第六十三話
それで俺は一旦メリウェルの街に、無属性魔法の【短距離跳躍】を使用してジャンプしたのであった。
実際に【短距離跳躍】を3回ほど使用した時点て、最近は余り新しい魔法の取得が無かったがここに来て新たに魔法を覚えた。
それは短距離を大幅に超える【遠距離跳躍】の無属性魔法を覚えた。
ただし、この【遠距離跳躍】は【短距離跳躍】と違い、完全に行った事がある場所をイメージして膨大な魔力を使わないといけない。
なので、今向かってるメリウェルの街に行く為には使えないのである。事実ジャンプしてその着地地点に出てくる場所の詳細なイメージがないと、その着地地点が大幅に吹っ飛んでしまうらしい。
解析を使用して確認したので間違いがない。それにただの着地地点イメージだけでなく、その場所にある魔力を感知しないといけないらしいのである。
まあ、現状使い道が無いので、戻る時にでも使用して帰ろうと思った。それからは引き続き【短距離跳躍】を使用して、メリウェルの街の近くまでやって来た。
メリウェルの街から少し離れた丘の上に降りたち様子を確認する事にした。とりあえず素顔と正体がばれない様に以前使用したことのある銀色の仮面を取り出し、問題の場所に今度はスキルの【瞬間移動】を使用して向かう事にしていた。
それで今はその丘の上でメリウェルの防衛門付近を確認しているのである。実際この丘のうえの後ろにある森の中に大量の魔獣が実を潜めているが、俺は防衛門の方が気になるので、そちらはファル達聖霊の3人に任せることにする。
「後ろの森にいる奴ら、隠れてるみたいだけど・・・うざいから倒してこないかファル、月姫、雪姫」
すると武器の姿から聖霊の姿に3人は戻り話し掛けてきた。
『えっ、マスター、あいつら全部倒していいの?』
「ああ、倒していいけど・・・まあ、気付かれないように頼むな」
『はいはーい!解ったよ主様。行こうファルファル、雪ちゃん!』
『解りましたわ。お姉様』
『レッツ、ゴーなのだ!』
そう言葉を残して森の中に消えて行った。まあ、あちらは任せて問題ないとして、今は気になる街の防壁付近を確認する事にする。
その場所はまさしく戦場となっていた。ただ、優秀な指揮官がいる様なので街の防壁内には攻め込まれていない様である。それよりも形勢を逆転させて押し返している様にも見える。
「へぇぇ、ここに来るまでに気を探ってると危ないかもと思ったけど、かなり優秀な指揮官がいるみたいだな。持ち直してら、これなら心配する必要も・・・!?えっ、あれってフィリアさんとヨーコさん・・・って、2人とも大怪我してるじゃんか、それでこの指揮力ってどんだけすごいんだよ」
知り合いに気が付かれない様に変装して、離れた丘の上の見やすい場所で【千里眼】のスキルを使用してその様子を覗いていると、いきなり知っている人物を発見した。
その離れた場所では俺の知っているフィリアさんとヨーコさんが居る事がわかったが、しかしフィリアさんは片腕と綺麗な9本あった尻尾が殆どなく1本になっていた。
それにヨーコさんは両目を閉じていたようだが、もしかしたら視力を失ってるん様にも見えたし、片足を引きずるように歩いているのがこの場所から解ったのである。
その痛々しい2人の様子を見ていると、防壁の門からまた見知った顔が見えたのである。
「おっ、ミナとメイリーが城門から出てきた。なんかフィリアさんとヨーコさんを怒ってるように見えるが、あっ、なるほど?・・・・」
どうやら城壁の中でミナとメイリーが、傷ついたフィリアさんとヨーコさんの治療をして、他の冒険者を必死に治療をしている間に、2人が抜け出して指示を出していたのだろう。
それで形勢は良いようになったが、治療途中の2人がいなくなっているのに気が付き慌てて探しにきたのだろう。すごい剣幕で怒ってるのが、ここからでもよく解る。実際すぐに駆け寄ってフィリアとヨーコを完全の状態に治してやりたいけど、今は出来るだけそのまま頑張って貰おうと思う。
それに4人の会話は、実際に聞こえないので何を言ってるのかは、全く持って解らないが多分怒っているとそう思う。それに実はもっとひどい怪我だったかもしれない。
「なるほど、あの2人の癒しの力で、フィリアさんとヨーコさんが動けるようになって、この状況が変わったのか・・・」
出来るだけ自分達で、この状況を乗り越えて欲しいけど・・・ちょっとぐらい手助けしても良いかな?このままじゃ、この状態に勝てても、今後の活動に支障がでる人が多数いそうだから・・・。
ユウマはそう思い仮面をしたまま、気を抑えて城門内に【瞬間移動】してから、近くでミナとメイリーの手助けをしていたシスター風の娘を捕まえて話し掛けた。もちろん2人には気付かれない様にである。
「なあ、君!ちょっと良いかな。今の状況が解るなら詳しく教えて欲しいのだが、よいだろうかな」
「すみません。こちらも忙しいので、出来る事なら手短にお願いします。それと作業をしながら行ないますので、出来たら手伝ってください」
「ああ、すまない。それであの子達は?」
そのシスターの娘はどうやらフィリアさんが、一緒に連れて来ていた回復師で、まさしくシスターであるライカという名の娘らしいのだが、教会とかには勤務していないがギルドのお抱えの回復師らしい。実際俺はあった事無いが、普段は表に出ないで治療室という部屋で待機しているらしい。
それでその娘を手伝いながら、話を聞くことにした。まあ、手際が良いのでモノを渡す程度なのだが、それでも助かるそうだ。
「はい、あの御2人はすごいですよ。まさしく聖女様です。今迄に死人が出てないのは、あの方達のおかげです。でも、こう負傷者の数が多すぎると御2人の体力と魔力の方が心配です。あなたも回復魔法をお持ちなら手伝ってください。お願いします」
いや、使えるけどこの場で俺が使ったら、とんでも無い事になるぞ。まあ、後で去り際に治癒能力を上げる意味で【能力向上】と風の力の【清風回復】の魔法を全体にかけるとして、今は回復薬を渡してこの場を去ろうと考えている。
ミナとメイリーの2人はすごく頑張っているようだ。既に回りからの人からも信頼を受け、しまいには周りから聖女様なんて言われている。 確かにこの数の人数を治療するのには、相当な魔力と体力が必要とされているし、回復薬も既に底をついているかもしれない。
この防壁門前の広場は、ホントに野戦病院のように傷ついた冒険者と、闘える人達で埋め尽くされている。しかも冒険者は治療が終ると、また門より出て行き戦闘を開始しているのである。
ある意味その光景は異常にも思えるが、そうでもしないとこの街は守れない程、すごい数の魔獣が押し寄せてきているらしいのである。まあ、一種の大厄災が発生しているようだった。
第九章:第六十四話につづく
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それで、先程シスターのライカに・・・?




