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2.チュートリアル

俺がそこで見た光景は、真っ暗な空とどこまでも広がる草原だった。

「夢か?いやこれは、寝ぼけてゲームをするほどに俺が発達したんだな、やるじゃないか俺」

と自分に言い聞かせたが少しの沈黙を置いて、夢ではないと思ってしまった。

だってめっちゃ寒いし、俺が仮眠を取るときに着たパジャマを着ていない…

部屋にいた格好とは明らかに違う服になっていた。


流石の俺でもここまでリアルに寒いのを感じると、ゲームにログインしてるとしか思えない。

だが、俺はそこまで有能に動けるほどの寝相ではないのは自分でも理解している。

これはどうなっているんだ?ともさくさしていくうちに目の前に空から光が射してきた、

そこ現れたのは一人の女の子に見えた、歳は俺と同じだと思われる。

やっと人に会えたのは良いけど会い方がなんか嫌だな。


「もう少し良い展開にしてくれても良くない?俺が敵にやられそうな人を見かけて、助けようとしたら偶然女の子、名前は何ですか?ってすらっと聞けるじゃん仲良くもなれるし良い出会いにしてくれよ」と思ったけど。気づいてしまった、俺は今武器とかそういう類のものを持っていない…イベントが発生しても助けられないなと渋々思い返しているうちに、その女の子は近づいてきて、「四熊亜疑斗さんで間違いありませんね?」と聞いていた。


あ〜わかってしまった、わかりたくないけど。この女の子はチュートリアルの説明してくれるAIですか…そう思いつつ口には出さずに胸にしまって

「そうですけど、これってチュートリアルですか?なんか場所悪くないですか?街に召喚されても良いぐらいだと思うんですけど。」と俺は女の子に文句を少し言う。


すると少女は「はい、物分かりは早くて助かります。あなたはNEEOのβテストプレイヤーに選ばれました。家にはゲームソフトが届きましたよね?」と言われて「あ〜届きましたね、俺はまだ起動した覚えがないんですが…このことを直接聴くのは少しもどかしいんですけど、無料配布しても良かったんですか?icはほぼtopと言えるほどのゲーム制作会社ですよね?無料配布したら赤字になると思うんですけど…良ければ教えてもらえます?無理なら良いんで」


まぁ、AIに聞いて教えてもらえるものでもないと思うが、気になると聴きたくなるのも、俺の悪い癖だからもやもやするよりはマシだろう。

俺はそこまで期待せずに聞いたが、俺はこのことを聴くべきではなかったんだろうと、後で思い返す。でもこれを聞かずともAIが最初から言うつもりだとしても、辿り着くのは同じなのかと思う。

俺は心底ショックだった、女の子の返事は俺にとって重いものでしかない、その理由は簡単だった、俺がもう死んでいるのだから。


「四熊さんあなたはβテストプレイヤーとなる為に死んだのです」

俺の死についてを彼女は、気兼ねなく言った

βテストプレイヤーになるために死んだ?何だよそれそんなのありえるわけない

ゲームのβテストプレイヤーになるためだけに死ぬ?それで死んで行ったら現実世界で事件になるだろう

中止になるはずだ!そうじゃないのか?と思った。


いきなりそんなことを言われても、俺はすぐに自分の死を受け入れられるほどの奴なんかじゃない

皆誰もが死ぬことをすぐに受け入れられることなんかできないだろう。

俺は取り乱しながらも「NEEOのβテストプレイヤーは何人いるんだ?何人を犠牲にしたんだ?」と女の子に聞いた。

すると女の子は「あなたは変わっていらっしゃるのですね、普通は自分のことを一番に考えるのでは?

犠牲者のことを考えたところであなたに得はないと思われますが?」女の子は淡々と言う

確かにそうだ、俺には他の犠牲者のことなんか関係ないのかもしれない

いつもの俺ならこんな正義感に溢れることなんかないはずだった。


だが、一人のゲーマーとしてゲームで人が死ぬと言うのはあまり良い物ではない。俺は身近なことでそういうことがあった気がする、だが思い出すことが出来ない…何故できない?死んで記憶が少し消えたのか?

もしくは、βテストプレイヤーになるにあたって記憶を改竄かいざんされたのか?

その理由を知りたいけど、それは流石に教えてはくれないだろう。そんなに重要なことをチュートリアルを説明するだけのAIなんかに教えてられないはず。


俺は悔しかった、ゲームを楽しんでやれないからではない、俺はたかだか一人のβテストプレイヤーでしかないことに、自分の無力を痛感した。


そういえば、俺はこのAIの女の子の名前を知らない、そもそも名前があるのかすらわからない

今更ながらに聞くか、ずっとしょげていても何も生まれはしない。

チュートリアルを進めようと思い女の子の名前を聞く

「なぁ、君だけ俺の名前を知っているのも変だから、君の名前を教えてくれないか?

名前があるならそっちで呼んだ方が楽だしね、

いちいち聴くときに君って言うのは俺的に嫌だから」と俺は少し強引な感じに言うと、


女の子はすっかり忘れていました、みたいな顔で

「そういえば、まだ名前を言っていませんでしたね、これは申し訳ございません。私の名前はりゅんと言います。りゅんと呼んでもらって結構です」と少女はさりげなく自分の名前を言った。

俺は少しだけ頭を下げてよろしくと言い、早くチュートリアルを始めてしまおうと少し急かした。


そう言うとりゅんは首を傾げて「もうチュートリアルは始まっていますが、気づきませんでしたか?」と言ってきて、少しバカにされた気がした。かなり悔しい…待てよ?

俺は少し考え詰める、いつからチュートリアルが始まった?出会ったときからチュートリアルなのか?

チュートリアル開始の合図が普通は出るはず、出ない訳がない。

エラーなのか?いやそれは違う…何か裏がある気がした。

ただ単純にゲーマーとしての感でしかないのだが、この違和感はなんだろうと思う。

するとりゅんが「どうしましたか?何か質問があれば言って下さい。その都度答えられる範囲のものであれば、説明しますので」いつもの癖で考え込んでしまった。

流石に顔に出たかと思い詰まって、しくじった気がしてならなかった。


「顔に出てましたか?そんなにわかりやすい顔してた気がしなかったんですけど、今のところは特に何も質問はないです。紛らわしいことをしてしまい申し訳無いです。」俺は謝った、AIに対して謝る人なんかそうそういないだろうと思われる。だが、何となく謝った方がいい気がした、だからしっかりと謝った。

全く以って自分らしいと思える行動だ、妙に自分らしさが戻って来て少し安心した。

「AIに謝る人は多分貴方ぐらいですね、なかなか不思議で面白い人だと思います」

ですよね〜AIに謝る人なんかどこにいるんだよ、と思って少し笑うが「あ、俺のことか」とりゅんには聞こえないぐらいの小声で呟いた。


りゅんはキリッとした表情に一変し、本格的にゲームシステムの説明に入ろうとしていた。

「まずは、武器を選んでもらいます。この中から選んで下さい。焦らずにゆっくりで構いませんので」

焦ってもしょうがないしそこはAIでも察してくれるんだな、どれどれ武器は何があるんだ?武器を表示して一つ一つ俺は見て行く、やはり剣が一番やりやすいベースとなるし。弓も使いたいな、俺は斧とか使うの苦手だから却下で…そうこうしているうちに10分は経過していた。


どれを使うのか決めて、俺はりゅんに声をかけた「お決まりになられましたか?」とりゅんに言われて

「この剣と弓にしたいんですけど、いいですか?」と言ってりゅんは少しだけ笑みをこぼしてから

「2つ選ぶんですね、普通は一つだけしか選ばないと思うんですけど。

まぁ、数は指定していないので聞かれないと、こちらからは言うことはないんですよね〜お見事です。

では、これらをお使い下さい」

と渡して来た剣と弓なのだが、これかなり強そう何ですけど…レア度いくつだよ。初回からチートか?


武器のレア度について聞こうとしたら、

りゅんから先に「その武器なのですが、対βテストプレイヤー用となっています。レア度は剣が6で弓が7です。レア度の設定は今の所最高が10に設定されています。

四熊さんの武器のレア度は高いですが、βテストプレイヤー以外の使用時は能力が落ちます。

そのことを忘れずに、ですがβテスト期間内はテストプレイヤーとモンスターしか相手に出来ないので能力が落ちることはありません。この他に聞きたかったことはありますか?」と言われて

流石にそこは考えてることぐらいわかるよな、と感心した。


その後もゲームシステムの説明は続き草原の中で二時間ほど経って、ようやく説明は終わった。

「以上ですが、最後に質問はありませんか?ないのであればここから街まで歩くかテレポートか選んで下さい。」ここから街までテレポートできるんだな、

「いや、歩きますよ周りを見渡して街まで行きたいので」

するとりゅんは「徒歩ですね、分かりました。街までは25キロほどあるのでご注意下さい」


え?25キロ??いや、嘘でしょ…嘘ですよね???カッコよく歩くとか言ったけど。

25キロはねえだろ約六時間ってところか、一番最初に死ぬ原因は衰弱死ですか?

βテスト期間内は死んだプレイヤーは一応その場で生き返るためデメリットはない、

だが、プレイヤーをキルした場合はキルをしたプレイヤーにはメリットがあるだけと言われた

死んだプレイヤーは精神的苦痛と言うデメリットが発生するんですけど、

めっちゃやらかしたなぁ、もう遅いけど今更変えてと言えるほどの気力すらもうない

二時間も話聞いて疲れ切ってるのだから気力なんかどこにもない。


「では、四熊 亜疑斗さんにご武運があらんことを祈ります。頑張ってくださいね、今までのチュートリアルを説明していく人の中で一番面白い人だったんで、きっと良い事が起こりますよ。」とりゅんはニコッと笑ってくれた、この子意外と可愛い一もあるんだな、りゅんの笑顔をみて少し疲れが吹っ飛んだ気がした。さぁ、頑張るぞ!歩くの…りゅんは最初に現れた時と同じように光が射し消えていった。わからなくなったらガイドブックを見れば大まかなことはわかるっぽいから、取り敢えず問題はないだろう。


道を知る術は2つ、地図をもらうか自分でその場所を歩く以外に方法はないらしい。

まぁ逆に言えばテレポートして、

今いる地点から街までの道のりがどうなっているのか知る事ができないと言う点でいけば、

地道に歩いた方がいい気がする。まぁ、もう一度この場所に来るのかわからないんだけど…

俺以外のβテストプレイヤーを見ないということは全員がここに来るわけじゃないということが考えられる。


要するに始まる地点はバラバラって訳だ、

だとしたら俺がこの場所の周りを知ると言うことはPVPの時に役に立つかもしれない。

その時が来ればの話だが俺はその時が来ると思っている。

最後まで生き残るということはそういう意味な気がしたから

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