第三十話
しかもそれは聖なる水晶の聖光水晶が、埋め込まれていない状態であるにも関わらずにだった。
そしてそんな事とは知らずにユウマは、フィリアに尋ねていた。
「ならこの聖銀鈴光水晶を使いますね。フィリアさん」
そう言って聖碑の中に埋め込んだ。
しかし、現状は周りの魔素を吸収するだけだった。
「あれ?予想と違ってあんまり効果が無いですね?」
「はぁ、何言っているのよ?十分すごいわよ。かなりの勢いで魔素を吸収しているもの。それにまだ、水晶の本来の力は魔素をある程度吸収しないと発揮できないわよ。それにそこの魔人族たちを見たらよく解るわよ」
そのフィリアの言葉を聞き捕らえた魔人族を見てみたら。
「ばっ、馬鹿な!そんな筈は・・・」
「何?この聖碑の力は・・・」
「あっああ、このままじゃ・・・」
確かに、魔人族達の表情は驚きと絶望の表情になっていた。
この時ユウマは、何故そんなに驚きと絶望に満ちた表情をしているのだろうと思い、首をかしげながらフィリアに尋ねてみた。
「どうしたんでしょうね?彼ら、驚くのは解らなくも無いんですけど、絶望に満ちた表情は何故でしょうね?」
「さぁ、私にも解らないわ。でも大方作戦か何かが失敗した事に絶望したんじゃない」
「でも、このままじゃ日が沈むまでに邪気を含んだ魔素を全部吸収できますかね?」
「確かに、難しそうね。恐らく日が沈むまで後、1ヒュリテ(一時間)あるか無いかだろうし、せめて聖なる力の起爆剤があれば、何とかなりそうだけど・・・!?そういえばユウマ、あんた聖光気が使えたわよね」
「はいっ?使えますけど。何故知ってるんです?」
フィリアが、ユウマに聖光気を使えるかを確認してから今聞かれた質問に対して。
「あれだけ、ホイホイ使っていたらそりゃ解るわよ。私も少し使えるから、それにあんたのは異常よ普通じゃないのよ」
「そうなんですか?なら如何しますか」
「そうね、ならその聖碑に貴方の聖光気を思いっきり注ぎ込みなさい」
「えっ、良いんですか?しかも思いっきりで」
フィリアは、ユウマの問いに首を縦に振り答えたので、ユウマは聖碑の前まで行き、気合を入れて聖光気を思いっきり注ぎ込んだ。
すると、周囲が神々しい光に包まれていき、しばらくその光は収まらず徐々に聖碑自体が輝きだした。
そして周囲の邪気の含んだ魔素が消え始め、周りに聖なる力が溢れ出し始めた。
しかし、溢れ出し方が異様だった。普通ならジワジワ聖なる力が広がるのだが、現在この聖碑は周りの邪気を無くすだけでなく荒れた土地とその周囲を聖浄化しだしている。
しかもそれは尋常でない速さでだ、そして周辺の空気も澄んでいきだした。
そしてフィリアは、ユウマにやれと言った手前しまったという顔をして。
「あっちゃー、まさかここまで激しいなんて。まいったわね」
そう言葉に出したが、「まっ、いっか」と声に出してその様子眺めていた。
すると、魔人族の3人がうめき声を上げだしそちらを、みんなが見てみると。
「うごーぉ、何故だ!身体が・・・いじっ・・!?」
「きゃぁぁ、身体がっ、身体が消えていくっ」
「ふっごぉぉっ!何故だ、何故そんな力がある者がこの世界にいるんだぁっ・・・?」
聖なる光に包まれ3人魔人族が消滅してそこに魔晶石の塊が落ちていた。
「フィリアさん。魔人族が消滅してしまいましたが?いいんですか」
ユウマがそう尋ねたら、《はっ》としてから。
「良くないけど、しょうが無いでしょ。それに弱点がわかったから良しとしましょ」
何故か無理やり納得してから。
「ユウマ、それとミーアここであった事はみんなに話しては駄目よ!ちょっと厄介な事になりそうだから。特に魔人族に関しては。この件は公国の上層部に判断を仰ぐからね」
「解りましたけど。俺の事は出さないで下さいよ。厄介事はごめんですから」
その言葉をフィリアが聞き「うーん」と唸ってから。
「それは一応考えるけど、たぶん無理と思うわよ」
「ガーン!それは何故?・・・・それならこのまま・・」
ユウマはその言葉を聞いて逃げ出そうと後退りして。
最終的には、このまま姿をくらまそうかと考えていると、それを察知したのか。
「嘘よ。貴方の事は黙っててあげるから逃げようとしないの」
『あっぶな!今この子、本気で逃げようとしてたわ。ちょっと気を付けないと、ここで逃げられたら。私に責任になるじゃない』などと思っていた。
まあ、実際にはユウマは逃げる気は無かったが、厄介事だけは御免こうむりたいと思っていた。
そして、この聖碑一帯が澄んだ気、聖なる力の気が充満しだし太陽が沈みかけて夕日がさしていた。
するとフィリアが、何故か難しい顔をして考えだした。
第四章:第三十一話につづく
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これは違う意味でやばいのではと思いそっとフィリアの方を見てみると




