第四話
その日の夜は、何も無くと思っていたが、ユウマが疲れきって深い眠りに入っている間に、訪問者がいた様だ。
確か寝る前には部屋の鍵を閉めていたはずなのに、いつの間にかユウマのベッドに潜り込んで一緒に寝ていた子達がいた。
いつもの様にファルとフレイがお腹の上にいるのは良く解る、第一この子達には部屋の鍵などは関係ない、なぜなら窓からでも空間移動で俺のそばに来れるらしい。
ただよく解らないのが白王狼のランが妖精の姿の2人と一緒にお腹に上で寝ていたのだ。
それに何時の間に侵入したのか解らないが、ミーアまでベッドに潜り込んで寝息をたてていた。
『いったいどうやって俺の部屋に入ったのやら』
そうこう考えている間に、扉をノックしてきて、その向こうからシルフィーさんの声がした。
「おはよう御座います、ユウマ様。すいません、起きてらっしゃいますか?」
「うーん、はい、起きたばかりですが。どうかしました」
そう言ってベッドより起き上がって扉の方へ向かい、扉の鍵を開けようとしたら。
『?・・・鍵はかかってるよな。なら、どうやって』
鍵がかかっているのに、どうやって入ってきたのか不思議に思い。先程まで寝ていたベッドへ視線を向けた。
『ああ、これを開けたのは、おそらくファルかフレイだな・・・。その後に鍵を閉めたと言う事か。まあいいか』
などと考えながら鍵を解除して扉を開けた。
「如何しました。シルフィーさんこんな朝早くから?」
「ええ、実はミーアちゃんの姿が見当たらなくて、おそらく夜中にトイレに行ったと思うのですが・・・」
「あれ、ミーアならそこに・・・・」
そう言ってベッドの方へ指を差し、今だ寝息をたてベッドで寝ているミーア達を指差した。
「あっ、またユウマ様と一緒に寝てらしたのですね。・・・『うらやましい』」
などと最後は頬を膨らませて小声で言いながら、何故かユウマの腕をつねっていた。
「いててっ、どっ、如何したんですか?シルフィーさん?」
「なんでもありません」
ユウマは何故つねられたのか解らずに、不思議に思っていた。
結局何が何なのか解らず混乱している間に、シルフィーがミーアのそばに行きミーアを起こしてシルフィー達の部屋へ連れて行った。
そして、ここに残ったのはユウマと妖精の2人とランだけになったので、とりあえず着替えてみんなで食堂に朝食を食べに下りていった。
食堂に着くと昨日は徹夜をしたのか、それとも宿舎に止まっていたのか解らないがヨーコさんと昨日一緒にいたギルド職員の方が食事を取っていたので、とりあえず挨拶をした。
「おはようございます。みなさんお疲れのようですね」
「おっ、おはよう・・ございます。ユウマさん・・・昨日は良く休まれましたか?」
「「「「おっ、・・・おはよう御座います」」」」
そしたらヨーコさんと、ギルド職員のみんな疲れきった声で返事を返してくれた。
「あっ、はい、良く眠れましたが・・・まさか徹夜だったのですか?」
「あっ、はい一応朝早くには終わりましたが、皆さん興奮していて先程まで色々と・・・。それで食事を取って、このあと少しの間仮眠を取る予定です」
どうやら今朝方まで鑑定作業がかかっていたらしく、やっと全ての作業が終わったので食事を取ったら、この後少し仮眠を取り午後から通常勤務を行う事を教えて貰った。
鑑定の結果は、もうギルマスであるフィリアさんに報告しているそうなので、後で尋ねて欲しいと言う伝言を聞き朝食を取る事にした。
それでゆっくり朝食とっている中で、ファルとフレイは別に食事を取る必要が無いのに、ユウマが注文していた物をいっしょに食べている。そしてランは先程までミルクを飲んでいたが、今は膝の上で丸くなっている。
そうこうしている間にみんなが起きて来て、挨拶をした後に朝食を取った。
みんなが食事を終えたのを確認してから、ギルマスのフィリアのいる部屋へ向かう事にした。
ギルマスの部屋に入りみんなと一緒にフィリアと話していると、ホノカが今朝ヨーコの言っていた鑑定結果と報酬に関しての資料を持ってきて説明をしてくれた。
このとき今までの報酬分と昨日渡した素材関係分の代金をもらえる事になったが、とんでもない金額になっていたのだった。
第七章:第五話につづく
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まず報酬分は、白金貨10枚と金貨10枚、この金貨10枚は魔人族に関する・・・?




