表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

甲虫目コガネムシ科「コガネムシ(緑)」

2017/7/4 更新 1/3

  □

□□□□□

□□□□□

□■□□□

□□□□□

□□□□□


「――隊長! 銀の弾丸(シルバーバレット)隊長!」

「大丈夫だ、グリーン。なんとか蛍光灯(ニセヒカリ)に乗り移れたぞ」

「無茶しないで下さいよ、隊長。見ていたコッチはヒヤヒヤもんっすよ。本当に」


 緑の幽灯(グリーンランタン)は蛍光灯の上部に体を滑り込ませながらシルバー隊長の安否を確かめると一安心し、少しだけ顔を出して下を覗いた。隊長がひっかき回したおかげで人間たちの騒ぎは大きくなり、定位置から離れだしている者までいる。隊長がいる蛍光灯の下には憎き捕獲者。ピョコピョコと手を伸ばしながら飛び跳ねているが、隊長にその手は届くはずもなくひとまずは安泰だろう。

 すぐ下には鞄を胸に抱えてビクビクと辺りを気にしている人間がいたが、どうやら自分たち「コガネムシ」の存在に恐れ慄いている様子だった。

 その傍にはこの空間の騒ぎの元凶であり、自分たちが逃げ出すキッカケともなってくれた一人の人間。既に起き上がる態勢にはなっていたが、何故かなかなか腰を上げない。「ミテンジャネエヨ。チカヅクンジャネエヨ」と周りを恫喝している。


 グリーンは首を巡らして太陽(ヒカリ)へと至る出口を探した。

 箱型の空間の後方(人間の向きから推測しての後方)にある、外と通じているガラス窓が少しだけ開いている。あそこからなら出られそうだ、と、グリーンは一息ついた。

 隊長よりも先に脱出するのは忍びないが致し方ない。まずは外にある本部に状況を説明する事が先決だと頭を納得させる。本部に助力を請えば、まだ捕虜の身となっている燃える赤銅(フレイムコッパー)や他二頭も救出できるかもしれない。グリーンはかすかに残った希望に、脚を力ませた――瞬間。


 グリーンの体が滑った。アッと気がついた時には既にグリーンの体は蛍光灯から離れ、下に真っ逆さまに落ちていた。脚を力ませたのはいいが、その脚が一本抜け落ち(ロスト)してしまっている事を失念していた。蛍光灯に引っ掛けていた筈の鉤爪がバランスを失い、外れてしまったのだ。


 後翅(バックウィング)はまだ飛翔力の充填(チャージ)が出来ていない。

 グリーンの体は為す術もないまま、下にいた人間が胸に抱いていた、鞄の上に落ちた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ