第十五話
「さてと俺は、これからこの一つ目ヤローにどれだけ対抗できるのやら」
今から戦闘する相手に、少し離れた位置で独り言をもらし剣を構え相手と対峙した。
ユウマは、剣を構えた状態で相手の魔獣である単眼鬼人を見ていた。
ぱっと見た目には古い布切れを着た格好で、角の生えた筋肉ムキムキマッチョの一つ目のおっさんで、手に持っている武器はイボイボのついた金棒であった。
そして先程は気が付かなかったが、如何せんガタイが良くとても大きい、離れてこちらに歩いてくる時はそんなに気にしなかったが、豚亜人騎士が近づいて頭を吹飛ばされた時、豚亜人騎士と単眼鬼人は人間でいう大人と子供くらいの身長差があった。
豚亜人騎士でもユウマより一回りほど大きかったのに、それよりも大きくガタイは良くおまけに筋肉はムッキムキだった。
俺っ!ホントに勝てるのかな?できれば騎士の皆さん手伝ってくれないかなー!?などと淡い思いをよせ、どうしたものかと考えていた。
そして、ついにの単眼鬼人が近くまでやってきて、構えを取り「Gu!OuGa」と声をあげ金棒を振り上げ戦闘に入った。
このときユウマと単眼鬼人が戦闘に入る前、シルフィーたちは安全のため行動を起こしていた。
ことの次第は、単眼鬼人がユウマたちの方に向かって、ゆっくりと歩みを進めていたがそこは無視して、ユウマは騎士たちの戦っていた豚亜人騎士の方に向かって移動していた。
このとき妖精のフレイからシルフィーに、ここから離れ安全な場所に行くように伝え、そのシルフィーたちは、その言葉に従い移動を開始していたのだ。
ただし執事服の女性のキュリカは頭から血を流し気絶していたので、軽装の女騎士のレーネがキュリカの腕を肩に回し運んでシルフィーはその横でささえ移動していた。
その途中でシルフィーとレーネは、助けてくれた青年と、魔獣と戦っていた騎士たちがいるであろう方向を見た。
そして思わず。
「すっ、すごい!あの青年一瞬で豚亜人の腕を!すれ違いざまに切り落としましたよ」
ちょうど青年の方向を見たと同時ぐらいで、すれ違いざまに豚亜人騎士の腕を剣で瞬時に切り落としていた。
その後、さも何も無かったかの様にその青年が騎士に手を差し伸べて助け起こしていた。
「すごく強い方ですね!これならみんな助かりますわ」
シルフィーは、青年の助けでみんなが助かると少し安心して。
『すごい!すごいよね。強いよね。彼、ユウマって名前だよ』
フレイが青年の名前をシルフィーに話した。
「あのお方は、ユウマ様というのですね。フレイ!」
『うん、そうだよ!』
シルフィーは、妖精であるフレイから青年の名を聞き、色々な事を会話しながら安全な場所へ歩みを進めた。
そして、馬車より離れた丘の岩場付近に安全なところを見つけ、その場所へ向かいキュリカを寝かせる為地面に布を敷いた。そしてその布の上に下ろし寝かせた。
そのあと今から起こるであろう戦闘を見ようと、ユウマと名のる青年と騎士たちの方を振り返った。
だがなぜか騎士の一人が、吹き飛ばされた騎士二人の元に行き助けおこし、それから共にこちらに向かって歩いて来た。
「えっ!どうして騎士たちがこちらに、彼と一緒に戦うのでは?相手は、単眼鬼人ですよ、彼ひとりでは危険なのでは?」
シルフィーが、騎士たちがこちらに来ているのに対してユウマがひとりでは、危険なのではと心配してレーネに尋ねた。
「どうしたんでしょうか。騎士たちは、大きな負傷をしているみたいには見えませんが?どうしてでしょう。でも?彼ならば騎士たちがいるよりも、あるいはおひとりの方が本気をだせるのでは?」
レーネも騎士たち行動を見てどうしてだろうと思ったが、シルフィーが尋ねた答えには彼ならばと思い返答した。
そんな事とはつゆ知らず、こちらに向かってくる騎士三人は、お互いを身体の状態確認して話しながらシルフィーたちの方に歩いていた。
騎士たちはこの時、自分たちが不甲斐無いばかりに見ず知らずの青年に助けてもらい、ましてや足手まといになるかもともの思いにふけていた。
また、単眼鬼人相手では加勢して戦闘しても気力を無くした我々では彼の盾になる事もできず、すぐにやられて迷惑になってしまうと意気消沈した感じで申し訳ないと思いながら青年の方に視線だけを移しちらちら視ながら歩いていた。
騎士たちのそんな思いとは知らず、またシルフィーたちの心配をよそに、ユウマは単眼鬼人と向き合い戦闘態勢に入っていた。
第十六話につづく
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戦闘に入ってすぐさまサイクロプスは、・・・?




