第十九話
そして、期待に満ちたシルフィーの可愛い笑顔と目のキラキラに負けて。
「はっ、はい!わかりました。護衛をやらせていただきます」
少しユウマは、引き気味で了承したのであった。
先ほどのやり取りをいったん終了させてから、ユウマはシルフィーと負傷者の集められた場所に一緒に行くと、騎士三人と執事服の女性が一人の計四人が、地面の上に敷かれた布の上に寝かされていた。
動ける者はユウマを含め七人である。
ユウマが近づいて来たのを見て、先の戦いで尻餅をついていた騎士が挨拶をして来た。
「えーと!ユウマ殿、俺の名はダントです。先程は助けていただき有難う御座います。そして力になれずすみませんでした」
こちらに来て名を名乗りお礼と謝罪をしてから、隊長であるレオンに呼ばれて。
「それではまた後で、失礼します。今から馬車と馬を回収に行きますので!」
そしてレオンの元に行き、一緒に先程の戦闘場所にある馬車と、周辺に逃げて行った馬の回収を行ってしまった。
軽装の女騎士がユウマに近づいて来て頭を下げてから。
「ユウマ様此度の助力、ほんっとーに!ありがとうございました。私はレーネ・リィ・フォルシオンと申します。どうぞ気兼ねなくレーネとおよび下さい」
レーネが、ユウマに先の戦いのお礼と名前を教えてくれた。
そしてダントが2頭の馬に馬車を引かせて、こちらにやって来て、レオンが1頭の馬にまたがり器用に馬3頭を引き連れ戻ってきた。
そして馬車とすべての馬を回収し岩場の近くに馬車を固定して6頭の馬をすべてつなぎ終わり、レオンとダントが皆の場所に戻ってくる少し前に気絶していた女性騎士が目を覚ました。
そして気が付いた女性騎士が状況が解らず混乱していたので、これまでの事情と成り行きをレーネが説明をおこなっていた。
レーネが女性騎士に説明が終わったころ、レオンとダントは少し興奮気味の馬たちを落ち着かせ餌や水を与え、その後レオンがこちらの方にやって来てから、シルフィーとレーネになにやら相談していた。
そして、1人の騎士を呼び寄せた。
「騎士ダントこちらへ。お前はこの中で唯一怪我もなく動ける。それですまぬが馬で先行させて、近くの街より助けを呼んで来てもらえぬか?」
隊長であるレオンが、ダントに近くの街に助けを呼んできてほしい事を伝えた。
「わかりました。隊長殿ただいまより即座に準備を行い、救援要請のため近くに街まで馬を走らせます」
ダントは了承して命令された内容を復唱してから、敬礼をして食料の入った袋を受け取り馬に乗って早々と掛けて行った。
動ける者みんなでダントを見送ってから、ユウマは再度倒れている全員の状態を【真理眼】のスキルを使って状態を確認しようとしていたら。
「おい!マークしっかりしなよ。死んだら意味ないよ、しっかりして!?おねがいマークッ!・・・・」
女性騎士のひとりの悲痛な叫びと泣き声が響きわたり、動けるみんながそちらに近づいて行った。
そして、泣き叫ぶ女性騎士の肩に両手をおいてレーネが語りかけた。
「マークがどうしたのレイナ!」
「ヴァーグが、グス、マークがいぎぼグス、しなくなったんです」
レーネが、女性騎士をレイナと呼びマークがどうしたのと訊ねたら、そこに寝ている重傷の男性騎士マークが、先程まで息はしていたがやけに胸を押さえ苦しんでいたので、介抱をしていたら突然顔色が悪くなり息をしなくなったと、激しく泣きながら答えた。
ユウマは、近づいてマークと言われた男性騎士の顔を見てから【真理眼】のスキルで状態を確認してみた。
すると心臓及び呼吸停止・蘇生可能と目の前の薄い青色のスクリーンに表記が出てから、その下の何かのメーターみたいなのが減っていたので、試しに【超級解析】のスキルを使用してみた。
『【超級解析】心臓及び呼吸停止・蘇生可能を解析します。この表記は心臓の心室細動、痙攣を起こしてそのうえ呼吸が停止している。だが蘇生が可能という状態、何らかのショックを与え心臓が正常に動きだしたら蘇生ができる。ただし時間が経過して完全に心臓が停止すると死亡となり蘇生不能となる。この場合特殊な秘薬が必要である。また究極魔法の類でも蘇生可能』
なるほど、今見えてるメーターみたいなのがなくなったら死亡になるのか、メーターの減り方のスピードからいって約5分ぐらいかな、ならこの間に心肺蘇生を行えば助かるかもしれない。
一番いいのは地球であったAEDみたいに電気ショックをあたえられれば良いのだけどとユウマは考えていた。
第二十話につづく
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そしてユウマは、もしかしてと考えて自分の魔法の中に・・・?




