第八話 餓鬼道1 / 虚しさと孤独
泣きじゃくった疲労による脱力感。けれどもなんとか身体を起こす。
どこも痛みはない。強いて言うなら目の周りがヒリヒリする程度だ。
ヨウはそんな痛みよりも心の苦しみを強く感じていた。『誰よりもさきに死んでしまった』と……。
思い出しただけでも尽きていたはずの涙が込み上げてくる。
ヨウはまた泣いた。大声をだして何度もごめんなさい、と言い続けた。
数分、数十分と泣き続けたヨウは突然立ち上がり、ふらふらと歩き始めた。
その間もごめんなさい、と呟いている――
正直あのときの私は虚無感に苛まれてました。
たださきに死んでしまった罪悪感と孤独感が身体中を覆い尽くしてました。
何の意味もなく目的もなく、ただただ歩いき続けてました――
最初の場所から、かなりの距離を歩いたショウは身長ほどある大きな岩が沢山ある場所にいた。
相当な距離を歩いたのとその間もずっと泣いていたこともあり力がでず、その岩を支えにして歩く――
すると突然ある岩に文字が浮かび上がった。
ヨウはその文字に気付かず支えにし、図らずとも文字を隠してしまう。
けれど、その先もその先も文字が浮かび上がる。
けれどその全てをヨウが手で隠してしまう。
ふらふらと歩き続けるヨウ、気がつけば大きな岩があった場所も抜ける。
すると支えがなくなったのと岩場特有の足場の悪さで転けてしまう。
もう立ち上がることのできないヨウは背中を丸くしてその場にうずくまる。
「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
また泣き声を漏らす――
すると今度は地面に文字が浮かび上がった。
ちょうど目に位置にあったこともあり文字の存在に気づいた。そしてその文字は若干光を帯びている。
(大丈夫?)
と文字は浮かび上がっていた。
ヨウは腕で文字を意味もなく消そうとしたが文字は消えなかった。大丈夫?と浮かんでいた文字は消えまた新たな文字が浮かんだ。
(……辛いよね。)
「……辛いよね? だって? なにがわかんだよお前に」
その文字に強く怒りを表したヨウは文字を殴る。
(ごめんね……。)
それが浮かび上がりまた文字は消え別の文字が浮かび上がる。
(きみを助けたい。もう悲しまないでほしい。)
「……うるさいなぁ。意味ないんだよもう、独りにして」
それを聞いた文字はまた消えた。
その後、少し経っても文字が浮かび上がることはなかった。
そしてヨウは泣き疲れその場で眠った――
『ヨウは空腹で目を覚ました。けれどなにかを食べたいとは思わない。』
そして文字がまた浮かび上がる。
(よく眠れた?)
「……。」
体勢を一切変えずそのままでいると、また別の文字が浮かび上がった。
(ヨウ、きみはまだ死んでない。)