第十二話 修羅道1 / 争いは争いを呼ぶ
「え?あれ?」
戻ってみるが建物ごとなくなっていて辺りを見れば景色も変わっていて、さっきまで岩場だったのに草木が生えた気持ちのよい場所になっている――
なぜ違う場所にいるのかわからない。
ヨウはキムワを呼ぼうとする。
すると突然どこからか怒号が聞こえてきた。
それに驚いたヨウ。けれど少し興味を唆られ近付いてみる。
近付くにつれ声は大きくなっていく。そして声の発生源に着いた。木陰に隠れ見てみると男二人が胸ぐらをつかみ合い言い争いをしていた。
声を荒げ過ぎてなんて言っているのかわからない。
けれどそれを見ているとヨウは謎にワクワクする。
年頃なのか安全圏から見ていると楽しく感じてしまう――
男二人の争いは激しさを増していく。
片一方の男がしびれを切らしたのか、もう片方の男の頬を殴った。
「えっ、ちょっと待って」
衝撃だった。人が人を殴っているのを生で見たことがないヨウにとってそれはあまりの出来事だった。
殴られた男は唇を切り血が出ている。
「このクソ野郎」
殴られた男は殴り返した――
そのとき完全に頭に血が上った二人は殴り合いをはじめた。
「えっえっこれ止めた方が……」
そのときキムワが現れた。
(早くそこから逃げて)
「でも」
目の前で起こっていることをみすみす見逃せないがここがあの世である以上キムワの言葉を信じ一旦その場を離れると途端に大勢の声が聞こえはじめた。
離れながら少し振り返ると武士のような鎧を来た大勢が槍を持ち戦いが始まった。
ヨウはその状況に困惑している。ともかくその場を離れようと全力で走る。
すると一人の武士がヨウに気付き追いかけてきた。
「待てー」
その声で追いかけられていることに気付いたヨウは距離を開けようと足を動かすが、一向に離れられない。
無我夢中で走るするとキムワがこっち、と文字を出してヨウは木々が生い茂った森の中に入った。
相手は鎧を装着していることもあり、距離が離れるかと思ったがそんなことはなく逆に積められてきた。
それは何故か、ずっと走り続けたヨウのスピードが落ちてきたからだ。
まずい、このままじゃ追い付かれる。
そのときヨウはすぐ前にあったヨウの身体なら余裕で隠せるほどの大きな木、そこに隠れてやり過ごそうと計画した。考えたことをすぐに実行し、すぐさま隠れしゃがんだ。
中学生のヨウの身体はまだ少し小さくしゃがんだら、必死だと気付けないくらいの大きさになる。
けれどヨウはそんなことを一切気にせずしゃがんだ。
足音がどんどんと近付いてくる。身体が震えるヨウは声が漏れそうな口を塞ぐ。
すると鎧を装着した男は大きな木の横つまりヨウの横を通り過ぎていった。
けれど少し離れたところで足は止まった。
鎧を装着した男は振り返るとなにもいなかった。
ヨウは咄嗟に木の裏に移動していた。
今度は走る足音ではなくゆっくりと近付く足音が聞こえてくる。恐怖で荒くなる息、その吐き出し口を両手で塞ぐ。
真後ろにいるそんな気配がする。
もうダメだ……。
そのときキムワがここにある石を左に投げて、と文字を出した。
ヨウはすぐ手元にあった石をすぐに左に投げる。
その石は草に当たり、まるで誰かが動いたそんな音がなった。
「そっちか」
鎧を装着した男は音が聞こえたところに向かっていった。
遠くに言ったことを確認したヨウはすぐその場から走って逃げた――
「はぁはぁはぁ、あー怖かった」
森であることに変わりはないがあの場から相当距離を離したヨウはここならもう安心、そんなことを思い座り込んだ。




