第十四話
フレイが突然ユウマに危ないと知らせてくれたので、ユウマが状況を確認しようと後ろを振り返ったときに、離れた場所の岩陰から蒼白い光弾が飛んで来るのが目に映った。
岩陰から飛んでくる光弾を避ける様に、ユウマへ知らせたフレイだったが後ろにシルフィーたちがまだいるのに気が付き、このままだと光弾がシルフィーたちに当たってしまうと考えていた。
でも、火属性の自分が防御用の障壁を張って盾になればどうにかなると考えた。
ただし自分は精霊力を著しく失って、しばらく行動ができなくなるけど、最悪シルフィーたちは助かると覚悟を決めて障壁を張るため両手を前に出し精霊力を高めようとした。
するとユウマが避けずに蒼白い光弾に向き合っていた。
『ユウマ!危ないよ、避けないと怪我だけじゃすまないよ!?』
フレイが悲鳴に近い声を上げた。
何故なら、ここでユウマに倒れられたら、せっかくシルフィーたちが助かるかも知れないのにこのままじゃ、全員やられてしまうと思っていたのだ。
しかしユウマは、蒼白い光弾を見つめ剣を構え、うなり声を上げた。
「うっおおおおおおー・・・・!」
声に呼応するように、何故か目が温かくと言うより熱くなり、持っていた剣に炎の様なオーラが纏わりついたのを感じ、光弾に向かって切りかかった。
すると蒼白い光弾は、ユウマの振るった剣に触れると同時に、霧散して消え去った。
『えっ!ユウマすごい、【蒼炎光弾】切っちゃった』
フレイは、ユウマがまさか光弾を切るとは思わず。
また、この人はやっぱり!うちたちの救世主だと確信したのだった。
ここでシルフィーたちが、なぜか統率のとれた魔獣に襲われ騎士たちが圧倒され次々と倒されていくなか、どうにかしないとみんなやられてしまうと思っていたら丘の上で、何か不思議な力を感じたので助けを求めに慌てて飛んで行った。
すると普段は妖精や精霊の声を聞き取れない人が多いなか、ユウマは受け答えをして今現在、見ず知らずのみんなを助けようと奮闘してくれているからだ。
ユウマは光弾を切った後、岩陰を良く見てみたら人影が隠れたのが見えたので近づこうとしていたら、騎士三人と戦っていた豚亜人一匹、先ほど詳しく確認した時豚亜人騎士だったやつが、「GuGaaaaa」と咆哮を上げ持っていた武器を見境なしに振り回し攻撃を仕掛け、その攻撃で騎士の一人が尻餅をつき、もう二人が武器による攻撃を防いだが力負けして後方に吹き飛ばされた。
その状態を良く見ると、緑小鬼の五匹中三匹と豚亜人一匹は騎士たちに倒されていたが、緑小鬼二匹と豚亜人一匹は健在で、豚亜人騎士の振り回した武器に、生き残った緑小鬼が当たり悲惨な状態になって死体が転がった。
その状態を、今まで遠巻きに見て見守っていた。
一つ目の魔獣の単眼鬼人が、悠然とこちらに向かって歩いて来ていた。
それを確認したユウマはフレイに向けて。
「フレイ!たのみがある。彼女たちを安全な場所まで、連れて行ってくれ。」
フレイに、自分たちの後ろにいた三人の女性たちを、安全な所まで連れて行くように指示を出し単眼鬼人を警戒しつつ、まず最初に武器を無差別に振り回している豚亜人騎士をどうにかしないと危ないので、急いで尻餅をついて動けない騎士と先ほど吹き飛ばされた騎士たちの元へ駆け寄った。
豚亜人騎士は、振り回していた武器を止めて、尻餅をついて動けない騎士に向けて振りかぶり攻撃を仕掛けようとしたが、武器が騎士に届く事はなかった。なぜなら、ユウマが駆け寄りながら先ほどと同じ用に剣に炎のオーラを纏わせ豚亜人騎士の横をすれ違いざまに、武器を持った手首ごと切り落としていたのだ。
豚亜人騎士は、不思議に思い自分の武器が何処に行ったか探して拾おうとして、手首がないのに気が付き「GuGuGuoooo!」と叫び声を上げていた。
はっきり言って非常にうるさい。
尻餅をついていた騎士も、なにが起きたか解らず目を白黒させていた。
「大丈夫ですか?」
ユウマが、尻餅をついていた騎士に手を差し伸べ声をかけた。
「ああ!ありがとう。き、君は?」
「えっと、通りすがりの冒険者でユウマと言う者です」
簡単に、自己紹介と一応冒険者と答えた。
たぶん間違ってはないよね。だいいちなんて答えたらいいのか解らんし?
「あっ!豚亜人騎士は、止めを刺しますので、他の人を助け起こしてください。そして、出来ればこちらに向かってくる単眼鬼人を倒す為一緒に戦って貰えませんか?」
騎士向かってお願いをしてみたが。
「しかし、豚亜人と緑小鬼相手に苦戦する我々が、戦闘に加わって君の足でまといになるのでは? 君は、一人のほうが力をだせて戦闘をしやすいのでは?」
騎士が自分たちが、戦闘に加わっても戦力にならないのではないかと言ってきた。
『えっ!なに言ってんのこの人、さすがに俺でも一人では格上相手には勝てる気がしないのだけど』と考えてから、【真理眼】のスキルを使用していたのを思い出し、吹き出しの詳細部分を確認してみた。
すると単眼鬼人は最初の時、格上のはずだった表示がいつの間にか同格にランクダウンしていた。
なぜだ?と思いながら。
「とりあえず、倒れている騎士の方々をよろしくお願いします。俺もやれるところまでやってみますので、出来れば加勢してください」
騎士に倒れている人をよろしくと伝え、加勢を出来るならお願いしますと言ってから、両腕をなくし混乱して悲鳴を上げている豚亜人騎士に止めを刺しに歩きだした。
するとユウマに気が付いた豚亜人騎士が、何故か怯え逃げ出そうとして転びながら単眼鬼人の方に走っていき倒れこんだ。
腕を組んでいた単眼鬼人は、その豚亜人騎士を見下ろし腰にぶら下げていた金棒を右手に持ち、軽くこずく用にたたき付けオークの頭を粉砕した。
「うげっ、すっげー力!それとえげつねー仲間じゃなかったのか?」
頭を粉砕された豚亜人騎士は、ビクン、ビクンと痙攣して動かなくなり、その亡骸を見てヒデーと思った。
「さてと俺は、これからこの一つ目ヤローにどれだけ対抗できるのやら」
今から戦闘する相手に、少し離れた位置で独り言をもらし剣を構え相手と対峙した。
第十五話につづく
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この時ユウマが戦闘に・・・・?




