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第百八話

 その確認が取れたと同時ぐらいから、女神様達も戦闘に参加したのである。

 それからは、何気なしに俺とティナが一緒に前衛で戦って、後方からはフィーナ様とシルク様、それとマリエル様が遠距離攻撃をしながらトコトコと付いてきている状態であった。


 しかも何も考えていない状態でも、凶暴な魔獣(モンスター)と耐性のない魔人族は、近付くだけで消滅している状態であるので、相手から考えたらトンでもない状態であった。


 その内一番強いでろう魔神が目の前に立ち塞がった。

「よし、たまには俺が・・・!?・・・・・・」

 恐らくこの城の中で一番魔力の強い魔人族を、たまにはみんなに良い所をみせようと、気合を入れたと同時に女神様達全員で襲い掛かっていたのである。


 フィーナ様はいつの間に出したのか、ロングソードみたいな剣と小さな丸い盾を装備して、軽装の鎧を着込んでいた。見た感じ戦乙女のような雰囲気で魔神に襲い掛かっていた。

「てりゃぁぁ、今迄よくもやってくれたわね。消えなさいよ!この迷惑な成り損ない・・・・」


 シルク様は魔導師のような姿に替わり、長いロットのような杖をかかげ、フィーナ様達と同じ様に魔神に向かい少し離れた位置から、考えられない程の魔法を構築している。

「ホントよ!よくも今迄やってくれたわね!今までの恨み千倍にして返してあげるわ。エレメントマジック!」


 マリエル様に関しては、両手にクローが付いたグローブを付けて、フィーナ様と少し違う鎧とカチューシャをつけて武道かみたいな感じで、魔神に向かって行った。

「これでも食らっとき!ウチの本気・・・グランドナックル!!」


 それにティナも同じ様に巫女姫のような格好、薙刀を構え他の女神様と同様にに向かって行ったのであった。

「まあ、私は直接的には無いけど!少しムカついてるから・・・腹いせよ!」


「うわぁぁ、何となくあの魔神が気の毒に思える。でも、何だフィーナ様達の武器と防具は?・・・まあ、いいけど、それにしても・・・・」

 それでユウマは、手を出す前に一番強い魔力を放つ魔神は、ボロボロの状態で必死に女神様達の攻撃を逃れようと、向きを変えて一目散に逃げ出した。


『グガァァァッ、嫌だァァァ!・・・・』

 脱兎のごとく周りにいる魔人族及びもう1体の魔神を突き飛ばし逃げていったのである。


「ありゃりゃ、あの強そうな奴もだけど、もう1体の魔神を恐れをなして逃げ出したぞ・・・。あっ、他の魔人族も同じ様に・・・。はぁ、今回も俺の出番ってもしかして・・・」

  そんなこんなで、慌てて逃げていく魔人族とボロボロになった魔神1体。それとは別でもう1体の魔神と魔獣(モンスター)はこちらを気にして逃げながら、こちらに攻撃魔法や投擲を行ない、どうにかして距離を取ろうと攻撃してくる。それにたまにではあるが魔獣(モンスター)が駄目もとで襲い掛かってくるが、意味も無く素材や魔石となってその場で転がってしまう状態だ。


 完全に魔神は疎か魔人族達は戦意喪失状態で、こちらがたまに攻撃魔法を放つと見事に吹き飛び、その場で魔石等に変化している。


 そして、その大きく立派な扉のある場所の1人の魔人族が慌てて、入っていくのが見えたのであった。


 そいつを止めようにも、目の前に沢山の魔人族・・・は、扉の中に逃げ惑いなだれ込んでいる。俺達の目の前にいるのは、魔獣(モンスター)はこちらに攻撃を仕掛けてくるが殆ど無謀と言える。


 しかしここで、魔獣(モンスター)達の様子がおかしくなったのである。それは今迄近付いただけで消滅というより浄化されてると、解っておきながら何となく自分から進んで、向かって来ている様な感じであったのだ。

「なんか、これって少しおかしくないですか?」

「えっ、なにがユウマさん?別に問題ないと思うけど?」

「そうなんえ。ウチらが地上にでたらこんなもんなんよっ」

「そうそう、だから滅多に地上には降りれないのよ。生態系が滅茶苦茶になっちゃうからね」

 なるほど女神様は常に強い存在だから滅多に戦闘にでて来ないのか、まあ、考えたら解るよな・・・てっ、違うって・・。


「いや、そう言う訳じゃなくて、魔獣達が抵抗もしないで、こっちに浄化される事を望んで向かってきてるんですよ。最初は殺気を当たり前の様に出してたけど、今は何も考えずに飛び込んでくるんですよ」

「えっ、そうなの?う~ん、私達じゃ解んないわね。でも、確かにそんな感じね。邪気というより生きる力をなくしてるような・・・・」

「あっ、ホンマヤね。あそこなんて自ら消滅しとるで?」

 マリエル様が言うように、扉の前に行き着く前に、すでに生きる事を諦めたのか、その場で消滅する魔獣(モンスター)達が見えた。それにもう1体無事な方の魔神がこちらに向き直り、何故か清々しい表情をして待ち構えていた。


 それで、扉の前で停止した魔神と魔獣(モンスター)達に向けて女神様達全員が聖なる光の波動を打ち放った。その廊下一面に光が覆いつくし、その後には魔石や素材になる物しか残っていなかった。


 すると女神様達は清々しい表情で話しかけてきた。

「はぁぁ、なんか、すっごくすっきりした!」

「そうね、時たま暴れるもいいわね。まあ、あんまり派手にやると、御爺様に怒られるけどね」

「でも、じいじいやったらこんぐらいやったら、文句言わんと思うけどな?」

 実際創造神様は、魔人族は消していいって言ってたし、問題ないとは思うが・・まあ、今回は特別という事でいいのではないかな。


「私もすっきりしたよ!あれ、お兄ちゃんどうしたの?」

「いや、なんでもないよ・・・・」

 ユウマは女神様達のした事に呆気に取られていた。


 まあ、今回の事で女神様達の息抜きになったと思えばいいか、まだ全部終った訳じゃないし、肝心の奴をまだ倒してないからな。


 それから静かになった廊下を歩いていき、先程ボロボロの魔神と魔人族達が慌てて入って行った扉の前まできた。


 その部屋を確認するように覗き込むと、そこのは大勢の魔人族達がいて、それに角付きの魔人族、魔王ドロスの姿を確認した。

「おりょ、魔人族がいっぱいいるね。おっ、あと悪の魔王が!お兄ちゃんいたよ。悪の根源が・・・」

「いや、悪の根源って、まあ、あながち間違ってはいないでしょうが・・・、それでどうするんですかユウマさん!」

 時の女神メルティナであるティナが、最初にその扉の前に行き中を見て、数人の怯える魔人族と既に虫の息である魔神を確認して言葉を掛けてきた。そのれにフィーナ様が答えて俺に尋ねてきた。

 それらの様子を見ていた全ての魔人族達が、何が起こったか解らず不思議そうにこちらを見ている。


 それでティナとフィーナ様の話しの答えで俺は返事をした。

「あっ、ホントだ!いたいた、あいつだよ今回の原因を起そうとした奴は、それに・・・結構いるね魔人族って?今度は間違いなく俺が闘うからみんなは見てて欲しいな」

 俺のささやかなお願いに対して、女神様達はまだ暴れたち無いのか、俺のお願いとは裏腹に話を振ってきた。


「えぇぇっ、私達もまだ戦いたいよ!せっかく力を存分に使えるのに・・・」

「そうだよ!ユウマさんは地上で色々と出来るけど、私達は今度いつこんな事できるか解らないのよ!」

「そうなんよ。ウチも暴れたりんわぁ。もうちょっと戦わせて、お願いユウマさん」

 ティナ以外の女神様達が今回がチャンスとばかりに俺に戦う事をお願いしてきたので、了承して女神様達の気が済むまで戦ってもらう事にした。


「あっ、はい、解りました。俺は後ろで見てます。っとその前に周りのやつらは処分します。俺が・・・いや、もういいや・・・・」

 ユウマはそう言って、意識を今回の角付き魔人族以外を消滅させる感じで力を溜めていた。


 その間に魔王ドロスは、俺達の正体に気付き声をあげていた。

『なっ、何故貴様が?それに・・・何故、女神共が?おっ、お前達すぐに・・・!?』

 魔人族達に囲まれ、一番上位の位置の玉座から立ち上がって、他の魔人族と魔神に命令をだした。


 しかし、その瞬間周囲にいた魔人族達と魔神は、音も声もたてることもなくその場からいなくなっていた。


『なっ、何が起こったのだ?我の精鋭達は、人口魔神の2体は・・・おっ、お前は・・・!』

「ああ、お前の仲間は既に、この世にいないぞ!それに俺が相手をしてやりたいけど・・・・」

 ユウマは魔王ドロスの言葉に答えて、戦うのは自分でなく女神様達だと視線を向けて答えた。


 魔王ドロスは、ユウマの視線を追い女神達を睨みつけたが、効果はいまいち無いと言うより、魔王ドロスが女神達の神気のこもった視線に耐えられなくなり視線をそらしたのであった。

第九章:第百九話につづく

 そのまま女神様達と、魔王ドロスの戦いが始まったのだが・・・殆ど現状勝負になっていないのである。

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