第四十四話
それにミーアも嫌がらずに、シルフィーからされるがままになっている。
「それなら、シルフィーさんが面倒を見た方が、いいのでは」
と、冗談で言ってみたら。
「それは、駄目です。『そのうち私も・・・』だからユウマ様が面倒を見てください」
途中の方はボソボソ言ってよく聞こえなかったが、結局ミーアの連れて行き面倒を見るようになってしまった。
これはもう前途多難になってきた。
それから夜間の見張りをする事になっていたが、余程みんな疲れていたのか殆ど居眠りをしていた状態だ。
まあ今回は、馭者の人達も参加して見張りの行なってくれるので、先程の戦闘を行なったメンバーの殆どの人が睡眠を取れる事になった。
ユウマは今回も中番での見張りを行ったが、別にトラブルなどは無く見張りの時間が終了した。
そしていつもの寝床に戻り朝まで寝ていたが、いつの間にかミーアとラン、そしてフレイと妖精の姿に戻ったファルがユウマの寝床に潜り込んでいた。
「うーん、やたら温かいし重いと思ったらまたか。ふぅっ、ううん・・・・・えっ?なんでこの子達まで・・・」
自分のお腹の上に抱きついて寝ているミーア達にまたかと、溜息を吐いて手を動かそうとしたら、腕を何かに捕まれていたので、視線を向けると何故かアリアとメイリまでがユウマの寝床に潜りこんでいたのであった。
「はぁ、なんでまた。この子達まで、何時の間に潜り込んだのやら・・・」
朝日が昇ってユウマが目覚めると、その光景を見て何故にと思いつつ、みんなを起こさない様に抜け出した。
そしてこの事は考えても仕方が無いと思い、いつもみたいに体操をしてみんなが起きるのを待った。
そこへシルフィーが起きてきて、ユウマに挨拶をしてきた。
「おはよう御座います。ユウマ様いつもお早いです・・・ね!?」
するとユウマの寝ていた寝床から3人が、眠たそうに起きてきたのを視線だけ向けて、シルフィーが固まってしまった。
「うーん、ユウ兄おはよう。シルフィーさんもおはよう・・むにゃむにゃ」
「ユウ兄様ぁ、シルフィー様、おはようございまふぅ」
「おはようですのぉ、でもまだぁ、ねるのぉですの・・ふにゃぁ」
その光景を見て固まっていたシルフィーが、3人娘が挨拶をして来たのを聞きいて、
「えっ、ええ、おはよう御座います。みなさん・・・・・・」
元の状態に戻り3人に挨拶をした。その後、なんかとんでも無い事を口走っていたがきかなかった事にしよう。
『あぁぁ、あの子達、私は、はしたないので我慢していた事を・・・このままではいきませんわ。早急に手を打たなくては・・・うぬぬっ』
最終的にこんな考えをしていたとは、ユウマは知らずにいた。
早朝から色々あったが、みんなが次々と起きてきたので挨拶を交わした。
そして焚き火の周りに集まり、昨日助け出した村人と共に朝食の準備をして食べた。
その後、村人達は各自の村へ帰るため準備を行い、こちらでは使わない最低限の装備品を渡したら、それらを装備して村へと帰っていった。
こちらも村人達の出発を見送りをして、シルフォードへ向けて出発を開始した。
今日の予定では、移動中に何も無ければ夕方ぐらいには到着する事になっている。
そして順調にすすんで行きと言いたいところだったが、実はシルフォードに到着する途中に、例の闇ギルド・暗闇の猫がまた襲撃をしてきた。
しかし今回は、相手が悪すぎたと言った方が早い、何せ冒険者がいる上に騎士達も万全である。
しかも少年達に関しては、ここ数日の間にかなり実力が上がっている。
実を言うとこの少年達の中には、ミーアと白王狼のランも、一緒にパーティーを組んで戦闘を行なっている。
また、今回は手を出さなかったが、フィリアとユウマも後に控えていたので、そんなに手間がかからなかった。
なので、今回襲撃してきた奴らは逆に気の毒すぎた。
なにせみんなにボコボコにされて虫の息で、今各馬車の後に簀巻きにされ拘束されている。
まあ襲撃してきた人数は10人いて強い奴が2人程いたが、前日に戦った魔人族と比べたら全然たいした事が無く、難なく簡単に倒して捕らえていた。
前日の死闘でここにいる冒険者と騎士、そして少年達の戦闘経験値を大幅に上げていたのが勝因だろう。
そして日が落ちる前に、シルフォードの防衛門の前に到着したのだった。
街の中に入るには審査が必要かと思ったが難なく入れたのだった。
そしてまた、新しい物語がはじまるのだった。
第五章:第一話につづく




