第十九話?
これは、ユウマとリステーの決闘からの話でリステーサイドの話です。
これは、トライア領主の甥であるリステーサイドの物語、その2である。
◇-◇-◇
それら顔を青ざめて驚いていると、何故か対戦していたユウマが後ろを向いて離れて行くのに気が付き、これはチャンスだと思った。
『今ならチャンスだ!ここで僕の得意な魔法を全MPと魔力を注いで全力で打ち込んでくれよう。くくくっ・・・』
リステーは自分の得意な火属性の火炎魔法【超火炎矢弾幕】を詠唱した、そして。
「はははっ!油断したな。馬鹿な庶民め!まぐれで僕の大切な剣を折りやがって、死んで詫びろ」
そう台詞を吐き、不意打ちするつもりで魔法を放った。
しかし、魔法が何故かすぐに飛んでいかなかった。
その場所で停滞してどんどん威力を増していき、自分では制御できなくなっている。
『なっ、何故だ魔力の供給が止まらない?力が入らない。目がくらくらする』
そんな事を思っていると、やっとの事【超火炎矢弾幕】が前方に、ユウマ達の方向に飛んでいった。
意識が朦朧としながら。
『ふっふふ、くっ、うっ・・・・。こっ、これなら防げまい。馬鹿な庶民よ、僕を怒らすからだ』
そう思って魔法をユウマに着弾するのを見ていると、すべての攻撃の炎の矢が目の前で防がれてしまった。
『なっ、何故だぁ!何故あの数で、あの威力の・・うっ』
くらっとして意識を失いそうになったが堪えていた。
そして、全ての炎の矢を防がれて、そのあとに爆風と熱気が何故かこちらに向かって襲ってきた。
『あっ、ああ、防御魔法を張って逃げなくては・・・・!?』
しかし先程全MPを使ったので、一生懸命魔法を詠唱して発動しようとしていた。
だが何も発動せず、ついにリステーは爆風に呑まれた。
『あっ、熱い助けてくれ。・・・あっ、ああ、目の前に炎の竜巻が、誰か・・・・!?』
声が出せず。また意識を失いかけていたが、何とか耐えて意識を失わなかった。
しかしリステーは後悔していた、このまま意識を失えばよかったと。
『誰か助けてくれ。まだ死にたくないよ』
そうリステーが思っていると、人影が自分の前に現れた。
『たっ、助けてください。僕は・・・?』
しかし声が出せずにいた。
そしてその人影に炎の竜巻とは、逆の安全な場所へと飛ばされた。
『たっ、助かった。ありがとう助けてくれて・・!』
そう思い、助けてくれた人影の方を見てみたら。
『なっ、彼は庶民、いやユウマでは?・・・何故』
そしてそのまま落下していき、最後に自分の脱ぎ捨てた鎧と盾の場所に落ちた。
しかし、その場所で運悪く大盾に頭を打ちつけて意識を失った。
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うっすらと目を開けて、《ボーッ》としていたが意識が完全に戻り目覚めた。
そして、周りを確認して見回していた。
そこは、一面白一色の部屋の中だった。
『あれ?前にここに来たことがあるような?』
確かこの後、上のほうから・・・と頭を上に向けると。
天使の少女が頭上より舞い降りてきて。
「約束どおり、貴方の封印していた記憶を呼び覚まします。そして現世に戻るのです」
いったい何を約束したのか解らないが一応尋ねてみた。
「あの、約束とは?それに僕は死んだのではないのですか?」
「ええ、生きてますよ。ただ前世の記憶を貴方の要望どうりに封印していましたので、その解除を行なうのですけど?」
リステーが尋ねた言葉に、天使の少女が答えたが良く解らなかったので質問してみた。
「えっ、何故です。前世の記憶とは?」
「えっと・・・・!めんどくさいですね。とにかく封印をときます。それじゃまた」
しかし天使の少女は、めんどくさいと言って答えてくれず、いきなり話を切上げた。
「えっ、おっ、おい説明を・・・・!」
リステーが声をあげていると目の前に光があふれ目を開けられなくなり目を閉じた。
そして、そっと目を開けたら見たことのない天井が見に移り込んだ。
そこは医務室の天井であったが良く解らず周りを見てみると、見た事ある使用人が数名目に入った。
それから、今までの記憶と天使の少女が言っていた、今まで封印されていた前世の記憶が次第に蘇えってきた。
しかも最近の恥ずかしい記憶は、特に彼の悩ませる原因となり。
さらに頭が痛くなってきた。
『恥ずかしすぎる。このまま死にたい気持ちだ。でも、このままではいけないな?よしこのまま今までの記憶は無かった事にして、新たに生まれ変わった様に振る舞おう。うん、そうしよう』
頭を打った事を理由に、今までの行ないを忘れてしまおうと心に決めるリステーだった。
そして彼、リステーの新たなる人生がここからスタートするのであった・・・。
第四章:第一話につづく




