、まさしく姫騎士のような存在の3人により救われていたのであった。
それで先程の話しで現在夜遅く、転移門よりシルクを含む5人全員が姿を現し、その暗い中通りをメラクの出入り口である防衛門のところまで歩いて行くと、現状普段ならこの都市の防壁からは夜間は出る事は出来ないらしい。
だが、そこはちゃんと連絡しているのと、この場にはS級冒険者であるヒミコとシズカの2人とA級上位の冒険者であるナズナとサヤがいるから問題ないのである。
ちなみにヒミコはこの中で唯一の銀髪ロングで色白の肌であり、どこぞのお姫様の様な感じではあるが、その姿と服装は着物姿で、一瞬巫女をイメージするような格好である。それにシズカも黒髪ショートではあるが服装に関してはヒミコと変わらないがどちらかと言うと女性侍みたいな格好である。ただシズカに関しては妙に色っぽい感じの着物姿であった。
そのヒミコとシズカの2人は、その着物姿と剣のようなモノを持っている軽装の剣士ではあるが、現在この場にいるシルク以外の4人は順和風の格好をしているのである。
当然この中で聖女みたいな感じのシルクは、逆に目立ち夜間であれば注目の的であったと思われた。それだけ超絶的な美女と美少女、それに神秘的といえる美少女の集団であったのである。
防衛門の前まで来ると、門の前で門番の衛兵と話しをしている金髪碧眼のこれまたドコゾノお姫様と言ってもいいような感じの騎士の女性がいた。まさしく姫騎士という名が相応しい感じの娘がいたのだ。
「おお、ヒミコ!遅かったじゃ無いか・・・あれ?シルク様はどこに?・・・」
その金髪の姫騎士が、こちらに向かってくるヒミコ達を見つけ駆けよって来た。
だが、肝心のシルクが居ない事を不思議に思いヒミコに尋ねていた。
「いや、カレンよ。貴方の目の前にいるじゃないですか・・・」
「へっ・・・!?あっ、すみませんシルク様!いつものヒラヒラした格好と違ってたので気付きませんでした!」
どうやら今回のシルクの格好事態は、今回一緒に行動しようとした者達にとっては、不思議としか言えないような格好であったらしい。しかも今回はシルクを知っている人物に、会う度にその格好に気付かれないだけでなく、驚かれる状態となっていたのであった。
それだけ今回のシルクの格好は、知っている者から見たら信じられないと言う事だったのである。それに今回のシルクの護衛を簡単に考えていた一行だが、そのシルクの姿を見て本気である事と、一大事である事を悟ったのであった。
それからその姫騎士のカレンに連れられて、防衛門の外に衛兵の案内で出て来たのである。
衛兵も目の前にいる美女の一段を見たら驚きで声もあげられないし、実際顔も上げれずオズオズと案内していたのである。衛兵から見たら高値の花の集団だし、先程もカレンに話しかけられただけでも、心臓が破裂しそうなほどにうろたえていたのであった。
それで外に連れ出され、衛兵と別れて少し行った先にある、整地された広場へ向かうと、その広場に置いてある馬車の側で1人の青髪の少女いたのである。その少女はシルクと同じ様なカッコウで、まさしく聖女と言っても間違いのないような少女が馬車の側で待っていた。
何故その少女を聖女と言ったかと言うと、普通の僧侶や神官とは放っているオーラの気質が全く違い、現在防衛門の外にいると言う事で常にその聖なる気であるオーラを放ち続け、髪の色と同じく薄い青色の光が馬車全体を包んだ状態で待っていたのである。
「あれ・・・ヒカゲ!準備はもう出来てるの?」
その少女に向けて、カレンが声を掛けるとその少女はこちらに可愛らしく駆けて来て、不思議な表情をして尋ねてきたのである。
「あっ、姫さ、じゃなかったカレン様!準備は出来てますけど・・・あれシルク様は?それにその娘は誰です?」
実は今カレンよりヒカゲと呼ばれた少女は、生のシルクを見るのは初めてで、いつもはカレンに話を聞いたのであった。
「ヒカゲ!この御方がシルク様だ!」
「えっ、そうなのですか?でも、なんでシルク様そのような格好なのですか?いっもヒラヒラの清楚な服で降臨してくるとカレン様が仰っていたのに・・・あっ、そうなんですね。今回はそれだけ重要という事ですね。それなら納得です!」
シルクのその姿を見てヒカゲはその様に解釈したようだが、シルクとしてはそんな事は全然考えてなかったし、最初はカレンがヒカゲに説明したとおりの衣装を来て今回の修行をしようと思っていたのだが、ここに来て漸くシルクは元の格好のまま来ないでよかったと思っていたのである。
ここはあえて胸を張りつつヒカゲ達に再度説明したのである。
「もう、大げさね。今回は私が修行を行なうんだから、これくらい格好は当たり前だよ。それに、貴方達も気合を入れてね結構大変な事になるからね」
しかし、ここに来る前の神界で、散々ルアの言う事を聞かないうえに、フィーナ達に無理やり、その格好をさせられていた事を棚に上げて、いかにも自分は今回は真面目に修行を行なう事をアピールしたのであった。
ただし、心の中では『良かったぁぁ!あのままの格好だったら、幻滅されてたかもしれなかった』と思いつつ背中に嫌な汗を流し、少し引きつった笑顔を見せていたのであった。
それで今回はこのヒミコ、シズカ、ナズナ、サヤ、カレン、ヒカゲの6名とシルクの計7名で、今回シルクが取得する予定、未来予見と未来視の能力を取得する為の旅に出たのである。
ただし、この最強メンバーを連れて行った事が仇になり、シルクは自信の未来予測を早い段階で取得していたのであるが、その効果に気付かず知らないまま余計な日数を使い。はたまたユウマ達に迷惑を掛けている事を戻って来るまで間がえなかったのであった。
ちなみにシルクが取得した未来予見は、断片的な映像のみが脳内で反映されるものでるが、シルクの場合はそれが予知夢となって現れていたので、本人が寝た時で無いと発動しないし、その効果にも気付かなかったのであった。
それとは別で、一昼夜掛けて神々の塔に到着して野営する時に、ユウマが渡してくれた荷物に入っていたモノを見てシルク以外の娘達が驚いたのは言うまでもなかった。
何せその中には食料が相当数有ったのは、当たり前に驚かれたようだが、問題は簡易ログハウスで最初その大きさを見たシルク様がもっともな言葉を語った。
「あら、意外に小さいわね。もっと大きいのを渡してくれたらいいのに・・・」
「しかし、この小屋みたいなのはすごいですよ!周囲にかなり強力な聖石を埋め込んでますので、私が魔除けの魔術を施す必要もありません。それに恐らく低レベルのモンスターどころか上級下位のモンスターは近付いてこない筈なので、見張りも必要ないかと思います」
流石にその簡易ログハウスの外周を確認していたヒカゲが、周囲に備え付けた聖石の効果を確認して驚いていたのである。
確かにユウマが造った簡易ログハウスには聖石を大量に埋め込んであるので上級下位の魔獣
は近付いて来ないし、そのうえこの簡易ログハウスには悪意を持っている者には見えない構造になっている。なので魔獣等は少なからず悪意を持っているのでその者達に関してはこの簡易ログハウスは見つける事すら出来ないのであった。
「へぇぇ、そうなの。でも、これはちょっと小さいわね。良くて4人が一緒に寝れるかどうかぐらいね。ホントにユウマさんたら7名いること知っていた筈なのに・・・。まあ、いいわ!とりあえず中を見てみましょう。・・・!?」
そしてシルク達がその簡易ログハウスの入口を開けた後に、余りにも予想を裏切る光景を目の当たりにして、その光景に驚きのその様子を見た全員も一斉に驚きの声をあげたのであった。
「「「「えっ!?」」」」
簡易ログハウスの入口の扉を開けると、まず目に飛び込んできたのは10人は余裕でくつろげるスペースが広がっていたのである。しかも、中は昼間のように明るいのであった。
「どっ、どう言う事ですかっ?シルク様!こっ、これっておかしいですよ。完全に外の構造と中の構造があってませんよ!」
「ええ、私も驚いたけど、こういう構造だったのね。流石だわユウマさん!・・・」
シルクはこの簡易ログハウスの一部を見て感心していたが、この後の数種類の部屋と作業部屋や工房をみんなで確認して、シルクは少し呆気に取られていた。何故なら伝説級どころか神話級の品物がごろごろ部屋のいたるところに飾っておいて有ったのだ。
しかも、部屋の数とそれらに一通り驚いて、お風呂がある事に喜んだ後、今から食事を作ろうとして、さらに驚きと喜びの歓喜を7人はこの後シルクとの修行に専念するのと、時々シルクが言葉にあげるユウマの事がきになるのであった。
それからそのユウマが気を利かせた事に甘えてきっちり神々の塔で約1年半の間、シルクは中に入っていたのであった。最初は1年で出てくる予定だったが、未来視を開眼するのにてこずり、それを開眼したと同時くらいで、その神々の塔より帰還したのであった。
それで元の世界ではちょうど12日経っていたのである。
第十章:第三十九話につづく
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それでその間に2回目程の連絡をいれた時から約7日後に、何故か大慌てで顔を青ざめさせて、神界に帰ってきたのであった。




