第三話
そしてユウマが『あれ?ここには全員で八人いるのに今さっき言われたのは七人だ』と思い女神フィーナに質問した。
「すいません。ここには八人いるんですが?」
「はい、確かに八人いますね。どうも一人は!召喚に巻き込まれてこの場に来ているようなのです。なので!その方には確認をしたあと希望されるのであれば地球へと帰還させます。他の方はすみませんが未来にどんな影響が出るか分かりませんので帰還できません」
女神フィーナが、そう語ったとたんに全員顔を上げて、われ先にと女神フィーナに声をかけた。
まず、OL風の女性が女神フィーナに向けて声をあげた。
「巻き込まれたのは私でしょ!死んでないのでしょ!早く地球に帰してよ」
そしてオロオロしていた少年がOL風の女性の後に続くように声をあげた。
「僕なんだろっ!あなた女神様なら生き返らせてくれよ、もう悪いことしませんから・・・」
なにかに謝罪して泣きながら生き返らしてと、訴えて頼み込んでいた。
この少年は、自分で死んでるみたいな事をわめいているが何故だろうと、ユウマを含めた未菜と結愛そして唯香の四人が何故?と思っていると。
女神フィーナは、OL風の女性と少年たちに向け、首を左右に振り語った。
「大島 愛実さん、あなたはさきの事故では運良く死にませんでしたが、こちらの世界、神の部屋での予見では、事故を起こして死んでいました。 なぜか、予見の歴史が変わりましたが?」
「そして飯田 隆くんと鎧塚 航くん、あなたたちは事故で死んでいます。予見の大災害の発端で原因のすべてがあなたたちなのです。特にあなたたちは、あきらめてください」
そして大柄の少年は、あっけらかんとした表情で語った。
「へっ!なら地球に戻ってもつまらねぇ、俺はチート能力をもらって異世界に行くぜ」
「隆!お前も一緒に来い」
そう言ってから、嫌がっている飯田少年の首に腕を回して命令した。
『どうも少年の二人は死亡していたようだ、しかしOL風の愛美さん以外、俺を含め五人のなかの一人が巻き込まれていると言う事か、巻き込まれた子は結構運が無いよね。 まあ、戻してもらえるのはラッキーかな』
自分では無いとユウマが考えていると、未菜と結愛がユウマを見上げてから言葉をかけてきた。。
「「ユウ兄ぃ、もう、家に帰れないの?」」
二人は不安げに、ユウマのそばで服の裾を掴んで不安な表情をあらわにしていた。
そして唯香は、震えながら俺の腕にしがみついて目に涙を浮かべ語りかけた。
「ユウ兄さま、私たちどうなるのですか?」
そして、少し離れていたところにいた、ユウマの高校時代の後輩の鈴香が、こちらを見てから俺たちに気が付いてから・・・。
なぜか、ニコニコ笑顔を向けながら近づいて来た鈴香が、ユウマの肩に手を置き。
「先輩っ!帰れないのは非常に!残念だけど異世界だってチートだよ!ラノベの主人公みたいだよー♪」
目をキラキラと輝かし話しかけてきた・・・何がうれしいんだか?
『まだ一人、地球に帰れるかもしれないのに? もしかしたら鈴香ちゃんなのかもしれないのに?』とユウマが考え。
『落ち込んでる少女たちの暗い雰囲気の中、何故この子は、こんな発言をするような残念な娘だったか?』 と俺が呆れ顔で鈴香ちゃんを見ていると、俺にしがみ付いていた三人娘は、お互いを見てから。
「「「プッ」」」
顔を笑顔にして吹き出し、この場の雰囲気が一瞬で変わった。
『そう言えば、鈴香ちゃんは明るい娘で、むかしっから回りのみんなや色々なグループのムードメーカー的な存在だったよな』と、ユウマは考えていたが。
しかし、ユウマの肩に置いた時の彼女の手が、若干震えていたし目にも涙を浮かべていたのを、ユウマは見逃さなかった。
『恐らく三人の娘を不安がらせないように、とっさに言ったんだろう』とユウマが思っていたが?・・・だがその考えは直ぐに消え失せた、なにせこのあとの行動と台詞を聞いたら・・・。
「ねえ!ねー!結愛!私たちF・O・Bみたいな異世界にいって、ユニークスキルもらって、チートで冒険して、モンスター倒して、ついでに無双出きるかな?ねっ結愛ユニークスキル何もらえるのかな、選んで良いのかな?ねっ!ねっ!」
色々聞きながら結愛に抱きつき、目をキラキラと輝かせウンウンウンウンとしている。
さすがにこの姿を見たみんなは、ドン引きして一旦この子たち、鈴香と結愛から距離をおいた。
「リン姉ぇ、こういう状態の時にそう言うのは?」
少し表情を強張らせて聞いていたが、表情を緩めニヤと、にやけた結愛が不適な笑顔で語りだした。
「でも、うふふ!冒険者になって無双いいですね。ユニークスキル何もらえるですかね。選べるなら創造魔法なんていいですねっ!」
二人でニコニコと笑みを浮かべながら、手をつなぎぴょんぴょんと跳ねだした。
『ウワー、残念な娘が二人に増えた』と冷たい視線をユウマがおくっていたら。
「はぁあ!あの二人は最近はやってるF・O・BのVRゲームと小説にはまってるんですよね?」
「それに、同じ同人誌サークルグループに入っていて、もう一種の病気みたいに完全にはまり込んでるのです。 もう重症で手が付けられないのです」
唯香と未菜が手を額に置いて首を左右に振りユウマに説明してくれた。
「あのー?そろそろ続き話しても良いですか?」
俺たちの近くまで降りてきて女神フィーナがそう聞いてきた。
第四話につづく
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おっと、女神様俺たちのやり取りを律儀に待っていてくれたのか。