第三話 異世界の現実と、宿屋と、金欠と
ちょっと設定変更
冒険者ギルドを出た八人は、街の中央広場で自然と足を止めていた。
石畳の道。
噴水。
露店。
剣を背負った男、ローブ姿の女、獣人、エルフ。
どこを見ても、ファンタジーそのものだった。
「……本当に異世界っすね」
TDKRがぽつりと呟く。
「イイぞ~コレ。
街の作りが完全にRPGだゾ」
MURは腕を組み、感心したように頷いている。
「なんで死んだ直後に観光モードなんですか……」
KMRは青い顔のままだ。
「ああ~^いいっすね~
空気が……なんか、魔法の味がします」
「味覚で異世界を感じる必要あります?」
「痛いにょ……
現実を受け止めるのが痛いにょ……」
朴秀はしゃがみ込み、地面をつついている。
「静かにしろ。」
虐おじが低い声で言った。
「周囲を警戒しろ。
ここはまだ安全地帯とは限らん。」
「タクヤは〇〇だけどね(笑)
この街、チョー住みやすそうじゃん!」
タクヤは露店の串焼きを指差している。
最後尾のHNTIKS土方が、深く頷いた。
「わしの長い人生の経験が言っとる。
この街は……ドバーできる」
「その判断基準、人生に役立ってます?」
KMRが即座に突っ込む。
宿屋問題、発生
「で、これからどうするんですか」
KMRが言った。
「まさか、路上で野宿とか言いませんよね……」
「野宿は論外だ。」
虐おじが即答する。
「睡眠は戦力の維持に不可欠。」
「イイぞ~コレ。
じゃあ宿屋だゾ」
MURが指差した先に、木製の看板がぶら下がっていた。
【銀の樽亭】
樽の絵が描かれた、いかにもな宿屋だ。
中に入ると、酒とスープの匂いが混ざった空気が鼻をついた。
「いらっしゃいませ~」
受付の女性がにこやかに言う。
「部屋、8人分お願いします」
TDKRが言うと、女性は一瞬固まった。
「……8名様?」
「王道をいく、大所帯です」
「部屋は……一部屋しか空いてませんが」
「雑魚寝でいいゾ」
MURが即答。
「なんで異世界で修学旅行みたいな生活になるんですか……」
KMRは頭を抱えた。
大部屋
通された部屋は、木の床に藁入りのマットレスが並ぶ大部屋だった。
窓は一つ。
机は一つ。
ランプが一つ。
「……合宿所みたいっすね」
TDKRが言う。
「イイぞ~コレ。
空手部の遠征思い出すゾ」
タクヤがマットレスに飛び込む。
「チョーふかふかじゃん!
タクヤ、異世界ベッドランキング1位に認定!」
「他にベッド知らないだけでは……」
TONは荷物を置きながら呟く。
「ああ~^いいっすね~
ランプの光、まずいですよ!」
「それ褒めてます?」
「痛いにょ……
相部屋は心が痛いにょ……」
「静かにしろ。」
虐おじは窓の前に立ち、外を見張っている。
HNTIKS土方は腕を組んで言った。
「夜になると、この街……
ドバーの気配がする」
「しません」
KMRが即答した。
システムさん、現実を突きつける
そのとき、全員の視界に文字が浮かんだ。
――《チュートリアル:生活要素解放》
――《宿屋での休息により体力・SPが回復します》
――《所持金:0》
「……所持金ゼロ?」
TDKRが固まる。
「イイぞ~コレ……って、よくないゾ」
「なんで無一文で宿屋に泊まってる必要があるんですか……」
KMRの声が震える。
「ツケですかね」
TONが言う。
「この世界の経済、優しいにょ……」
朴秀は感動している。
「静かにしろ。」
虐おじが腕を組む。
「つまり、明日から稼ぐ必要がある。」
「タクヤは〇〇だけどね(笑)
クエスト生活、チョー冒険者っぽくない?」
「冒険者っぽい以前に無職です」
KMRが即座に突っ込む。
HNTIKS土方が拳を握る。
「ドバー稼ぐしかないな!」
「通貨単位みたいに言わないでください」
初めての夕食
宿の食堂で出されたのは、黒パンと具の少ないスープだった。
「……質素っすね」
TDKRが言う。
「イイぞ~コレ。
戦士の飯だゾ」
MURは普通に食べている。
「ああ~^いいっすね~
このスープ、まずいですよ!」
「それもう癖ですね」
「痛いにょ……
パンが硬くて歯が痛いにょ……」
「静かにしろ。」
虐おじは無言で噛みしめている。
タクヤが突然立ち上がった。
「タクヤは情熱的だけどね(笑)
ここで宣言するわ!」
「嫌な予感しかしません」
KMR。
「俺たち、この世界で
最強ギルドになるんじゃね!?」
一瞬、沈黙。
次の瞬間――
「イイぞ~コレ」
「王道をいく展開ですね」
「ああ~^いいっすね~
ギルド名、まずいですよ!」
「痛いにょ……
名前考えるのが痛いにょ……」
「静かにしろ。」
HNTIKS土方が叫ぶ。
「わしの案は――
『ドバー団』じゃ!」
「却下です」
KMRが即答した。
TDKRは苦笑しながら言った。
「……でも、拠点は必要ですね」
「そうだゾ」
MURが頷く。
「この世界で生きるなら、
自分たちの場所が要る。」
こうして八人は、
正式名称も決まらないまま、
“自分たちのギルド”を作ることを決めた。
それが後に、
世界を巻き込む騒動の始まりになるとは、
この時は誰も知らなかった。
【ステータス表示】
■TDKR
レベル:1
体力:120
スタミナ:110
SP:100
攻撃力:15
防御力:14
敏速値:16
スキル:鑑定
コード:最適武道
■MUR
レベル:1
体力:130
スタミナ:100
SP:90
攻撃力:16
防御力:15
敏速値:13
スキル:鑑定
コード:剛体受流
■KMR
レベル:1
体力:100
スタミナ:95
SP:110
攻撃力:12
防御力:12
敏速値:14
スキル:鑑定
コード:逡巡領域
■TON
レベル:1
体力:105
スタミナ:100
SP:120
攻撃力:11
防御力:11
敏速値:13
スキル:鑑定
コード:水圧掌握
■虐おじ
レベル:1
体力:115
スタミナ:90
SP:100
攻撃力:13
防御力:13
敏速値:12
スキル:鑑定
コード:痛覚接続
■朴秀
レベル:1
体力:95
スタミナ:85
SP:120
攻撃力:10
防御力:10
敏速値:14
スキル:鑑定
コード:痛覚変換
■タクヤ
レベル:1
体力:90
スタミナ:120
SP:80
攻撃力:17
防御力:8
敏速値:18
スキル:鑑定
コード:ブースト・バースト
■HNTIKS土方
レベル:1
体力:140
スタミナ:80
SP:90
攻撃力:18
防御力:16
敏速値:8
スキル:鑑定
コード:血脈噴流




