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第二十三話

 それで、この現象が起きた、ホンの少し時間をさかのぼり、フィーナ達が城に付いた頃、ちょうどユウマがだだっ広い敷地の中心部に落とされた後である。

 ユウマは突然かなり高い上空から落とされたにも関わらず、平然とした表情でその場所に立って周囲を見渡していた。

 ・・・俺は、こいつらに、何か恨まれるような事したか?少なくとも関係がないような。


 ユウマがそんな事を考えていると、1人のこの中では一番上等な全身鎧を着て、なんとなく偉そうな奴が前に出てきて声をあげた。

「貴様は、許されない事をした。人の身でありながら女神であるフィーナ様を貶めたのだ。許さん」

 何だこいつ、ちょっと、むっ!と来たぞ。


 すると周囲にいた大勢の騎士風の男達が同意したように大声で喚いた。

「「「「おおっ、そうだ、そうだ!」」」」


 その大声で同調する声の中から、また別の雰囲気の違う鎧を着て、眩いばかりの宝剣を持った男が前進してきて声をあげた。

「よくも我が主神である武神ヘルロイ様のお嬢さまであり、我々の女神フィーナ様を汚してくれたな!貴様は許さん」

「「「「おおっ、そうだ、そうだ!」」」」

 ・・・・汚された・・・ムカ、ムカ!

 この時点でユウマは、目の前で叫んでいる男達に対して少しずつ怒りをおぼえていた。


 そして、ある程度周囲の男達が同調するように、女神フィーナと他の女神達、それに今回一緒に来た娘達の悪口を言い出し、最後にユウマに向けて叫んだ。

「この場で切り刻み。転生も出来ないようにしてやる。そして後悔するが良い。神である我らを怒らした事を!貴様の後は貴様に関係する人間共だ!やれっ、みんな!こんな人間は滅ぼす方がいいんだ!消してしまえっ」

「「「「「おおっ!」」」」」


 ・・・・《ブチン!?》

 この時点でユウマが完全に怒りがマックスの状態になり、しかも自分の関係のある子達にも手を出すと言ったので、ついにぶち切れたのである。


 それで一斉にユウマへ、その周囲にいた騎士風の男達が襲い掛かってきたが、まずユウマはその場から瞬時で移動して、先程息巻いていた相手達の懐に飛び込んだ。

 周りから襲い掛かって行った者達は一瞬何が起こったか解らない状態であったし、その瞬間その遅い掛かって来た者達の時間が止まったのである。


 それでその襲い掛かって来た者達には目もくれず、まず最初に喚いていた奴の時間だけ動かし語り掛けた。

「なあ、お前!今の言葉を言ったからには死ぬ覚悟が出来てるんだろうな!ああっ」

 そのユウマの声は、はっきり言って今迄に無いほど怒りに満ちていたそのうえに冷たい言葉であった。しかも、その一番息巻いていた奴は、その言葉聞いた瞬間、既に生きた心地がしておらず、実はこの瞬間すでに後悔もしていたのである。


 何故なら、既に四肢は消滅して神々しい鎧は疎、強力な剣は後かなもなく溶けていた。それで残されたのは身体の一部と頭の部分だけで意識だけは、はっきりしていた様である。

 もちろん痛覚はあったが、余りにも瞬時の出来事で脳が処理しきれず、反応してなかったのである。

「あああっ、くかかっ、何故だ!神器に一番ちっ、近い私の武装が・・・それに高貴たる私の身体が?あわあわあわ・・・」《ブシュッ・・・》

 その言葉を残した後に、ユウマはそいつの言葉を聞くのをうんざりして、怒りのままにそいつ残った身体を消滅させた。するとその場に神核と意識だけが残った魂だけになっていた。


 それでユウマはその残っていた意識だけが残った魂を投げ捨て、悪魔みたいな笑みを見せ言葉を発した。

「お前らぁぁぁ!全員許さんからな。ふっはははっ、そうだこの場にいる者は、俺から決して逃がさん。それで後で悔しろ!俺に、いや、俺の大切なモノを傷つけようとした事と、そして生きている事を・・・クククッ、あっはははは・・・」

 その時点で城を含む全体に、周囲の神の軍勢が逃げられないように結界を張り巡らせ、この場で自身に攻撃をしようと集まっていた全員にマーキングを施し、1人1人狩って行く事にしたのである。


 それは、まさしく悪魔とも魔神・・・いや、すでに破壊神や以前は現れる事のなかった魔神竜をも超越した存在となっていたのである。それに敵意を向けた者が、敵う筈もなく相手でもなかったのである。


 ただユウマも時間を止めたまま蹂躙する事はせずに、襲い掛かって来た者達にもチャンスをやる事にした。

「ふはははっ、もしも俺に傷を付ける事が出来たら半殺しで許してやる。その代わり死ぬきで掛かって来いよそうしないと消滅だけじゃすまないからな。くくくくっ」


 それだけ怒りで満ちあふれていたユウマは、今回の件に関わっていたこの周りにいる者達を、全て倒す事にしていたのであった。


「なっ、なにを生意気な!ぐっ、偶然、そう偶然と彼の油断でやられただけに過ぎん。人間ごときが我々に・・・ゴクッ、いや、そんな事は無い筈だ。その無駄ぐ・・・」《シュッ・・・》

 ユウマに向かって襲い掛かって気もせず、グダグダと訳の解らない事を言っている奴を、魔法を使い最後まで語らせる事なく消滅させた。ただ先程と違うのは、そいつの後ろにいた数十人も一緒に先程の奴と同じ様な感じで魂と神核が残っていただけであった。


 先程から魂と神核と言っているが、実際は丸い核の周りに炎の様な神々しいオーラを纏い、その人魂的なものに目が付いたような感じのモノである。


 それでその高出力の魔法を目の当たりにして、次第に恐怖する弱い者達が出てきた。それとは別に怒りを覚え喚きながら突進してくる者などや遠距離から魔法を放つ者などが攻撃を仕掛けてきた。

 逃げる者は『化け物だァァ』とか『助けてくれぇぇ』と叫び必死にユウマから遠ざかろうとする者と、攻撃してくる者は『こいつは人間なんだ、神である我々が負ける筈がない』とか『神である我々が正義だっ!』など喚いて最初の奴と同じ様な考えを持ち息巻いて襲い掛かって来る連中ばかりであった。


 ユウマとしては、神と言う言葉を発し自分の事を正当化している奴から有無を言わさず消し去っていた。


 まあ実際この場にいる戦士達は、殆どが神核を持っているが神では無いのであった。殆どの奴等が実際には神だった者も数人程はいるが・・・やっぱり性格的に問題があったり、神として過去に失敗をして降格した者達ばかりで、実際は神では無く下級神族と言い殆どが人族と変わらず、強いて言えば天界人とも呼ばれているのであった。


 その者達の中でも思いあがって、勘違いしている奴らがフィーナ達の事を悪いように言い、ユウマを亡き者にしようと次々と襲い掛かっているのである。その数は150名程で既に半分は消滅して魂と神核だけになっていた。

 それにその殆ど全ての戦士達が、フィーナの父親である武神ヘルロイの部下なのであった。


 ただ、その殆どが問題のある者達で、いつかは中級や上級の神に認めて貰い、神へと再度昇格しようと悪巧みを企んでる者達と何も考えてないでその悪巧みを企んでいた者達に踊らされた者達や、神候補の者達でヘルロイが言っていた言葉と、最初に言葉を発していた奴の言葉に踊らせてユウマに襲い掛かっていた者達が全てであった。


 その戦闘を行なっている光景は、はっきり言ってユウマによる一方的な戦いで地獄絵図であり、最初は如何にか押さえ込もうと攻撃を加えていた者が、かなりの人数いたがその殆どの攻撃を与える事が出来ないのと、遠距離で超級に近い魔法を放つがその殆どが全く効かずにいた。

 それに攻撃した殆ど全てが、攻撃を加えた自分達に跳ね返ってくる状態で、元神で今は天界人の騎士である精鋭達はもちろん、落ちぶれた元神達もまるで赤子の如く倒されていたのであった。


 そのうえユウマからは超級の魔法が数え切れないほど放たれ、とんでもない閃光と共に周囲にいた数十人が一瞬のうちに意思の持つ魂と神核のみとなっていたのである。その周囲にはまだ動ける者が悲鳴をあげ逃げ惑う中、地響きと轟音が鳴り響いては、消滅する状態を繰り返し神候補の者達だけは城の方へと吹き飛ばされていたのであった。

 不思議だったのは、その神候補の者達だけは重症を負ってはいたが、他の者達のように魂と神核には変えられていなかったのである。その他も純粋にヘルロイの言葉に従っただけの者もその状態であった。

 まあ、それは恐らく最初から悪意を持った殺気を放っていなかった者達だったとは、ユウマとその状態の者達以外は誰も知らないのであった。


 その光景を武神ヘルロイは見て、声を震わせてフィーナに、恐る恐る尋ねていたのである。

「おっ、おい、フィ、フィーナよ。あや、あやつはなんなのだ?悪魔なのか?それとも破壊神、いや、もしかして魔神竜なのか?」

 少し顔を引きつりながら、そして表情を青ざめた状態で、現状のユウマを見て語っていた。確かにヘルロイは過去に語られていたのと、伝承にある魔神竜と同じ様な感じの、オーラのような翼を生やし宙を飛び攻撃をするユウマの姿をみてそう思ったのである。まあ、ただ違うのは禍々しいオーラでなく、神々しいオーラなのではあるが、実際信じられない光景を眼にしていたのである。


 何故そのような状態がはっきりと見える様になっているかと言うと、展望台であった場所もそうなのだがこの城自体が既に半壊状態に陥り、屋根やその他がなくなったその場所から見渡していたからである。それでその戦闘が行なわれていた場所には、武神ヘルロイの精鋭とされていた殆どの部下達が、神核の魂状態へと変化していたからである。


 ・・・しかし、あいつらは、下手をすると元には・・・・。

 ヘルロイが考えていたとおり、神核と魂の状態になった者達は、この先元の状態に戻っても、すでに神にもなれないし、人や動物にも転生出来るかどうか怪しい状態であった。


 すると先程のヘルロイの質問に顎に指を添えて、フィーナがヘルロイに答えた。

「えっ、う~ん、ユウマさんは私達、神族に近いけど・・・一応人族の筈だよ。ただ、神化しない様に色々と封印してるけど・・・あれ?」

 この時点でフィーナは、ユウマに施していた封印が機能していない事に気が付いたのであった。


 するとその横で一緒に見ていた創造神が、顎に手をあてて神核と魂の状態になった元と、現状の状況を見て語り出した。

「あれは・・・ワシでも既に治せんな。まあ、あやつらは自業自得なうえに、悪巧みを色々しておった奴等じゃから天罰に近い、まあ、ワシ直接からそれを受けんだけありがたく思うんじゃな。それにユウマもそれなりに手を抜いておるようじゃ。その証拠にほれ」

 そうこの時点で創造神が感じていた様に、全ての者を意識のある魂と神核の状態した訳ではない、ある程度は良心残っていて、いやいや今回の件に首を突っ込んだ者は、半殺し状態で城に投げ込んでいたのである。まあ、その数は襲って来た人数の10分の1程度であったのだが、それでもその者達も今後この場所で戦う事は、なかったのである。


 それでそのユウマが暴れている光景を見ながらフィーナが、また静に語った。

「う~ん、お父様さっきの話しの続きじゃないけど、多分あそこの者達、ユウマさんをすごく怒らせたんじゃないかな?」


「・・・はっ、それはどう言う事だ?」

 フィーナのその言葉に、不思議に思いながらヘルロイは尋ねた。


「うん、だって私達と、この城にいる守護天使達には被害が出ない様に、保護シールドの防御魔法を多重に張ってるもの。それに、ここにいるお父様以外の全員には・・・」

 その時点で武神ヘルロイが嫌な予感と、とんでも無い事が起きるのではと考えていた。しかもヘルロイが視線を創造神に向けると、父親である創造神が苦笑いをしていたのである。


 それでその状況を一緒に見ていた、創造神が息子である武神ヘルロイに一言声を掛けた。

「そうじゃな。ヘルロイよ。うししっ、ありゃワシでも簡単に止められんからな。お主がユウマに消滅されない事を祈っとれ。ちなみにな、お前は勘違いしているようだが、ここを見つけ更地にしたり、魔神を単独で何体か倒したのは、あやつユウマじゃ、ワシ殆ど何もしておらんのじゃ。あくまでユウマに頼んだだけじゃ。お主らが何百年と掛けて見つけられないモノを数日で発見したからな。それに今だ200階層以下の階層にいけた神々がいない筈の、時の迷宮(ダンジョン)をフィーナ達と共に記録を更新したのもあやつが関係しとる。後な恐らくあやつを本気で怒らせたらワシでも・・・勝てるかどうか、あれをみたら解らん・・・ありゃ魔神竜などとは比べ物にならんぞ。かっかか・・・」


 創造神である自身の父親から、殆ど死の宣告に近い事を聞き武神ヘルロイは振るえあがっていたのである。


 それでユウマはというと今だ残っている戦士達を全て倒し終わり、ある方向を凝視していた。その方向には邪悪な気と、巨大な魔力の大群が向かった来たのであった。

第十章:第二十四話につづく

 恐らくこの真ベルステリア神聖星にて、次々と神の精鋭騎士や戦士が倒されている事を嗅ぎ付け、一気に攻め込んできたのだろう。

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