第二十五話
すぐにアリア達だと思って待ち構えていると、物凄い勘違いをしていた事が判明したのだった。
実は気と気配は感じ取り方が解っていたのと、敵が近付いてこないのは気配を感知していると思っていたが、どうやら気配でなく気の方を感知して逃げ回っていたのであった。
それが解ったのは、俺を探して近付いて来たアリア達の気を感じれるようになってからで有った。
実は、とんでもなく大きな気の持ち主は、アリアとロンだと思っていたら違っていた、それはミーアとランであったのだ。
それでアリアとロンは、もう一つの大きい方とそれよりも若干弱い方の方であったのだ。
しかし、それでも十分強い部類だと思う。しいて言えばこの周囲にいる魔獣類が1か2とすると、ミーアとランが10、アリアが8でロンが6程度ぐらいである。
まあ、恐らくアリアとロンは無意識のウチに押さえているのだろうが、ミーアとランは予想以上だと思う。
それに俺が今迄、遠くにいる気や気配を感じなかったのは、こう言うことなのだろう遠くの気が小さすぎるので感じなかったという事だ。
早い話し近くに、余りにも巨大な気を発散させている人がいた物で、俺自身が訳が解らない状態に陥っていたようだったのである。1人で行動するうちに気配と気を感じる事が出来、解る様になって、しかも精密に位置から大きさまで解るようになっていたのだと思う。
俺がその事に驚き考えてると、アリアが声を掛けてきた。
「ユウ兄!心配しちゃったよ。また突然いなくなっちゃうし、こんどは全く気配も感じなかったから・・・」
「でも、なんでだろう?お兄ちゃんの気配がさっきと同じように、まったく感じなくなってるよ?どうしてなんだろ」
ミーアの言葉に違和感を覚え、確認する為に聞いてみた。
「ん?なら何で俺だって解ったんだ。何も感じなかったんだろ?」
「うん、まったく解んなかったの。さっきまではここで複数の嫌な気配を感じてたの。でも、その気配がね、何故か自然に減っていたから、何かなと思ってこっちに来たの。そしたらここに居たすべての嫌な気配が、どこかにいっちゃて気配が無くなったから・・・みんなで引き換えそうとしたら、突然お兄ちゃんの気配が現れてから気配がどばぁぁて大きく現れたの。それでお兄ちゃんがいるって解ったの」
「ええ、そうなんですよ。突然、複数の気配?が逃げた後、大きな気配ですかね・・それを感じましたので、来てみたら、やはり兄貴をだったんですよ」
「そうそう、ミーアがその気配を感じて、ユウ兄だって言ったから急いで来たんだ。最初は突然、気配が現れたしそれがとてつもなく大きいってロンが言ったから、最初はそのまま引き返そうって思ってたんだよ。私とロンは・・・そしたらミーアがユウ兄だって言ったから」
あれ、どうやら最初から俺の気というか気配は解ってかったのか、なら何がきっかけだったんだ?
「なあ、ちなみに今はどうなんだ?」
「えっと兄貴の気は少し解るくらいですかね?・・・ただ、今は・・・?それでも、さっきは凄かったのですよ」
ロンが現状の俺のは少し解るぐらいと言い、何かを言いかけミーアとラン、それにアリアに視線を向けて言葉を濁らせたいた。
「私は良く解んないや。今はユウ兄の気配は・・・まあ、何となく解るけど、大きさに関しては全然解んないよ?でも、さっきは凄いのは解ったんだけど、みんなみたいに大きさなどは感じなかったけど何が違うんだろうね」
この時点で大体、何となくだけどみんなが感じてるモノの仕組みについて何となく理解できてきた。それと今迄何で相手というか敵が逃げていたかも解ってきたのだ。
それにミーアが言っていた気配と、ロンが不思議がって言っていたのは、気配ではなく違うモノだと言う事も大体解ってきた。要するに気配だけじゃなく、魔力みたいな身体の中にある別の何かの力があったのだ。
とりあえずそれは、簡単に気と言う事にしようとと思う。早い話・・・なんて言って言いか解らないから、もう気と言う事で良いと思った。
まず、気配と気については、気配は視覚で捉えられない、脅威や安全に関わる相手を捕らえる感じで、気とは体内に流れる生命エネルギーで、まあ魔力と同じようなモノみたいだが、魔力とは完全に別物である。
それは魔力は大気中の魔素を自身で吸収して、魔力に転換している感じだが、気に関しては体内にある生命エネルギーを燃やして放出すると色々な事が出来るみたいだ。まあ、生命エネルギーを魔力に変換するのに近いようなモノだが、それみたいに危険が有るわけではない。
自然に使えて魔力みたいに極端に減る訳ではなく、弱まっていくくらいで少し休めば直ぐに元に戻る。
これは恐らく魔法が苦手な獣人族や獣類が、特に得意としているモノであったとかなり後で知る事になるのであった。
なので白王狼であるランの遺伝子を持つ、ミーアが使えるのは当たり前というより、半獣人に改造されているんで、使えているのだろう。もしかしたらラン事態がそう言う特殊能力に優れていたのかも知れない。
それに本来、俺達人族だけでなく、生きているモノであればこのような気があるはずだ。だから、アリアはまだ完璧といえないが気配を感じる事が出来ているが、気に関しては何となくの感覚で捕らえているようだ。
そして、ロンは気を感覚的に感じているが、気配に関しては以前の俺と同じ感じで、ある程度近くにいる気配は認識でき解る程度だった。
俺の方は、先程やっとその気と気配に関して理解が出来て解る様になった。それに伴い小さな気配の感覚も探れるようになり、周辺の状況も解りだしたのである。しかも、気と気配のコントロールが出来るというおまけの能力まで手に入れたのであった。
それと敵が俺達が近付くと逃げていた現象は、やはり原因があって、それはミーアとランの気が駄々漏れだったという事であった。
恐らくここに最初来た時は、そんな事は無かったのだろうが、戦闘を行なう内に育ち盛りのミーアとランは極端に成長してレベルが上がったのだろう。
それで強力な気が体外に駄々漏れ状態になり、それを感じだした敵が、徐々に逃げていたのだろう。それに若干少ないがアリアとロンも加わっていたので、余計に相手は危険と判断して近付かなかったのだろう。
それで俺が迷子になり1人になった事により、魔獣や獣が、弱い相手に近付き寄って来て、こちらを攻撃してきたのだろうと思った。
ということが解ったので、今度は気の気配をなくすコントロールをする事にしてみんなに伝えた。
「で、そういうことなんだ。ちなみにみんな今その気は駄々漏れ状態だから、それに気配も凄くやばい・・・」
「えっ、そうなんですか?」
「うわー、ミーア達お漏らし状態なんだ。その気ってのは・・・」
『クゥゥゥン・・・』
まあ、ミーアの例えは若干誤解を生むがそう言う事だ。
「えっ、そうなの?なんだ、折角ユウ兄に勝てるものが出来たと思ってたら、実は全然だったんだね。・・・うーん、残念」
何故かアリアは俺より優れたところがあり、喜んでいたようだが、何時の間に既に追い越されていた事に残念がっていたのだ。まあ、恐らく半分は冗談だろうがな。
『ねえ、ねえ、マスター私は、私はどうなのその気ってのは?』
こればっかりは不思議と、ファルには俺達と違う気配は有るのだが、気に関しては殆ど感じない。それに何かの別の力を感じるが、これは気ではない力だと思う。
「いや、それは感じないんだけど・・・ファルは聖霊だから違う力はあるみたいだけど・・・よう解らん」
『なんだぁぁ、私にはないのか?残念・・・』
いや、別に落ち込むような事では、まあいいや、ファルの事は置いといて俺が思っている事を実行したいと思う。
それから森が少し開け、泉がある場所を見つけたので、そこで野営を行なうついでに気のコントロールを行なう修行を開始する事にした。
第九章:第二十六話につづく
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野営に関しては、一応今日で5回目になる。




