表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/512

第十一話

それでこの採取依頼は、完了したので陸地に上がり休憩がてら火を熾して暖を取る事にした。

「うぅぅっ、さっぶっ、流石にさっきの水は冷たすぎだよ。とりあえずさっき集めておいた枯れ木に火をつけて暖を取ろう。うううっ」

 そう言って先程、湖に入る前に服を乾かす為に集めておいた枯れ木に火をつけた。


「こういう時は、魔法って便利だよな。直ぐに火を熾せるし」

 暖を取りながら服を乾かしている間に、先程のアクアブルーのオーブを見ているとボヤーッと光っているのに気が付いた。


「あれ、さっきこの水晶光ってなかったよな?何で光ってんだ。光の加減かな?」

 そう言葉に出して光の加減かも知れないので動かしていると、ある場所の方に向けたら水晶が輝きを増した。


 水晶玉の輝き明るくなった方に立ち上がり歩き出すと、ますます光が増して明るくなっていき、ちょうど先程いた湖底の遺跡付近に向けると光が収縮して一点を差し示した。


「いやいや、何、あの台座みたいなの?・・・えっと、さっきまであんなところにあんなの無かったよな?あんな水晶いや氷の台座みたいなやつ」

 先程まで冷たい水の中に入って水結晶塊鉱石(アクアルアコウセキ)を探している時と、邪陰水晶の石柱を破壊している時には、確かに遺跡の中心部にはあのような台座は無かった。それなのに、今現在湧き水が溜まり遺跡の中心部に水晶か氷の様な台座が出来て競り上がり輝いている。


「まさか、このアクアブルーのオーブをあの台座に戻さないといけないのか・・・。いや、あの水の中に入りたくないな・・・。あっ、そうか、どのみち水だから氷らせてから、あの台座まで渡っていってこれを置こうかな、それのが早いし折角乾いた服を濡らさないですむな。流石にもうあの冷たい水の中入りたくないし」

 そう思いとっとと厄介事を終らせようと準備にかかった。


 まずは、自分の魔法である【氷の矢(アイスアロー)】を使ってみたが、考えていたよりも湖は氷らなかった。

「うーん、今までの俺の魔法だったら一瞬で凍るかなって思ったけど、氷の矢が当たった部分が凍っただけで周りは凍らないのか」

 先程放った【氷の矢(アイスアロー)】は、見た目では当たった箇所の一点だけしか凍っていなかった。しかしホントは、その一点から下に向けて氷が張っていたのに気が付いていなかった。それに遺跡の周りには魔法の能力を消してしまう効果がある事を忘れていた。

「うーん、うまくいかなかった。また、あの中に入っていかないといけないのか?・・・これ、もうこのままでもいいかな。めんどくさいし」

 何故か水の中に入らなければいけないと思った時点で、やる気をそがれた。


『それにだれかに頼まれた訳では、ないから知らないフリする・・・訳にはいかないよな、やっぱり・・・はぁ』

 ユウマ的には、知らないフリをしたかったが、何故かアクアブルーのオーブがあの台座に戻してもらいたがっている様にも思えていた。


「何で、こんな事になったんだか。うーん・・・・・」

 この後どうしたものかなと考え事をしていたら、腰に差していた脇差の姫雪光影が微かに震えて輝き出した。


 輝いてる姫雪光影を見ながら、そう言えばさっきこいつで魔獣(モンスター)切りつけたら凍っていたっけか、ならこれで水面をなぎ払ったら凍るかなと思いながら、試しに気合を込めて水面を切り払った。


 すると、水面に一筋の線が入った後に幅50センチほどの氷の道が、台座付近まで出来てしまった。

「やった、うまくいった。ありがとぉ、これで濡れずに済む」

 そう言葉にだして台座に向かって歩き出した。


 台座の前にまで来てアクアブルーのオーブをその上に置いた。するとオーブがその台座に吸込まれる様に一体化して、そこから先程以上に水があふれだした。良く見るとただの水で無いように思え【鑑定眼】で確認していると聖なる水、聖清水となっていた。


 しかしユウマとしては、そんな事よりまた濡れてしまう方が心配で、

「うっわっ、やべぇ、折角濡れずにここまで来たのに、このままじゃ濡れてしまう。さっさとここを離れよう」

 まだ水の勢い的には大丈夫だろうが、あきらかに先程の水量と違いかなりの量が湧き出してきたので、急いで陸地まで駆け上がっていった。

『・・・・あ・り・が・と・う。・・・さま。このお礼は・・・いつか、かならず・・・・』


「うん?何か聞こえた様な・・・・? まあ、いっか」

 ユウマが急いで駆け上がっている時に、何か声が聞こえた様な気がしたが、気のせいだろうと思い先程暖を取っていた焚き火のそばまでやって来たのであった。


「しかし、この刀と脇差の名前長いよな。ファルみたいに短い名で呼び易いようにしよう。うん、そうしよう。ちなみに刀の方が月下天命(げっかてんめい)だからなぁ、・・・・普通だったら月命(げつめい)とかだろうけど、・・・何となく男って言うより女の子みたいな名で月姫とか、他の人が聞いたらなんて言われるか解んないな。ほんでもって脇差の方が姫雪光影(ひめゆきこうえい)だから・・・安直に雪姫てのはどうかなっ。まあ、ちなみに俺がこの剣がファルみたいな女の子の方がいいかな、なんて己の願望だけどな。良しこれで行こう。これからは月下天命(げっかてんめい)は月姫で、姫雪光影(ひめゆきこうえい)は雪姫だ」


 そう言葉に出した途端に二つの刀が、輝き出して刀の刀身と鍔の部分が変化した。

第七章:第十二話につづく

 元の月下天命げっかてんめいの月姫と命名した後は、刀身が月の様に優しい光を放ち、刀身には薄く三日月の紋様が浮かびあがりった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ