第三十四話
《ドゴンンンっ!?》・・・・。
ガタイのいい魔人族のバルボが、どこかに吹き飛んで岩に激しく衝突した。
メイリが恐る恐るそっと目を開けて見ると、そこにはユウマが立っていた。
しかしユウマは、尋常じゃないほど怒りを露にしていたが、メイリの方を振り向いて、やさしい笑顔を向けてメイリの頭に手をおいて。
「良く頑張ったね。メイリ」
と、言ってメイリの頭を撫でた。
「ゆっ、ユウ兄様!アッアリアちゃんとリンクがもう・・」
そうメイリが泣きながらユウマに説明してきたので、2人の状態を確認して驚愕した。
なにせアリアは右腕が無くなって背中には致命的な傷と、顔にも傷がありそのうえ瀕死だった、ただまだ生命を維持しており如何にかできる状態だった。
そしてリンクは、両足がグシャグシャになり頭を強打して、以前のキュリカさんと同じ様な状態になっていた。
ただしリンクの方が激しく損傷していて下手をすれば、もう二度と意識を取り戻す事が出来ない状態だった。
「つっ、ごめんな、2人とももっと早く俺が来れたらこんな事には・・・」
その痛々しい姿を見てから、自分の不甲斐なさに唇をかんで悔しがっていると。
「うんん、ユウ兄様は悪くないですよ。私達の力が無いのがいけないのですから、それに自分達の力を過信しすぎた結果がこれなんですもの」
必死にメイリが、自分もきつい筈なのに、そして今にも気を失いそうなのに必死にユウマの事を責めずに慰めようとしてくれていた。
そんなメイリと、そしてすぐ近くで気を失なってるロンを見ながら、その2人の身体に傷らしい傷がない事を安心して、良かったと思い。
しかし2人共身体の方は無事なのだけど、やはり魔力が枯渇して非常に危険な状態である事には変わりない。
下手をすればそれが原因でショック死する危険があったにも関わらず、必死に傷を負った2人を守り耐えていたようだ。
それにファルも自身の自分の魔力と聖なる力を、そして精霊力を使いきりついに身体を維持できずに、元の剣の姿に戻っていた。
横で悲しい顔を向けて、涙を流していたメイリに声をかけた。
「メイリ大丈夫だよ。2人とも絶対に俺の力で治してみせるから」
「えっ、でもユウ兄様2人共、もう元の元気な姿には・・・?」
「大丈夫だよ。心配しないで元に戻してみせる。絶対に・・・」
そう言って今度は、魔人族に背を向けた状態で、怒りのまま声をかけた。
「お前達は、許さないからなそこで大人しくしていろ。後で相手をしてやる」
恐ろしいまでの殺気と覇気を背中越しに威嚇した。
するとその声を聞いた魔人族は、動けず固まった状態になってしまった。
『なっ、ななな、なんだ、こいつは?身体がいう事をきかない。なぜ動かない』
『なんなの?突然あらわれて・・こんな奴いたの?それにこの殺気は何・・・』
『たっ、たしかこちらに近づいていた奴は、こんな奴じゃ?それに目の前に現れるまで、この気には気が付きませんでしたが。それに何故、動けないのですか?』
魔人族が混乱してその様な声をあげている間に、ユウマは重症の2人アリアとリンクに近づき治療を行ないだした。
まず、最初にアリアの腕を元に戻す為に、聖属性魔法の【肉体蘇生】を使用して、腕を再生させた。
するとアリア肩から下の欠損していた腕の部分が、神々しい光で輝き出し元の綺麗で白い腕が再生していった。
「えっ、嘘!アリアちゃんの腕が元に・・・」
メイリが驚いて声をあげたが気にせずに、次に同じく聖属性魔法の【聖回復治療】をかけた。
するとアリアの所々に付いていた傷が治っていき回復していった。
そして先程まで苦しそうで青ざめていた顔色が、穏やかになり小さく寝息を立て始めた。
「よし、これでアリアは大丈夫だな」
「アリアちゃん!良かったよー、うえぇええん」
そんなメイリを見て頭を優しくなでながら、遅くなったけど間に合って良かったと思い。
そして、今度はリンクの方の治療にかかった。
まず最初に先程アリアにかけた【聖回復治療】をかけて、すべての傷を回復させた。
もちろん、この時点で両足も元通りになり復活した。
まあこちら方はグシャグシャだったが、欠損していた訳では無いので上位回復魔法で元に戻っただけである。
この世界では、回復魔法は意外と万能だ。
ただ上位クラスの魔法が使える者が少ないと言う不便さはある。
それから、頭の状態が芳しくないので【全状態異常回復】の魔法をかけてみた。
すると上手くいきリンクの頭の状態もよくなり、先程の青白い顔色が穏やかになり寝息を立てた。
「リンクの方には、ホントは以前キュリカさんに飲ませた【上級万能エリクサー】を与えたかったけど、材料が無いからこれで様子を見るしか無いか」
残るは、ロンとメイリなのだが、とりあえず魔力枯渇が原因みたいなので【中級治療】をかけて体力を回復させて休ませる事にした。
まあ、魔力枯渇はある程度休めば自然回復するので問題ないが、下手をすると死に至る事がある事を冒険者ギルドで聞いたので念のためだ。
魔力回復薬を飲ませる事も考えたが、無理に回復させるのも危ないので、飲ませるのはやめておいた。
それでもなおこの子達は、倒れた二人を守る為に魔力をギリギリまで振り絞っていたらしいので、特に魔力回復薬は危険と思い飲ませなかった。
「メイリ、後はここでみんなを見ていてね。周りには防御魔法をかけるから」
そう言って、剣に戻ったファルを、精霊剣グランドファルシオンを背中にかけた。
第四章:第三十五話につづく
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そしてメイリー達の周りに【風盾エアシールド】の複数がけを行いその周りを【魔法遮断聖盾マジックシールシェル】をかけて完全に守りを固めた。




