第七話 奈落の底
私……死んだんだ……。
もう帰れないと思うと涙と後悔が溢れてくる――
「……さきに死んじゃってごめんなさい。おばあちゃん約束破ってごめんなさい」
涙を流すヨウに一切を気にせずショウ?はヨウの腕を引っ張り舟を降りて岸に上がる。
そのまま門へいくのではなく門の端へと向かった。
その端はなにもない底も見えず、奥もなにも見えない、そんな果てしない暗闇が広がっていた。
ショウ?はヨウをその暗闇の際まで引っ張るがヨウのちからが途中で抜けてその場に座り込んだ。
「……ごめんなさい、ごめんなさい。死んじゃってごめんなさい」
嗚咽しているヨウ。それを見ても無表情なショウ?。またすぐに歩き始めヨウは引きずられる。
暗闇の際に辿り着くとショウ?はヨウの手を離した。
それと同時にヨウは身体を丸くして、ひたすらに嗚咽する。
ショウ?は軽く息を吸い込む。
「ヨウ」
突然聞こえたショウの声に咄嗟に反応したヨウは声のした方を振り返る。
「……え」
ショウ?はヨウを暗闇に蹴り落とした――
落ちる瞬間に見た、ショウ?は不気味な笑みを浮かべヨウに手を振っていた。
声も出ずただひたすらに底のない暗闇に落ちていく。既に見えていた景色も見えなくなりヨウは完全に暗闇に飲み込まれた。
もう落ちているのか、そうでないのかよくわからない。だけどヨウはずっと「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら泣き続けていた。
その後も暗闇は無限に続く、が有限の体力は底が付きはじめていた。
咽も枯れ、涙もだし尽くして出てこない、けれど後悔は湧き続けてくる。
意識が消えつつあるなか、また『あの時のような』安心感をほんの少し感じた。
泣き疲れと、その安心感でヨウは眠ったように意識をなくした。
どれくらいの時間が経ったのかわからない。
気がつくとヨウはゴツゴツとした岩場にいた――