出席番号10番「斎藤麗美」
2017/7/6 更新 4/4
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「ダメだよお……危ないよ?きっと。うんそうよ。危ないのよ、ソレって……」
斎藤麗美が勇気を出してソロソロと手を伸ばすと、背後から小和刈が、斎藤の制服をチョコンとつまみながら心配そうな声を上げた。
「大丈夫よ……大丈夫」
斎藤は、弱った二頭の虫の前にそっと掌を置いた。一度動きを止めた虫だったが、ゆっくり、ゆっくり、掌の上によじ登る。仲の良い兄弟みたいに、一頭の背中にもう一頭がくっついていた。
可哀想だから。
もちろんその気持はあったのだけれど、それよりも、あの人が探しているのはきっとこの虫たちだろうから……。斎藤は虫を触った事が無かったが、《《何かを変える為に》》、意を決して手の中にそれを包んだ。
――もし、違ったら外へ逃してあげよう――。
小さなキッカケかもしれないけれど、少しはお話できるようになるかもしれない。
恋する少女は少年へと声を掛ける。
「あ、あの! 何か探しているみたいだけれど……、もしかしてコレかな……?」
〈終〉
蛇足ではありますが、あとほんの少しだけ作者としてお話したい事がありますので、よろしければお付き合い下さい。
群像劇というジャンルは、偉大な先人方が開拓してくれたお陰で、今や人気といってもよいくらい世間に浸透しています。小説だけではなく、海外ドラマや、アニメなんかでもよくありますよね。
「短編作品に登場させる人物は一人か二人、三人が限度」なんて、これまでハウツー本なんかでも云われてきましたが、現在これだけ群像劇が浸透している中でも、それは変わらないのでしょうか。
いや、もしかして私たち読者(視聴者)は、すでに「多人数の視点を想像する力」を養う事ができているのではないか。
そういった考えで、短編に九人(六人と二頭と一個)の視点を入れるという、なんとも無茶なこの作品が出来上がりました。
上手く伝わってくれたらいいなあ、なんて、心配に体を縮こまらせながら願っています。
「バタフライエフェクト」を軸にしたお話はまだまだ書きたいと思っています。登場人物、舞台、ジャンル、全て変えた新作として公開できればいいな、なんて。
その際には、またお付き合い頂ければ幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました
――甲乙 丙




